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安全性への配慮

安全性は、FDAが処方薬を市販薬に分類し直すことを検討する際の重要な懸念事項です。すべての薬は利益とリスクを併せもっているため、薬の恩恵を受けるには、ある程度のリスクは覚悟しなければなりません。どの程度のリスクを受け入れられるかは、個人の考え方によります。

薬を安全に用いるには適正使用が欠かせません。市販薬の適正使用は、消費者の自己診断に依存することが多いので、それだけ間違いもあるわけです。たとえば、ほとんどの頭痛は危険ではありませんが、まれに、脳腫瘍(のうしゅよう)や脳出血の初期の徴候である場合もあります。同様に、ひどい胸やけのように思われたものが、切迫した心臓発作の信号という場合もあります。結局、ちょっとした不調なのか、医学的な治療が必要なのかを判断する常識が必要になります。

市販薬を購入する人は、説明書をよく読んで従う必要があります。即効型製剤や放出制御製剤(徐放剤など)など、さまざまな製剤が同じ商品名をもっているため、製品を購入するたびにラベルをチェックして用量に注意すべきです。同じ薬だから服用量も同じという思いこみは安全ではありません。商品名が同じでも剤形が異なれば、成分が異なる場合もあるので、ラベルに記載されている成分をチェックすることは大切です。たとえば、鎮痛薬のタイレノールにはさまざまな成分を含む製剤が12種類以上あります。胃腸薬のマーロックスには、アルミニウムと水酸化マグネシウムを含む製品と、炭酸カルシウムを含むものがあります。製品を選ぶときは、ラベルを注意深く読み、どの製品が自分の問題に最もふさわしいかを決めるべきです。FDAが要求する市販薬のラベルを見れば、消費者が薬の正しい使い方だけでなく、薬の利益とリスクについても理解できるようになっています。

市販薬には副作用がほとんどないか、あったとしてもわずかだと思っている人が多いようですが、ラベルには、起こりうるすべての副作用が記載されているわけではありません。たとえば、ある鎮痛薬の添付文書には、10日以上この薬を服用し続けないように注意書きがあります。しかしながら、長期使用によって起こりうる重大な副作用(生命にかかわる消化管出血など)については、箱にも、びんにも、添付文書にも記載されていません。そのため、慢性的な痛みや炎症のある人が、こうした重大な問題をはらんでいることを認識しないまま、長期にわたって薬を服用するおそれがあります。

市販薬の選び方と使い方のガイドライン

  • 自己診断が正確かどうか可能な限り確認する。自分の問題が「何か今流行中のものだろう」などと簡単に決めつけない。
  • 有名なブランドというだけで製品を選ばず、症状に適した成分を選ぶ。
  • 適切な成分を、最も少ない数だけ含む製品を選ぶ。あらゆる症状の緩和をうたった製品を使用すると、不要な成分まで服用することになり、薬によるリスクも費用も増大する。
  • ラベルをよく読み、どんな状態には効かないかという情報も含め、正しい投与量と使用上の注意を判断する。
  • 判断がつかない場合は、薬剤師か医師に最も適切な成分や製品は何であるか質問する。
  • 使用中の他の薬と相互作用の可能性はないか薬剤師に確認してもらう。
  • 可能性のある副作用を薬剤師に質問する。
  • 推奨量を超えて服用しない。
  • 市販薬は、ラベルの指示にある最長期間を超えて服用しない。症状が悪化した場合はその薬の服用を中止する。
  • 市販薬を含め、すべての薬は子供の手の届かない所に保管する。

処方薬を市販薬に切り替える際の考慮事項

安全性

  • その薬にはどんな有害作用(誤使用によるものも含む)があるか。
  • 習慣性はあるか。
  • 市販薬として使用できる有益性が危険性を上回るか。
診断と治療の容易さ
  • その薬が必要な症状を普通の人が自分で判断できるか。
  • 医師やその他の専門家の助けがなくても、普通の人がその症状を治療できるか。
ラベル表示
  • 使用上の指示が的確に書かれているか。
  • 危険な使用法についての警告は書かれているか。
  • 普通の人がそのラベルの情報を読んで理解できるか。

Gilbertson, WE「市販薬に関するFDAの審査」(Handbook of Nonprescription Drugs, 10th edition, Washington, DC, American Pharmaceutical Association, 1993, page 29)より改変。

薬のラベルの読み方

市販薬(非処方薬)には、薬の有益性とリスクならびに薬の正しい使い方を説明するラベルをつける必要があります。ラベルには薬の詳細情報(Drug Facts)として、有効成分、効能、使用上の注意、用法・用量、その他の情報、そして非活性成分が記載されています。

有効成分:薬の本体を有効成分といい、配合剤には2つ以上の有効成分が入っています。薬の一般名とともに、錠剤またはカプセル1個あたり、あるいは1回分の服用単位中のその成分の含有量が記載されています。同じ医薬品のジェネリック薬が、数種類の異なる商品名で販売されていることもあります。

効能:その薬が対象とする症状や病名が記載されています。

使用上の注意:薬に期待される作用を変えてしまうことがある要因が、通常4つの項目に分けて記載されています。

  • 「以下に該当する人は、使用する前に医師に相談してください」という項目には、薬を服用すると問題や危険がある場合について記載されています。この項目は薬と病気の相互作用に触れています。
  • 「以下の薬を使用中の人は、使用する前に医師または薬剤師に相談してください」という項目には、薬の有効性または安全性を阻害する可能性のある他の薬が記載されています。この項目は、薬同士の相互作用に言及しています。
  • 「この製品を使用するときは」という項目には、一般的な副作用、薬の有効性または安全性を阻害するおそれのある食品(薬と食品の相互作用)、特に注意すべき事項(たとえば、服用中は運転をしない)などが記載されています。
  • 最後の項目には、妊婦や授乳中の女性、小児に対する特別な注意と、過剰摂取した場合の対処法が記載されています。

用法・用量:年齢層別に薬の用量と頻度が記載されています。これは、いくつかの要因の中でも、体重と年齢が薬に対する反応のしかたに影響を及ぼすからです。

その他の情報:薬が劣化しないようにするための保存方法など、特殊な指示が記載されています。

非活性成分:市販の錠剤やカプセル、その他の剤形の薬には、有効成分のほかに薬を服用しやすくするために加えた物質が入っています。たとえば薬を扱いやすい大きさに増量したり、味や色を好ましいものにする成分などです。同じ有効成分の薬でも、異なる非活性成分が入っていることもあります。非活性成分は通常は無害ですが、中には少数の人にアレルギーを起こすものもあります。こうした人はその非活性成分を含まない製品を探すべきでしょう。

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