メルクマニュアル家庭版
米国メルク社とメルクマニュアル
メルクマニュアル家庭版
を検索
索引
記号
セクション

知っておきたい基礎知識

薬についての基礎知識

心臓と血管の病気

肺と気道の病気

骨、関節、筋肉の病気

脳、脊髄、神経の病気

心の健康問題

口と歯の病気

消化器の病気

肝臓と胆嚢の病気

腎臓と尿路の病気

栄養と代謝の障害

ホルモンの病気

血液の病気

免疫の病気

感染症

皮膚の病気

耳、鼻、のどの病気

眼の病気

男性の健康上の問題

女性の健康上の問題

小児の健康上の問題

事故と外傷

その他の話題

付録

解剖図

マルチメディア

単位の換算表

一般的な医学的検査

医薬品の一般名と主な商品名

情報源と支援団体

メルクマニュアル家庭版について

セクション

トピック

はじめに

ハーブ(薬草)とは一般に、細かく砕いたり、抽出したり、その他の方法で調製された、健康上の有益性を得るために使用される植物のことをいいます。機能性食品は、より最近の、より広い意味の用語です。ある種のハーブのような天然の物質を含むグループや、コレステロールを下げるマーガリンやオオバコ強化食品のような製品など、食事を補うために使われ、食品として規制されているものです。

伝統医学は何世紀にもわたって世界中で利用されてきました。中医学やアーユルベーダ(インドのホリスティック医学)、チベット医学など、古くからある特定の医学は広い範囲で、特に発祥地では今でも利用されています。米国では、こうした医学体系による治療、特に慢性疾患の治療に対して関心が高まっています。これらの治療法は補完医療や代替医療(補完医療・代替医療: はじめにを参照)と呼ばれ、その範囲はハーブを用いる薬草療法から鍼(はり)、マッサージにまで及んでいます。その大半が科学的には研究されておらず、ほとんどが法的規制を受けていません。

代替医療で最も多く使用されているのが栄養補助食品(ダイエタリー・サプリメント)です。ビタミン剤などのサプリメント、ハーブを含む製品や機能性食品もこの中に含まれます。米国ではこの種の製品が広く使用されているため、連邦政府は1994年に栄養補助食品健康教育法(DSHEA)を可決しました。この栄養補助食品健康教育法では栄養補助食品を、ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸のいずれかを含み、通常の食事を補うことを目的とするあらゆる製品(タバコを除く)と定義しています。この法令は栄養補助食品に、わかりやすいラベル表示を義務づけています。ラベルにはその製品が薬ではなく栄養補助食品であることや、効能表示が米国食品医薬品局(FDA)の評価を受けていないことを示さなければなりません。また、ラベルには含まれている各成分の名称と分量、総重量を記載し、どの成分が植物由来なのかを明記することも必要です。

代替医療で使用される栄養補助食品のほとんどは植物由来のものですが、動物由来のものもあります。こうした製品は天然の成分なので、使っても安全だと考える人もいます。しかし、自然にあるものだからといって、安全とは限りません。たとえば、毒ニンジンのような強力な毒の多くは植物由来ですし、ヘビ毒は動物由来です。加えて、FDAから承認された薬であろうと栄養補助食品であろうと(薬とは何か: はじめにを参照)、体に影響を及ぼすほぼすべての物質は、望ましい効果と望ましくない効果(副作用)の両方を併せもっています。

安全性と有効性: 栄養補助食品は薬としてFDAの規制を受けないことから、メーカーにはその安全性と有効性を証明する義務はありません(たとえ、歴史的に安全だったものしか残っていないとしても)。そのため、各製品の安全性と有効性に関する厳密な調査はほとんど行われていません(一部はやがて安全で有効であることが示されると思われる)。また、栄養補助食品が人体に及ぼす作用を評価する必要性は、最近になって認識されたばかりで、利用可能な情報の多くは系統的あるいは科学的に収集されていないため、評価するのは困難です。これに対し、処方薬と市販薬はどちらも、広範囲かつ系統的に研究者が試験し、FDAが安全性および有効性を審査します(薬とは何か: 薬の有効性と安全性を参照)。これらの試験には、発癌性や臓器障害を発見する目的で動物に行うものと、人間で何らかの毒性を示す徴候を発見する目的で行うものが含まれます。

栄養補助食品の有効性を支持する証拠の量と質には、著しいばらつきがあります。一部の製品については、有効性を支持する、説得力をもった証拠が示されています。しかし大半は、求める情報が得られるように設計された科学的な研究がありません。中には、有効性を示唆する証拠は個人の使用例の報告や動物実験しかない製品もあります。

純度と標準化: その他の懸念される分野として、栄養補助食品の純度と標準化が挙げられます。薬とは異なり、サプリメントやハーブなどの栄養補助食品は、製品の純度や、含まれていると主張する有効成分とその含有量について規制を受けていません。このため製品によっては純度が低い可能性もあり、また1回の投与量に含まれる有効成分の量が、特にハーブ全体を粉砕したり抽出して作られた錠剤・カプセル・溶液などの製品では、ばらつきがあるかもしれません。つまり消費者は、製品中の有効成分が表示より少ないものや多いもの、場合によってはまったく入っていないものを買うリスクにさらされています。標準化するには、製品の毎回の使用分ごとに、有効成分や他の成分が正確に入っていなければなりません。しかし、ほとんどのハーブ製品は複数の物質を成分として含むため、どの成分が最も活性があるのかわからないものもあります。このため、どの成分(単一または複数成分)を最も有効とみなして標準化すべきなのか、決めるのが難しい可能性があります。標準化され、ラベルに標準化の指定が記載されているサプリメントも一部にはあります。

純度が高く標準化された製品の選び方に関するアドバイスは、専門家によってまちまちです。ほとんどの専門家は、よく知られたメーカーのものを購入するよう勧めています。また、サプリメントへの監視が米国よりも厳しいことから、多くの専門家はドイツで作られた製品を購入することを勧めています。

薬との相互作用: サプリメントやハーブなどの栄養補助食品は、処方薬や市販薬と相互作用を起こすことがあります。こうした相互作用には、薬の効果を増強するもの、低下させるもの、さらには副作用を引き起こすものもあります。こうした相互作用を避けるには、栄養補助食品を使用する前に医師に相談すべきです。栄養補助食品と薬の相互作用を調査する目的で綿密に計画された試験はほとんどなく、相互作用に関するほとんどの情報は、個人に起きた相互作用の散発的な報告例です。

薬との相互作用のおそれがある主なハーブ

ハーブ

影響を受ける薬

相互作用

カモミール 抗凝固薬(ワルファリンなど) カモミールを抗凝固薬とともに使用すると、出血の危険性が高まる
  バルビツール酸(フェノバルビタールなど)、その他の鎮静薬 カモミールは鎮静薬の作用を強めたり、長びかせることがある
  鉄剤 カモミールは鉄分の吸収を低下させることがある
エキナシア 肝臓に障害を起こす可能性のある薬(タンパク同化ステロイド、アミオダロン、メトトレキサート、ケトコナゾールなど) エキナシアを8週間以上使用すると肝臓を損傷する可能性がある。また、エキナシアを肝臓を障害するおそれがある他の薬とともに使用すると、障害の危険性が高くなる
  免疫抑制薬(コルチコステロイド薬、シクロスポリンなど) エキナシアは免疫系を刺激する性質があり、免疫抑制薬の効果を打ち消すことがある
ナツシロギク(フィーバーフュー) 抗凝固薬(ワルファリンなど) ナツシロギクを抗凝固薬とともに使用すると、出血の危険性が高くなる
  鉄剤 ナツシロギクは鉄分の吸収を低下させることがある
  片頭痛の治療薬(エルゴタミンなど) ナツシロギクを片頭痛の治療薬とともに使用すると、心拍数と血圧が上がる可能性がある
  非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 非ステロイド性抗炎症薬は、片頭痛を予防、管理するナツシロギクの効果を低下させる
ニンニク(ガーリック) 抗凝固薬(ワルファリンなど) ニンニクを抗凝固薬とともに使用すると、出血の危険性が高くなる
  血糖値を下げる薬(インスリンやグリピジドなど) ニンニクは血糖降下薬の効果を強め、血糖値を過剰に下げるおそれがある(低血糖)
  サキナビル(HIV感染の治療に使用) ニンニクはサキナビルの血中濃度を下げ、その効果をなくす
ショウガ(ジンジャー) 抗凝固薬(ワルファリンなど) ショウガを抗凝固薬とともに使用すると、出血の危険性が高くなる
イチョウ葉 抗凝固薬(ワルファリンなど)、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬 イチョウ葉を抗凝固薬またはアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬とともに使用すると、出血の危険性が高くなる
  抗けいれん薬(フェニトインなど) イチョウ葉は、発作を防ぐ抗けいれん薬の効果を低下させることがある
  モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬(うつ病の薬) イチョウ葉はモノアミン酸化酵素阻害薬の効果を強め、頭痛やふるえ、躁状態の発現など副作用の危険性を高める
薬用ニンジン 抗凝固薬(ワルファリンなど)、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬 薬用ニンジンを抗凝固薬またはアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬とともに使用すると、出血の危険性が高くなる
  血糖値を下げる薬(血糖降下薬) 薬用ニンジンは血糖降下薬の効果を強め、血糖値を過剰に下げるおそれがある(低血糖)
  コルチコステロイド薬 薬用ニンジンはコルチコステロイド薬の副作用を強めるおそれがある
  ジゴキシン 薬用ニンジンはジゴキシン濃度を上昇させることがある
  エストロゲン補充療法 薬用ニンジンはエストロゲンの副作用を強める可能性がある
  モノアミン酸化酵素阻害薬 薬用ニンジンをモノアミン酸化酵素阻害薬と併用すると、頭痛やふるえ、躁状態が発現することがある
  オピオイド(麻薬) 薬用ニンジンはオピオイドの効果を弱める可能性がある
ヒドラスチス(ゴ−ルデンシ−ル) 抗凝固薬(ワルファリンなど) ヒドラスチスは抗凝固薬の効果と拮抗し、血栓形成の危険性を高めるおそれがある
甘草(リコリス) 降圧薬 甘草は塩分と水分の蓄積を増やして血圧を上昇させ、降圧薬の効果を低下させるおそれがある
  抗不整脈薬 甘草は心拍リズムの異常を起こす危険性が高いため、抗不整脈薬の効果を低下させるおそれがある
  ジゴキシン 甘草は尿の生成を増加させるため、カリウムが尿中に排泄され、血中濃度が減少することがある。甘草をジゴキシンとともに使用すると、カリウム値の低下により、ジゴキシン中毒の危険性が増大する
  利尿薬 甘草は一般に利尿薬の作用を強めるので、カリウムが急激に失われることがある。甘草はスピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿薬の効果を阻害し、利尿薬の効果を弱めるおそれがある
  モノアミン酸化酵素阻害薬 甘草はモノアミン酸化酵素阻害薬の効果を強めるので、頭痛やふるえ、躁状態発現など副作用の危険性を高めるおそれがある
オオアザミ(ミルクシスル) 血糖値を下げる薬(血糖降下薬) ミルクシスルは血糖降下薬の効果を強めるので、血糖値が過剰に低下するおそれがある
  サキナビル ミルクシスルはサキナビルの血中濃度を下げるので、その効果を低下させる
ノコギリヤシ(ソーパルメット) エストロゲン補充療法および経口避妊薬 ノコギリヤシはこれらの薬の効果を強める可能性がある
セントジョンズワート(セイヨウオトギリソウ) ベンゾジアゼピン セントジョンズワートは、不安を軽減するベンゾジアゼピンの効果を弱め、眠気などの副作用の危険性を高めるおそれがある
  シクロスポリン セントジョンズワートは、シクロスポリンの血中濃度を下げてその効果を弱め、危険な結果を招くおそれがある(臓器移植の拒絶反応など)
  ジゴキシン セントジョンズワートは、ジゴキシンの血中濃度を下げてその効果を弱め、危険な結果を招くおそれがある
  インジナビル(エイズの治療に使用する薬) セントジョンズワートは、インジナビルの血中濃度を下げ、その効果をなくすことがある
  鉄剤 セントジョンズワートは、鉄分の吸収を低下させることがある
  モノアミン酸化酵素阻害薬 セントジョンズワートは、モノアミン酸化酵素阻害薬の効果を強める作用があるので、緊急治療が必要な超高血圧を引き起こす可能性がある
  光線感受性薬(ランソプラゾール、オメプラゾール、ピロキシカム、スルホンアミド系抗菌薬など) これらの薬とセントジョンズワートを一緒に使用すると、日光過敏の危険性が高くなる
  選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリンなど) セントジョンズワートは、これらの薬の効果を強めることがある
  ワルファリン セントジョンズワートは、ワルファリンの血中濃度を下げることでその効果を弱め、血栓を形成しやすくする
バレリアン(セイヨウカノコソウ) 麻酔薬 バレリアンは鎮静時間を長びかせることがある
  バルビツール酸 バレリアンはバルビツール酸の効果を強め、過剰な鎮静作用を引き起こすおそれがある
ページの先頭へ

次へ: カモミール

アニメーション
オーディオ
イラスト
写真
囲み解説
ビデオ
個人情報の取扱いご利用条件