メルクマニュアル家庭版
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医療の情報源

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医師の多くは患者の診療に際して、過去に同じような患者を診断し治療する過程で得た経験を重視します。その一方で、医学書や医学雑誌を読み、同僚の医師に相談し、また特定の問題について詳しく調べたり、医学研究に基づく最新情報に後れをとらないようにするために、インターネットの医療情報サイトなどでも情報収集に努めます。学会や専門家グループによる勧告(治療ガイドラインなど)も参考にします。

健康情報を求める患者にとって、かかりつけの医師は第一のよりどころとなります。しかし多くの人は、書籍や雑誌、インターネットの情報も参考にします。

新しい研究成果が発表されると、医師はその研究内容を詳しく調べ、実際の診療にどのように応用できるかを検討します。行われる研究のタイプによって、そこから得られる情報の種類も異なります。

「横断研究」は、同じ時点の複数の集団を比較して行うものです。たとえば、ある病気にかかった人で特定の検査を受けた人と受けていない人を比較し、その病気の診断に検査がどの程度役立つかを判断するといった目的で行われます。「ケース・コントロール研究」は、研究対象の病気などがある人たちとない人たち(その他の点ではよく似た人々)の集団の過去の経過を比較するものです。この研究は病気の原因を解明するためによく用いられます。「コホート研究」はある集団を追跡していく研究方法で、調べる内容によって追跡期間は数時間から数十年間までさまざまです。ある病気が長期間にわたって患者に及ぼす影響(予後)などを確かめる場合に行われます。

「臨床試験」は、最も厳密なタイプの研究とみなされています。比較臨床試験では、1つのグループは特定の治療または検査を受ける一方で、対照群と呼ばれるもう1つのグループは別の治療や検査を受けるか、あるいは検査や治療をまったく受けない場合もあります。この際、各グループへの患者の割り付けをランダムに(無作為に)行うのがランダム化比較臨床試験です。臨床試験の対象には制約があり、一定の条件を満たす人だけが参加します。

診断や治療のさまざまなアプローチについて、費用の面から相対比較を行う研究もあります。これらは「費用効果分析」、「費用便益分析」などと呼ばれ、医師が社会的観点からものごとを考える際には有用ですが、個々の患者の医療をどう進めていくかを考えるには、さほど役に立ちません。

同じことを評価するために行われた複数の研究でも、計画や実施方法の違いから、互いに相反する結果が出ることがあります。こうした矛盾を解くための1つの手段が、あるテーマに関連するすべての研究結果の要約をそろえて厳密に比較し評価する「システマティック・レビュー」という研究方法です。相反する研究結果を比較検討するには、複数の研究結果を数学的に統合して比較を行う「メタアナリシス」という方法もあります。

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