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予防医学はなぜ必要か

予防医学は健康にかかわるすべての面を改善し、医療費を削減する可能性も秘めています。予防医学の最も劇的な成果は、ワクチンの開発と普及です。ジフテリア、百日ぜき、破傷風、流行性耳下腺炎(ムンプス)、はしか(麻疹)、風疹、ポリオ(小児麻痺)などの感染性疾患の症例数は、ピーク時の1%以下にまで減少しました。これは、効果的で安全なワクチンが開発され、普及したおかげです。さらに米国では、予防接種に1ドル使うたびに約14ドルの医療費を節約する効果があるといわれています。

予防医学にはスクリーニング検査も含まれますが、この検査によりさまざまな病気による死亡者数は大きく減少しました。たとえば、アメリカ人女性の癌で最も死亡者数の多かった子宮頸癌は、1955年にパパニコロー(パップスメア)検査を用いたスクリーニング検査が始まって以来、当初の75%減少しています。ほとんどの女性はこのパップスメア検査を2〜3年おきに受ければよいのですが、リスクの高い女性はもっと頻繁に受けた方がよいでしょう(婦人科疾患の症状と診断: 婦人科の診察を参照)。

より健康的なライフスタイルを奨励する取り組みは、功を奏しているとはいえません。米国での主要な死亡原因は、心臓病、癌、脳卒中の3つですが、喫煙、脂肪やコレステロールの多い食事、運動不足といったライフスタイルに関連しています。このようなリスクを高める生活を改めれば、心臓病、癌、脳卒中の予防に役立ちます。しかし、このような生活をやめるように、または今後始めることのないように、医師、看護師その他の専門家が忠告しても、その効果はあまりありません。専門家は、リスクについて説明し、健康的な生活を勧めることはできますが、生活を変えることができるのは患者自身だけだからです。

予防による効果は大きなものですが、予防方法自体にリスクを伴うものもあります。まれなことですが、S状結腸鏡検査で結腸に穴が開くといった重大な事故が起こることもあります。何かの病気にかかっているらしいというあいまいな検査結果が出て、確認のために追加の検査を受けなければならないとき、その不安や金銭的負担が間接的リスクとなります。スクリーニング検査によって、治療が不可能、または治療が不要な異常が見つかることがあります。このような結果を知り、健康を改善しないままでいるのは大きな不安となります。したがって専門家は、検査や治療の恩恵を最も受けやすい人を中心に、バランス良く予防サービスを提供しようと努めます。

主な病気の予防策

病気

予防法

心臓病 食事、運動、薬(必要な場合)によりコレステロール値を正常に維持する;食事、運動、ストレスの軽減、薬(必要な場合)により血圧を正常に維持する;繊維質を豊富に含み、脂肪とコレステロールを抑えたバランスのよい食事をとる;喫煙を避ける
喫煙を避ける(肺癌);繊維質を豊富に含み、脂肪とコレステロールを抑えたバランスのよい食事をとる(乳癌、結腸直腸癌);定期的に乳癌検査(20歳以上の女性)、精巣検査(12〜40歳くらいまでの男性)を受ける;日光を浴びすぎないようにし、紫外線防御成分を多く含む日焼け止めを使用する(皮膚癌);皮膚の変化や出血をチェックする。背中や耳の裏などの見にくい場所は、配偶者などにチェックしてもらう(皮膚癌);異常な量の出血、あるいは直腸から出血がないかをチェックする(結腸直腸癌)
脳卒中 喫煙を避ける;食事、運動、ストレスの軽減、薬(必要な場合)により血圧を正常に維持する;食事、運動、薬(必要な場合)によりコレステロール値を正常に維持する;ストレスと疲労を避ける
慢性閉塞性肺疾患 喫煙を避ける;毒物にさらされるのを避ける(特に工業環境など)
けが 自動車では必ずシートベルトを締める(子供は前部座席には座らせず、チャイルドシートを使う);自転車やオートバイに乗るときは必ずヘルメットをかぶる;スケートをするときには保護用具を着用する;銃器を安全に保管する;薬や毒物は子供の手の届かないところに保管する;火災報知器の作動を確実にする;1人では泳がない;心肺蘇生法(CPR)や、ハイムリック操作など気道閉塞を解消する方法を学ぶ;小さめの敷物は使わないか、しっかりと留めておく;十分な明るさを保つ;転倒防止のため、手すりやつかまり棒を取り付ける;薬を見直して不要なものは服用をやめ、他のものも効き目がある最少量に減らす;運動;アルコールの摂取を適量に抑えるかやめる
糖尿病 定期的に運動する;バランスのよい食事をとる;肥満を避ける;適当な間隔で体重を測定し、理想体重の維持を心がける;モニタリングと学習により血糖値をコントロールする
肺炎 肺炎(肺炎球菌)ワクチンを接種し、リスクプロフィールに基づいて、その後5年ごとに接種する
インフルエンザ 毎年秋にインフルエンザワクチンを接種する
歯の欠損 歯ブラシ、糸ようじやデンタルフロスを使ってきちんと歯を磨く;甘いものの食べすぎを避ける;定期的に歯科医に行く
性感染症 節制する;性行為のパートナーの数を抑える;コンドームを使用し、安全な性行為を行う
肝臓病 アルコールの量を適度に抑える;リスクが高い人はB型肝炎ワクチンを接種する
ストレス 異常な神経過敏、不安、うつ症状、自殺や暴力の考え、過剰なアルコール摂取や薬物の乱用など、精神衛生状態に注意する

これらの予防策に加え、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、前立腺癌のスクリーニング検査を受けることができます。

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