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理学療法

理学療法では、運動療法や、体を動かす訓練を行います。理学療法で行われる訓練には、関節可動域訓練、筋力強化訓練、協調運動訓練、歩行訓練、全身調整訓練、移乗訓練、チルトテーブル訓練などがあります。

関節可動域訓練: 脳卒中を起こしたり、寝たきりの生活が長くなったりすると、関節を動かせる範囲(関節可動域)が狭くなります。関節可動域が狭くなると、痛みが生じ、機能レベルが下がり、床ずれを起こしやすくなります。

関節可動域は、関節の動く角度を測定する、ゴニオメーターと呼ばれる装置で評価します。一般に、関節可動域は年齢とともに狭くなります。しかし、関節可動域が狭くなったからといって、健康な高齢者が自立した活動を行えなくなるわけではありません。

肩の関節可動域を広げる訓練

肩の関節可動域を広げる訓練

理学療法士が一方の手で患者の肩を固定し、もう一方の手で患者のひじをゆっくりと、できるだけ高く持ち上げます。訓練を重ねると、ひじはだんだんと高くまで上がるようになり、関節可動域が広がります。

介助なしに筋肉や関節の運動を行える人は、自力で動かす訓練をします。筋肉が弱って介助なしでは運動できない人や、関節を動かすと痛む人、自力では運動できない人は、介助つきで訓練を行います。介助つき運動や人に動かしてもらう運動による訓練は、けがをしないようにゆっくりと行いますが、多少の苦痛を伴います。

訓練を始める前に、理学療法士は可動域が狭くなったのは靭帯(じんたい)や腱が硬くなったためなのか、あるいは筋肉が硬くなったためなのかを判断します。筋肉が硬くなったことが原因であれば、精力的に関節のストレッチを行います。靭帯や腱が硬くなったことが原因であれば、関節のストレッチは弱めにしますが、関節可動域訓練を進める前に手術が必要となる場合があります。可動域の狭くなった関節を痛みを感じる位置を越えるまで動かしますが、この動きで残存痛(動作をやめた後も続く痛み)が生じることはありません。適度な力で持続的にストレッチした方が、強い力で瞬間的にストレッチするよりも効果的です。持続的なストレッチは、ウエートと滑車を使って1日約20分行います。

筋力強化訓練: 筋力を強化する運動はたくさんありますが、どれも徐々に負荷を増やします。筋肉がとても弱っている場合は、重力だけでも十分な抵抗になります。ストレッチバンドでもウエートトレーニングでも、筋力がついてきたら抵抗を徐々に増やします。こうすれば筋肉の量が増え、筋力もつき、持久力もアップします。

協調運動訓練: これは課題指向型の訓練で、脳卒中や脳の損傷が原因で協調運動やバランス感覚に障害がある人に適しています。この訓練では、ものを持ち上げたり、体の一部にさわったりといった、複数の関節と筋肉を使う重要な動作を繰り返します。

歩行訓練: この訓練の目的は、歩行能力を改善して、1人で歩ける、あるいは介助があれば歩けるようになることです。歩行訓練を始める前に、関節の可動域を広げたり、筋力を強化したりしなければならない場合もあります。矯正装具が必要な場合もあります。訓練は平行棒を使った歩行から始めますが、バランス感覚に障害がある場合は特にこの訓練が必要です。その後は歩行器、松葉づえ、ステッキのような補助器具を使った歩行訓練に移ります。補助ベルトを着けなければならない人もいますが、このベルトは患者の転倒を防ぐために使います。

水平な場所を歩けるようになったら、出っ張りを越える訓練や階段を上る訓練を始めます。階段を上るときには、けがをしていない方の脚から踏み出します。階段を下りるときには、けがをした方の脚から踏み出します。こうした決まりは“良い方は上り、悪い方は下り”と覚えます。

全体調整訓練: 関節可動域訓練、筋力強化訓練、歩行訓練を組み合わせた訓練で、寝たきりの生活や、体を固定された生活から回復させるために行われます。全体調整訓練によって血液の流れが良くなり、心臓や肺の機能も向上します。

移乗訓練: 移乗できるようになることが、しばしばリハビリテーションの重要なゴールになります。ベッドからいす、いすからトイレへの移乗や、いすから立ち上がる動作を1人で安全に行えないと、24時間介助が必要なためです。移乗訓練の種類は、片脚または両脚で体重を支えられるか、聴覚のバランスが取れているか、体の片側が麻痺しているかによって決まります。補助器具が役に立つ場合もあります。たとえば、座った姿勢から立ち上がるのが困難な人は、座面が昇降する起立補助いすなどの補助器具を使うと便利です。

チルトテーブル訓練: 血圧が低い人や、立ち上がるとめまいがする人(起立性低血圧(低血圧: 起立性低血圧を参照))は、チルトテーブル訓練が役に立ちます。踏み台の付いたクッション付きテーブルの上にあお向けに横になり、安全ベルトで固定します。テーブルはとてもゆっくりと傾いていき、ほぼ直角まで立ち上がります。ゆっくりと立ち上がることにより、血管は収縮する力を回復していきます。この姿勢をどれくらいの時間保持するかは患者の慣れ次第ですが、45分を超えないようにします。チルトテーブル訓練は1日に1〜2回行います。この訓練の効果は、患者の障害の程度によって差があります。

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