メルクマニュアル家庭版
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殺虫剤による中毒

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殺虫剤の目的は害虫の駆除ですが、それは人間にとっても有毒です。重度の殺虫剤中毒の大半は、有機リン系かカルバミン酸系の殺虫剤が原因で、自殺目的で使用された場合に起きています。これらの化合物は神経ガス由来のものです。ピレスリンやピレスロイドなど、花に由来する殺虫剤は、通常は人間に対する毒性がありません。

殺虫剤の多くは、飲みこんだり、吸いこんだり、皮膚から吸収されると中毒を引き起こします。殺虫剤の中には無臭のものもあり、さらされても気づかないことがあります。有機リン系やカルバミン酸系殺虫剤は、一部の神経を異常発火させることで、さまざまな器官を過剰に働かせ、最終的には機能を止めてしまいます。ピレスリンはアレルギー反応を引き起こすことがありますが、ピレスロイドはほとんど何の問題も起こしません。

症状

有機リンやカルバミン酸は、流涙、かすみ目、よだれ、発汗、せき、嘔吐、頻回の排便、頻尿を引き起こします。呼吸困難になり、筋肉がけいれんし脱力が起こります。息切れや脱力が致死的になることはまれです。症状は、カルバミン酸は数時間から数日続きますが、有機リンでは数週間続くことがあります。

ピレスリンはくしゃみ、流涙、せき、ときには呼吸困難を引き起こします。重い症状が生じることはまれです。

診断と治療

殺虫剤による中毒は、症状と中毒の経緯に基づいて診断されます。血液検査を行って有機リンかカルバミン酸かを確定します。

殺虫剤が皮膚についた場合は、衣服を脱いで皮膚を洗浄します。有機リンによる中毒症状がみられたら、病院で治療を受けます。アトロピンを静脈から投与すると、症状のほとんどは緩和されます。プラリドキシムを静脈から投与すると、神経機能の回復を早め、症状の原因を取り除きます。カルバミン酸による中毒症状はアトロピンで緩和されますが、プラリドキシムでは効果がありません。ピレスリンによる中毒症状は治療しなくても回復します。

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