メルクマニュアル家庭版
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炭化水素中毒

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石油製品や洗浄剤、接着剤は炭化水素(大部分が水素と炭素から構成されている物質)を含んでいます。5歳未満の小児が、ガソリン、灯油、塗料シンナーを飲みこんでしまい中毒を起こすことがありますが、そのほとんどは回復します。10代の若者は、意図的にこうした製品の蒸気を吸引することがあるので、中毒のリスクが高くなります。このような薬物乱用には、ハッフィング、スニッフ(鼻からの吸引)、接着剤の吸引、揮発性物質の乱用(薬物の使用と乱用: 有機溶剤の吸引を参照)などがあります。

飲みこんだ炭化水素は、肺に入って刺激することがあり、肺に重大な障害(化学性肺炎)をもたらし重い肺炎を引き起こします。特に家具のつや出し剤として使われている鉱物油など、薄くて流れこみやすい炭化水素が肺に入ると障害が起こります。重度の中毒では、脳や心臓、骨髄、腎臓に障害を与えます。

症状

炭化水素は、飲みこむとせきが出て息が詰まります。胃が焼けつくようになり、嘔吐します。肺に影響を及ぼしている場合は、激しくせきこみ、呼吸は早くなり、血液中の酸素濃度が低くなるために皮膚は青みがかった色になります(チアノーゼ)。

炭化水素の摂取は、眠気、体調不良、昏迷、昏睡、けいれん発作などの神経症状を引き起こすことがあります。運動後や強いストレスにさらされたときに吸引すると、不整脈や心停止を起こして死亡することがあります。

診断と治療

炭化水素中毒は、事態の説明や、患者の息から石油の臭いがすることなどから診断されます。肺炎や化学性肺炎は、胸部X線検査や血液中の酸素濃度を測定することで診断されます(肺と気道の病気の症状と診断: 動脈血ガス分析を参照)。

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炭化水素中毒

炭化水素中毒

中毒を治療するためには、まず汚染された衣服を脱がせ皮膚を洗浄します。吸いこんだ量が少なく、故意に吸いこんだのでなければ、せきが止まり、息が詰まらないようなら家庭での治療が可能です。ただし必ず専門家に相談するべきです。呼吸障害がみられる場合は入院が必要です。肺炎や化学性肺炎を起こした場合は、病院で酸素吸入や人工呼吸器を使った治療を行う必要があります。肺炎を起こしている場合には抗生物質が役立ちます。肺炎の回復には、1週間程度かかるのが典型的です。

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