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薬と薬の相互作用

同じ時間帯に複数の薬を服用すると、薬の効果が他の薬との相互作用によって変化することがあり、注意が必要です。

薬の相互作用は処方薬同士の組み合わせで多くみられますが、アスピリン、制酸薬、充血緩和薬など、最も一般的な市販薬(非処方薬)(市販薬: はじめにを参照)も含まれます。多くの人はアルコールを薬とは考えませんが、アルコールも薬物と同様に生体のプロセスに影響を及ぼし、さまざまな薬と相互作用を起こします。アルコールと薬の相互作用については、医師や薬剤師に尋ねるとよいでしょう。

同じ時間帯に投与された薬がもたらす効果は有益な場合もありますが、無益で有害な場合の方が多くみられます。薬の相互作用には、重複、対抗(拮抗)、1つまたは両方の薬に対する薬物動態の変化などの種類があります。

薬の相互作用を防ぐには

  • 市販薬やサプリメント、ハーブなどの栄養補助食品も含め、どんな薬でも新たに服用する場合は事前にかかりつけの医師に相談する。
  • 使用しているすべての薬を一覧表にまとめ、これを基に医師や薬剤師と定期的に話し合う。
  • 自分がかかっているすべての病気を一覧表にまとめ、これを基に医師と定期的に話し合う。
  • 包括的なサービス(薬が相互作用を起こす危険性のチェックなど)を提供し、患者1人ひとりの完全な薬歴管理を実施している薬局を選び、すべての処方せんをその薬局で調剤してもらう。
  • 処方されたすべての薬の使用目的と作用についてよく知っておく。
  • 起こりうる薬の副作用についてよく知っておく。
  • 薬の服用法や服薬のタイミング、他の薬と同時に服用できるかどうかについてよく知っておく。
  • 市販薬の使用について薬剤師と相談し、かかっている病気や服用しているすべての処方薬について話し合う。
  • 薬は指示通りに服用する。
  • 薬の使用に関係しているかもしれない症状は医師や薬剤師に報告する。
  • 複数の医師にかかっている場合は、必ずそれぞれの医師に服用しているすべての薬を知らせておく。

重複: 同じ効果をもつ2種類の薬を服用すると、薬の治療効果と副作用がともに強まる可能性があります。重複は市販薬に多く、うっかりして同じ有効成分を含む2種類の薬を服用したときに起こります。たとえば、かぜ薬と睡眠補助薬はどちらもジフェンヒドラミンを含み、かぜ薬と痛み止めはともにアセトアミノフェンを含みます。

重複の原因としてさらに多いのは、医師が2つの類似しているが同じではない薬を処方したときです。病気をより効果的に治療しようとして、医師はこうした薬を意図的に処方することがあります。たとえば、高血圧のコントロールが難しい患者に2種類の降圧薬を処方するときなどです。この方法で、血圧がより効果的に下がるだけでなく、1種類の薬を高用量で処方するよりも副作用が少なくなります。癌(がん)の治療でも、より優れた効果と少ない副作用を目的として、いくつかの薬を投与することがあります(併用化学療法)。しかしながら、複数の医師が気づかずに類似した薬を処方したときには、深刻な問題が発生することがあります。たとえば、2人の医師が別々に睡眠補助薬を処方したときや、1人の医師が睡眠補助薬を、もう1人の医師が鎮静作用をもつ別の薬を処方したときなど、過剰な鎮静作用とめまいを引き起こすことがあります。

対抗(拮抗): 反対の作用をもつ2つの薬が相互作用すると、一方または両方の薬の効果が低下することがあります。たとえば、痛みを緩和するイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(痛み: 非ステロイド性抗炎症薬を参照)は、体内に塩分や水分を蓄積させることがあり、ヒドロクロロチアジドやフロセミドのような利尿薬は、体内から余分な塩分や水分を取り除く効果があります。両方の薬を併用した場合は、非ステロイド性抗炎症薬が利尿薬の効果を弱めてしまいます。高血圧や心臓病に使うプロプラノロールなどのベータ遮断薬(ベータ‐ブロッカー)は、喘息(ぜんそく)の治療で使われるアルブテロールなどのベータ刺激薬の効果を打ち消す作用があります。2種類の薬はともに細胞の同じ受容体(ベータ2受容体)(薬が目指す標的となる細胞の受容体を参照)を標的としていますが、1つのタイプはこれらの受容体を遮断し、もう1つのタイプは刺激します。

変化: ある薬によって、他の薬の吸収・分布・代謝・排泄の方法が変わることがあります。薬の中には、多くの薬を不活性化する肝臓のP-450酵素系に作用して、他の薬を通常よりも速く不活性化したり遅く不活性化したりするものもあります。たとえば、フェノバルビタールなどのバルビツール酸がP-450酵素系の活性を高めると、抗凝固薬のワルファリンを速く不活性化してしまうため、同じ時間帯に服用すると効果が減少します。この効果を相殺するためには、ワルファリンの投与量を増やす必要があります。ワルファリンの増量後にフェノバルビタールの投与を中止すると、ワルファリンの濃度が劇的に上昇して、出血の危険性が高まるおそれがあります。こうした場合は、患者を頻繁にモニターし、ワルファリンの投与量を調節する必要があります。

タバコの煙に含まれる化学物質が、いくつかの肝臓の酵素の活性を高めることがあります。このため、喫煙すると、鎮痛薬のプロポキシフェンやテオフィリン(気道を広げる気管支拡張薬)などの薬の効果が減少します。

ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)のシメチジン(潰瘍や胸やけ、胃食道逆流症の治療用)や抗生物質のシプロフロキサシンとエリスロマイシンは、肝臓の酵素活性を弱めて、テオフィリンの作用を持続させることがあります。

一部の薬は、腎臓が別の薬を排泄する速度に影響を与えます。たとえば、ビタミンCを含むサプリメントを大量に摂取すると尿の酸性度が高くなり、ある種の薬の排泄速度や活性を変えることがあります。たとえば、アスピリンのような酸性の薬の排泄速度は低下しますが、プソイドエフェドリンのような塩基性の薬の排泄速度は上がります。

予防

薬の相互作用のリスクは、使用する薬の数や相互作用する薬の傾向、薬の投与量によって異なります。薬の相互作用は、薬の開発中や臨床試験中に見つかることが多く、処方薬や市販薬の添付文書、薬の容器などに記載されています。しかし、より多くの人が長期間使うまで見つからない相互作用も少なくありません。医師や薬剤師は、相互作用の可能性について報告を続け、薬物療法を修正していくことにより、深刻な問題のリスクを減らすことができます。薬の相互作用を調べるには、参考文献や各種のデータベースが役立ちます。患者自身が医療に積極的にかかわることによって、相互作用のリスクを減らすこともできます。

複数の医師から治療を受けている人は、それぞれの医師が服用中のすべての薬を知らない場合もあり、相互作用のリスクが最も高くなります。このリスクは、それぞれの医師に服用しているすべての薬を知らせ、すべての処方せんを同じ薬局で調剤してもらうことで防げます。

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