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薬の使用に特に注意が必要な場合

小児、高齢者、重い病気の人、妊婦、授乳中の女性は、市販薬も含めて薬による害を受けやすい人たちです。こうした人たちが薬を使用するときは、医師の監督指導を含め特別な予防措置を講じるべきです。

薬同士の危険な相互作用を避けるには、処方薬と市販薬を同時に服用する前に、薬剤師や医師に相談することです。慢性疾患のある人も薬剤師または医師に相談した方がよいでしょう。市販薬は重症疾患の治療を目的として設計されているわけではないので、病気を悪化させることもあります。発疹または不眠など予測しなかった反応が出た場合は、薬の服用をただちに中止して医師の診断を受けるべきです。

小児

小児の体は大人の体とは異なる代謝や反応のしかたをします。小児に対する危険が見つかる前に、薬は何年もの間多くの患者に使われます。たとえば、水ぼうそうやインフルエンザにかかった小児に投与したアスピリンとライ症候群の危険性との間に関連があることを、研究者が確認するまでには何年もかかりました。大半の市販薬が、しかも小児への推奨用量が書いてある市販薬でも、小児に対して十分に試験されていないことを知って驚く医師や両親も少なくありません。せき止め薬やかぜ薬の有効性は、特に小児については立証されていないことから、これらの薬を小児に投与すると、小児を不要な有害作用にさらすことになり、医療費の無駄遣いにもなりかねません。

小児に正しい投与量通りに薬を与えるのが大変な場合もあります。小児の投与量は、2〜6歳とか6〜12歳までというように年齢幅で表すことが多いのですが、年齢が一番良い基準であるとはいえません。小児は同じ年齢層でも体格に大きなばらつきがあるため、体重、身長、体表面積のどれが薬の投与量を決定する最も良い基準であるかについて、専門家の意見は一致していません。小児の体重を基準とした推奨量が、最も簡単な判定方法かもしれません。

薬のラベルに小児に投与する量が指示されていない場合、親の推測で投与すべきではありません。わからないときは、薬剤師か医師に相談すべきです。相談すれば、小児に危険な薬を投与したり、正しく使えば有用な薬を危険な高用量で投与することがなくなるでしょう。

小児を治療するための薬の多くは液状です。たとえラベルに投与量について明確なガイドラインが記載されていたとしても、薬を管理する大人が食事用のスプーンなどで計量すると、間違った投与量を小児に与えてしまうことになります。家庭で液剤を正確に測るのに適しているのは、料理用の計量スプーンです。小児への投与量を測るには円筒形の計量スプーンの方がはるかに使いやすく、正確な量の薬を乳児の口の中に垂らすのには投薬用のシリンジが便利です。経口シリンジを使う前に、先端から必ずキャップを取り除いてください。もしもキャップが偶然に気道に入ってしまうと、小児が窒息してしまうことがあります。

小児用の薬の中には2つ以上の剤形があるものもあります。小児に新しい薬を使うときはそのつど、大人がラベルをよく読む必要があります。

高齢者

正常な加齢変化で、体が薬を処理する速度や方法が変わる上に(高齢者の服薬上の注意を参照)、高齢者は病気にかかりやすいため、一度に2つ以上の薬を服用することが多くなります。こうした理由から、高齢者は若い人よりも副作用や薬の相互作用を経験することも多くなります。高齢者には投与量の調整が必要かどうかをラベルに表示している処方薬はかなり増えてきていますが、これらの情報をラベルに記載している市販薬はめったにありません。

多くの市販薬は潜在的に高齢者には危険です。薬を最大投与量で定期的に服用すると危険が高くなります。たとえば、関節炎を患っている高齢者が鎮痛薬や抗炎症薬を頻繁に使用すると、出血性の消化性潰瘍など重大な結果を招きかねません。高齢者の場合、このような潰瘍は生命にかかわり、何の前触れもなく起こることがあります。

ジフェンヒドラミンのような抗ヒスタミン薬も、とりわけ高齢者には危険です。夜間用の痛み止め薬、せき止め薬、かぜ薬、アレルギー薬、睡眠補助薬の多くには、抗ヒスタミン薬が入っています。抗ヒスタミン薬によって、閉塞隅角緑内障や前立腺肥大など、高齢者によくみられる病気が悪化することがあります。また、めまいやふらつきで、転倒や骨折に至ることもあります。特に高齢者に抗ヒスタミン薬を高用量で投与したり、他の薬と併用投与したりすると、かすみ眼、立ちくらみ、口の渇き、排尿困難、便秘、錯乱が起きることがあります。

高齢者は制酸薬の副作用に敏感です。アルミニウムを含む制酸薬は便秘になりやすく、マグネシウムを含む制酸薬は下痢や脱水を起こしやすい傾向があります。

診察の際に、高齢者は服用しているビタミン剤やミネラル、ハーブなどのサプリメントも含め、すべての市販薬を医師に伝えるべきです。この情報は全体の投薬計画の決定や、市販薬が特定の症状の原因であるかどうかを判断するのに役立ちます。

妊婦と授乳中の女性

妊娠中の女性の場合、薬は主に胎盤を通じて妊婦から胎児に入り(妊娠中の薬物の使用を参照) 、授乳中の女性の場合は、母乳を通じて薬が乳児の体内に入ります。こうした薬は胎児や乳児に作用したり、害をなすことがあります。妊娠中は、アスピリンやビタミン剤(妊婦用以外のもの)を含め、すべての薬を避けるのが一番です。授乳中の女性は、乳児に害を与えることなく、ほとんどの市販薬を服用できます。それでもやはり、妊婦や授乳中の女性は、たとえ市販薬やハーブであっても、薬を服用する前に専門家に相談すべきです。市販薬のラベルには、妊娠中と授乳中の薬の使用について警告が記載されているので、必ずチェックすべきです。

特定のタイプの薬は特に問題があります。このタイプの薬には、抗ヒスタミン薬(せき止め薬やかぜ薬、アレルギー薬、乗り物酔いの薬、睡眠補助薬などに含まれていることが多い)や非ステロイド性抗炎症薬などが挙げられます。妊娠末期の3カ月間は、医師の指示がない限り、非ステロイド性抗炎症薬を使用すべきではありません。なぜなら、この薬は胎児に問題を起こしたり、分娩中に合併症を引き起こすおそれがあるからです。

慢性疾患

多くの場合、市販薬を不適切な形で服用すると慢性疾患は悪化します。市販薬は、基本的に健康な人がときどき使用することを主な目的としているため、慢性または重症の疾患をもつ人や市販薬を毎日続けて使用するつもりの人は、薬局で製品を購入する前に専門家に相談した方がよいでしょう。このような場合の薬の使用は、通常の自己管理の範囲を超えた問題なので、専門家のアドバイスが必要です。

慢性疾患がある場合に注意すべき市販薬

慢性疾患

市販薬

使用上の注意

アルコール依存症 かぜ薬 かぜ薬の中にはアルコールを25%も含む製品もあるため、アルコール依存症を治すには、アルコールの入ったかぜ薬を服用しないように絶えず警戒が必要
糖尿病
  • 抗ヒスタミン薬
  • 充血緩和薬
これらの薬は糖尿病を悪化させ危険な副作用を引き起こすおそれがあるため、糖尿病の人が抗ヒスタミン薬や充血緩和薬を服用する場合は、事前に医師への相談を要する
  せき止めシロップ 糖尿病の人は、砂糖が入っていないせき止めシロップを探して使用する
前立腺肥大
  • 抗ヒスタミン薬
  • 充血緩和薬
前立腺肥大の人は、危険な副作用を起こすおそれがあるため、抗ヒスタミン薬や充血緩和薬を服用する場合は、事前に医師への相談を要する
緑内障 抗ヒスタミン薬 抗ヒスタミン薬の服用で緑内障が悪化することがある
心臓病
  • 制酸薬
  • かぜ薬
心臓病の人は、使用している処方薬との相互作用がない制酸薬またはかぜ薬を選ぶ必要があるため、医師または薬剤師に助言を受けるとよい
 
  • 抗ヒスタミン薬
  • 充血緩和薬
心臓病の人は、危険な副作用を起こすおそれがあるため、抗ヒスタミン薬や充血緩和薬を服用する場合は、事前に医師への相談を要する
高血圧 制酸薬 高血圧の人が制酸薬を選択する場合は、事前に医師への相談を要する
 
  • 抗ヒスタミン薬
  • 充血緩和薬
高血圧の人は、危険な副作用を起こすおそれがあるため、抗ヒスタミン薬や充血緩和薬を服用する場合は、事前に医師への相談を要する
甲状腺機能亢進症
  • 抗ヒスタミン薬
  • 充血緩和薬
甲状腺機能亢進症の人は、危険な副作用を起こすおそれがあるため、抗ヒスタミン薬や充血緩和薬を服用する場合は、事前に医師への相談を要する
腎疾患 制酸薬 腎臓に障害のある人が制酸薬を選択する場合は、事前に医師への相談を要する
ぜんそくや肺気腫などの呼吸器疾患 抗ヒスタミン薬 ぜんそく、肺気腫、慢性の肺疾患のある人は医師の指示がない限り、抗ヒスタミン薬を含む薬(睡眠補助薬、アレルギー治療薬、せき止め薬、かぜ薬など)を服用すべきでない

薬の相互作用

多くの人は市販薬の使用について医師や薬剤師に話すのをなおざりにしがちです。かぜや便秘、たまの頭痛など断続的に服用する薬であれば、なおさら伝えるのを忘れてしまいます。また、専門家の方も、処方や調剤をしているときに、市販薬やハーブを使用しているかどうかを尋ねようとは思いつかないことがあります。しかし、多くの市販薬やハーブは、広範囲の薬との相互作用があります(薬に対する反応に影響する因子: 薬と薬の相互作用を参照)。

これらの相互作用の中には、薬の効果を妨げたり、副作用を引き起こしたりする深刻なものもあります。たとえば、重度の心不全の治療では、わずか1錠のアスピリンでも、エナラプリルなどのアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の効果を低下させてしまうことがあります。アスピリンを抗凝固薬のワルファリンとともに服用すると、異常出血の危険性が高くなることがあります。アルミニウムやマグネシウムを含有する制酸薬は、心臓病に使用されるジゴキシンの吸収を低下させることがあります。総合ビタミン薬やミネラルのサプリメントが、一部の処方薬の作用を阻害することもあります。たとえば、抗生物質テトラサイクリンはカルシウム、マグネシウム、あるいは鉄を含む牛乳製品とともに服用すると、効果がなくなるおそれがあります。

市販薬の薬の相互作用については、系統立った研究はまだ行われていません。多くの深刻な問題は、副作用や死亡が報告された後、偶然に発見されたものです。市販薬のラベルに相互作用の警告が印刷されていても、大半の人にはその意味がよくわからないでしょう。たとえば、プソイドエフェドリンが入った一部のかぜ薬のラベルでは、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬(うつ病の薬)(うつ病と躁病: 薬物療法を参照)の使用やモノアミン酸化酵素阻害薬の中止後2週間の間の使用に対して警告しています。しかし、自分が服用中の抗うつ薬がモノアミン酸化酵素阻害薬(フェネルジンやトラニルシプロミンなど)であることを知らない多くの人にとって、この重要な警告は役に立ちません。

薬の相互作用のリスクを減らす最も良い方法は、薬剤師に相互作用の有無を確認してもらうことです。さらに、医師に服用中の処方薬と市販薬、すべての薬について話しておくとよいでしょう(薬の相互作用を防ぐにはを参照)。

薬に含まれる成分の重複

そのほかに考えられる問題は、薬の重複です。さまざまな病気の治療に使われる市販の医薬品には、同じ有効成分が入っていることがあります。服用するすべての薬のラベルを読まないと、過量摂取になりかねません。たとえば、睡眠補助薬とかぜ薬を服用する人は、そのどちらにもジフェンヒドラミンが入っているため、安全な投与量の2倍の薬を服用するおそれがあります。多くの医薬品にはアセトアミノフェンが入っています。頭痛用のものとアレルギーまたは鼻の疾患用のものなど、2種類の医薬品を同時に服用する人は、アセトアミノフェンの推奨量を超える可能性があります。

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