メルクマニュアル家庭版
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セクション

外傷

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C動物などにかまれたり(動物や虫によるかみ傷、刺し傷: はじめにを参照)その他のけがによって、皮膚が切れたり、裂けたり(裂傷)、すり傷(擦過傷)、刺し傷を負うことがあります。かみ傷以外の外傷は、普通は問題なく治ります。しかし場合によっては大量に出血したり、傷が感染を起こしたり、傷が深く、神経、腱、血管が傷ついていたり、異物が傷の内部に残っている場合もあります。

ほとんどの部位での皮膚の浅い傷は、出血は少なく、自然に止まります。しかし手や頭皮の切り傷の場合、動脈や太い静脈を切ったときのように大量に出血することがあります。

傷が泥や細菌で汚染されると感染が生じます。どんな傷でも感染する可能性がありますが、とりわけ泥まみれの深いすり傷や、皮下深くまで汚染しやすい刺し傷の場合、感染を起こしやすくなります。また、傷口にガラスの破片や布の切れ端などの異物が入りこんだ場合は、多くの場合、感染します。傷口が泥や細菌に汚染されている時間が長いほど感染が起こりやすくなります。

傷は初め痛みますが、たいていは1日たつと痛みが軽くなります。腱や神経が切れた場合は、その部分をうまく動かすことができなくなります。神経の損傷ではしびれ感が生じることもあります。刺し傷の内部に異物が入ったままになっていると、触れると痛みを感じます。

けがをしてから数日たって痛みが増してきた場合は、感染の最初の徴候です。感染すると、その部分の皮膚が赤く腫れてじくじくした膿が出るようになります。熱が出ることもあります。

応急処置

傷の最初の手あては、出血を止めることです。出血している部位がわかる場合は、そこを指や手で5分間以上強く圧迫すれば、ほとんどの場合止まります。可能であれば出血部を、心臓よりも高い位置に持ち上げましょう。止血用の圧迫帯は、圧迫部位より先の血流を減らし、酸素の供給を阻害するので、あまり使用しません。

感染を防ぐために、泥や破片は取り除き、傷口をきれいに洗いましょう。目に見える破片はつまんで取り除き、細かい泥や破片は刺激の少ないせっけんと水道水で洗い流します。その後に残った泥や破片は、ぬるめのお湯を勢いよく流して洗います。アルコールやヨード、オキシドールなどの使用は控えましょう。これらは組織を損傷させ、自然に治癒する能力を損ないます。深いすり傷はブラシでよく洗います。洗浄した後は抗生物質の軟膏(なんこう)を塗り、包帯を巻いておきます。傷が小さい場合は、市販されているばんそうこうで十分です。深い傷や大きな傷は縫合が必要なことがあります。

次の場合は、医師の治療が必要です。

  • 傷の長さが約1センチメートル以上で、顔面にある場合、傷が深い場合、傷の先端が開いている場合
  • 圧迫しても数分以内に出血が止まらない場合
  • 腱や神経を損傷している可能性のある場合
  • すり傷が深かったり、傷の中の泥や破片を取り除くのが難しい場合
  • 刺し傷で異物が傷口に入りこんでいる可能性がある場合
  • 過去5年間に破傷風のワクチン接種を受けていない人がけがをした場合

家庭で手あてをする場合も、医師の治療を受けた場合も、数日間は必ず感染の症状がないか注意する必要があります。感染の症状が出た場合は、数時間以内に医師の治療を受けましょう。小さな傷なら数日以内でほとんど治癒します。

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