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診断

医師は普通、病歴と診察に基づいて、患者に心臓や血管の障害があるかどうか診断します。診断を確定し、疾患の範囲と重症度を確認し、治療計画を立てるために必要な検査を行います。

病歴と診察

医師はまず、症状について尋ねます。胸痛、息切れ、動悸、脚や足首、足、腹部の腫れやむくみ(浮腫)は心疾患を疑います。発熱、筋力低下、疲労感、食欲不振、寒けや不快感など、他のより一般的にみられる症状で心疾患を疑うこともあります。痛み、しびれ(知覚鈍麻)、脚の筋肉のけいれんは、心臓以外の、腕、脚、胴体の動脈の末梢血管疾患を疑います。

次に、医師は以前かかった感染症、化学物質にさらされた経験、薬の使用、飲酒歴、喫煙歴、自宅や職場の環境、休日の過ごし方などについて尋ねます。また、家族に心疾患や心血管系に影響するその他の障害があるかどうか尋ねます。

診察の間、医師は患者の体重や全身状態を記録し、心疾患を示す可能性のある顔の青白さ、汗、眠気などを調べます。また、心疾患が影響を与える場合がある全体的な気分や感情についても記録します。

皮膚の色が青っぽく変化するチアノーゼは貧血や血流の低下を示すため、皮膚の色の観察は重要です。このような所見は、肺疾患、心不全、さまざまな循環障害などにより血液中から十分な酸素が皮膚に届いていないことを示します。

首、わきの下、ひじ、手首、腹部、鼠径部(そけいぶ)、膝(ひざ)、足首、脚の動脈の脈を測り、血流が十分かどうか、体の左右が同じ状態になっているかどうかを調べます。血圧や体温も測ります。何か異常があれば、心血管系の障害を疑います。

首の静脈の視診は、上体を45度傾けた状態で行います。この静脈は、体中から酸素を失って戻ってきた血液を受け取る心臓上部の右心房と直接つながっており、心臓の右側に入っていく血液の量と圧力の指標となります。

皮膚の下の組織に体液がたまって浮腫となっていないかどうか、足首や脚、ときには背中の下側を圧迫して調べます。

眼底鏡(検眼鏡のしくみと働きを参照)は、網膜(眼球の後ろの内側の表面にある光に反応する膜)の血管を観察するために使います。網膜は静脈や動脈を直接観察できる唯一の部位です。網膜内に直接見える異常は、一般的に高血圧、糖尿病、動脈硬化、心臓弁の細菌感染症などです。

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網膜

網膜

医師は胸部を観察し、呼吸数や胸の動きが正常かどうか調べます。指で胸を軽くたたく打診によって、肺が空気で満たされた正常な状態か、体液がたまった異常な状態か判断します。また、打診は、心臓を包む心膜や肺を覆う2層の胸膜に体液がたまっているかどうかを判断するのにも有用です。聴診器で呼吸音を聞くことで、空気の流れが正常か障害されているか、心不全によって肺に体液がたまっているかどうかを判断できます。

患者の胸に手を置き、拍動を最も強く感じる場所を確かめる触診によって、心臓の大きさやそれぞれの拍動における心収縮の性質や力を判断します。ときに、血管内や心房と心室の間で異常な血流の乱れが生じた場合、指先や手のひらで感じられるような振戦と呼ばれる振動が起こります。

聴診器で心音を聞くと、心臓の弁の開閉によって生じる特有の音が聞こえます。弁や心臓の構造に異常があると血流の乱れが生じ、心雑音と呼ばれる特徴的な音が聞こえます。血流の乱れは主に、狭くなったか、または漏れがある弁を血液が通り抜ける際に生じます。しかし、すべての心疾患で心雑音が生じるわけではなく、すべての心雑音が心疾患を示すわけでもありません。たとえば、妊娠中の女性は血流が増加するため、普通に心雑音が聞かれます。乳児や小児でも害のない心雑音がよく聞こえますが、これは心臓の内部構造が小さく、血流が速いためです。高齢者では、血管壁や弁などの組織が徐々に硬くなるため、重い心疾患がなくても、血流の乱れが生じることがあります。また、異常な弁が開くときにクリック音や開放音が聞こえることもあります。心不全の患者では、1回か2回、余剰な心音が生じるので、馬が疾走するときの音に似た奔馬律(ほんばりつ)がよく聞かれます。

オーディオ

血流の乱れ

血流の乱れ

体のどの場所でも、動脈や静脈の上に聴診器を当てると、血流の乱れによる血管雑音が聞こえます。血管雑音は、血管の狭窄、血流の増加、動脈と静脈の間の異常な通路(動静脈瘻[どうじょうみゃくろう])によって生じます。

肝臓の肥大の有無を確認するため、腹部を触診します。肝臓の肥大は、心臓に通じる大静脈に血液がたまっていることを示す場合があります。腹部の腫れは心不全による液体貯留を示すことがあります。腹部を軽く押すことで、医師は脈を測り、腹部大動脈の太さを確認できます。

診断に必要な検査

迅速で正確な診断に役立つ多くの検査があります。たとえば、心電図検査(ECG)、運動負荷試験、電気生理学的検査、ティルトテーブル検査、X線検査、超音波検査(心臓超音波検査[心エコー]を含む)、MRI(磁気共鳴画像)検査、核医学画像検査、ポジトロンCT(陽電子放射断層撮影:PET)検査、心臓カテーテル検査、中心静脈カテーテル検査、血管造影検査などです。CT(コンピューター断層撮影)検査とX線透視検査はほとんど行われません。糖尿病の検査のための血糖や、コレステロールなどの数値を測るための血液検査はよく行われます。

ほとんどの検査法にはごくわずかなリスクしかありませんが、検査が複雑になり、心疾患の重症度が上がるにつれて、リスクが高くなります。

心電図検査

心電図検査(ECG)は、心臓を流れる電気刺激を増幅し、動く細長い紙に記録する検査法で、迅速かつ簡単で、苦痛のない方法です。この記録紙が心電図で、毎回拍動を誘発する心臓の生体ペースメーカー部、心臓の神経伝導経路、心拍数や心拍リズムについての情報が得られます。

心電図の波形の読み方

心電図の波形の読み方

心電図は、1回の拍動の間に心臓を通り抜ける電流を表します。電流はいくつかの部分に分けられ、それぞれアルファベットの名称がついています。

1回の拍動は、心臓の生体ペースメーカー部(洞または洞結節)からの電気刺激で始まります。この電気刺激は心臓の上側にある心房を興奮させ、P波はこの興奮を示します。

次に、電流は心臓の下側にある心室に伝わり、この興奮はQRS波として現れます。

電流はその後、心室を反対方向に戻ります。これを回復波と呼び、T波といいます。

心電図にはさまざまな異常が現れます。たとえば、心拍リズムが速すぎる、遅すぎる、不規則であるなどの異常です。医師が心電図を読むことで、異常な心拍リズムが発生した場所を特定し、その原因を把握するきっかけが得られます。

普通、心電図検査は心疾患が疑われる場合に行います。また、ほとんどの中高年以上の人に対しては特に心疾患の徴候がみられなくても、定期健診の一部として行われています。これは、より最近の心電図と見比べて、心疾患を発症していないかどうかを確かめるために使われます。この検査法は、以前の心臓発作(心筋梗塞)、不整脈、心臓への血液と酸素の供給不足(虚血)、高血圧による心筋肥大などの心疾患を特定するのに有用です。また、心臓の壁が伸びた部位に発達した隆起物で、心臓発作の結果生じる動脈瘤も見つけることができます。

心電図をとるには、腕、脚、胸に電極(皮膚に固定する小さな円いセンサー)をつけます。これらの電極は1拍ごとの心臓内での電流の大きさと方向を測定します。電極はそれぞれ記録装置とつながっており、電極ごとに自動的に記録されます。それぞれの記録はさまざまな方向から心臓の電気的な活動をとらえたもので、これによって心電図が構成されています。心電図をとるのにかかる時間は約3分で、苦痛もリスクもありません。

アニメーション

心電図:波形を読む

心電図:波形を読む
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心電図:正常な心拍

心電図:正常な心拍

運動負荷試験

運動への耐久力は、冠動脈疾患、他の心疾患、肺疾患や貧血といった他の疾患などの存在の有無と重症度、および全身状態と関連しています。運動負荷試験は、運動中に心電図検査と血圧測定を行い、安静時には現れない症状を検出することができます。冠動脈が一部分のみふさがっている場合、心臓は安静時には十分な量の血液を供給できても、運動中にはそれは不可能です。運動負荷試験は心機能のみを調べるので、症状が心疾患によるものなのか、他の疾患によるものかを区別するのに有用です。

心電図を記録するための電極を胸につけます。検査の間、患者はトレッドミル(速度と傾斜が変化するベルトコンベヤー)の上を歩いたり、エクササイズ用のバイクをこいだりします。脚を使った運動ができない場合はアームクランクを使用します。徐々に運動のペースを上げ、運動にかかる負荷を上げていきます。連続的に心電図を記録し、間隔を空けて血圧を測定します。普通は、心拍数が年齢と性別に見合った最大心拍数の80〜90%に達するまで運動を続けます。もし息切れや胸痛などの症状があまりにも不快なものになったり、心電図上や血圧記録に重大な異常が現れた場合には検査をすぐに中止します。検査にかかる時間は約30分です。運動負荷試験はリスクの少ない検査法で、この検査法によって心臓発作を起こしたり死亡する人の割合は約5000人に1人です。

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運動負荷試験

運動負荷試験

運動が行えない人には、心電図検査とともに薬物負荷試験を行います。この検査法では運動負荷試験と同様の情報が得られます。運動の代わりに、ジピリダモール、ドブタミン、アデノシンなどの薬剤を注射し、血流に同じような影響を与えます。

運動負荷試験や薬物負荷試験で、心電図に特定の異常が現れたり、胸痛が悪化したり、血圧が低下した場合には冠動脈疾患を疑います。

完璧な検査はありません。ときには、冠動脈疾患ではないのに検査で異常がみられる偽陽性の結果が出たり、何らかの疾患があっても検査に異常がみられない偽陰性の結果が出る場合があります。特に若く無症状の人の場合、検査で異常があっても冠動脈疾患である可能性は低いです。にもかかわらず、運動負荷試験は、運動プログラムを始めていなかったり生命保険に加入するための評価などで明らかに健康な人に対しても、スクリーニング検査としてよく実施されます。このような場合の陽性結果は偽陽性の可能性が高く、かなりの心配や医療費を生じさせると思われます。このような理由で、ほとんどの専門医は症状のない人に対して運動負荷試験を義務的に行うことに反対しています。

運動負荷試験の精度は、タリウムなどの放射性物質(心血管系の病気の症状と診断: 核医学画像検査を参照)を少量注射することによって、飛躍的に向上します。しかし、この検査法で医療費が増加するので、義務的なスクリーニング検査には不向きです。

携帯型心電計による連続記録

不整脈や心筋への血流不足は、ほんの短時間だったり予想できないときに起こることがあります。こうした変化を検出するため、普通に日常生活をしているときの心電図を24時間連続して記録する携帯型心電計を使用することがあります。

ホルター心電計による心電図の連続記録

ホルター心電計による心電図の連続記録

小型の心電計を一方の肩からひもで下げて装着します。胸につけた電極を通して、心臓の電気的な活動を連続的に心電計に記録します。

この検査では、電池で動く小型の装置(ホルター心電計)を肩からひもで下げて装着します。心電計は胸につけた電極を通して心臓の電気的な活動を検出し、心電図を記録します。検査中に何らかの症状に気づいた場合は、その時間とどのような症状かを日誌に記録します。後に心電図をコンピューターで処理して、心拍数と心拍リズムを解析し、心筋への血流不足を示す電気的な活動の変化を探し、24時間中のすべての拍動の記録を作成します。これによって、日誌に記録された症状と心電図の変化を関連づけることができます。

必要であれば、症状が起こってからすぐに心電図を解読してもらうために、医療機関などのコンピューターに心電図を電送することも可能です。

24時間以上にわたって心電図を記録する必要がある場合はイベント心電図を使用します。ホルター心電計に似た装置ですが、症状が現れたときだけ心電図が記録されます。

携帯型血圧計による連続記録

医療機関で測った血圧が非常にまちまちで高血圧との診断に疑問が生じた場合、24時間記録できる血圧計を使用する場合があります。この血圧測定法では、腰に電池で動く携帯型の装置を装着し、腕に血圧測定カフを巻きます。この装置は、昼夜を問わず24時間あるいは48時間にわたり繰り返し血圧を記録します。記録を解析することで、高血圧であるかどうかだけではなく、その重症度も判断できます。

電気生理学的検査

電気生理学的検査は、心拍リズムや電気伝導の重大な異常を検出するための検査です。検査は入院して行われます。局所麻酔薬を注射した後、たいてい鼠径部を切開し、先端に小さな電極のついたカテーテルを静脈、ときには動脈内に挿入します。カテーテルはX線透視下で位置を確認しながら、大血管を通して心臓の房室内まで挿入します。このカテーテルによって心臓内部から心電図を記録し、電気伝導経路の正確な位置を確認することができます。

普通、医師は、意図的に不整脈を誘発し、特定の薬剤で障害が治まるかどうか、手術で心臓内の異常な電気伝導を元に戻すことができるかどうか、検査の際に判断します。必要であれば、心臓に短い電気ショックを与え(心臓除細動)、正常洞調律にすみやかに回復させることができます。電気生理学的検査は体への侵襲性が高く、麻酔も必要ですが、非常に安全な検査法で、検査による死亡率は5000人に1人です。検査にかかる時間はほぼ1〜2時間です。

ティルトテーブル検査

ティルトテーブル検査は普通、原因不明の失神を起こした人や、大動脈弁狭窄症などの構造的な心疾患のない人に勧められます。一般的に、患者はモーターのついた検査台の上で、体を60〜80度に傾斜させた状態で15〜20分間、連続して血圧と心拍数を測定します。血圧が低下しない場合は、心拍数を毎分20回速めるのに十分な量の、心臓を刺激するイソプロテレノールを静脈に注射し、再度検査を行います。この検査法では、心疾患ではないのに心疾患を示す偽陽性の結果が多くみられます。この検査にかかる時間は30〜60分で、非常に安全です。

X線検査

心疾患が疑われる場合は、必ず正面と側面から胸部X線画像を撮ります。X線画像では心臓の形と大きさ、肺や胸部を流れる血管の輪郭がわかります。心臓の形や大きさの異常、心臓の組織内へのカルシウムの沈着といった異常は容易に発見できます。また、X線画像では、特に肺の中の血管に異常があるかどうか、肺の内部や周囲に液体がたまっているかどうかなど、肺の病態についての情報も得られます。

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胸部X線:正面像

胸部X線:正面像
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胸部X線:側面像

胸部X線:側面像

X線画像で、心不全や心臓弁障害によって起こる心肥大が検出できます。心臓を覆う心膜全体の組織が瘢痕化する収縮性心膜炎による心不全では、心臓は肥大しません。

たいてい、心臓自体の形状よりも、肺の血管の形状の方が診断に役立ちます。たとえば、肺動脈の拡張と肺組織内部の動脈の狭窄がみられる場合は、肺動脈内の血圧の上昇による右心室の筋肉の肥厚を疑います。

ほかに血管が詰まっている個所を検出するために、体のほかの部位のX線画像を撮る場合があります。

X線装置は、検査する部位にX線があたる位置に固定します。X線にさらされる時間は、ほんの何分の1秒かです。

X線の照射によって、すぐには問題は起こりません。照射によって細胞が損傷し、後年になって癌(がん)を発症する危険性は非常にわずかです。浴びた放射線量が多ければ多いほど、危険性は高くなります。このため、非常に低いX線量を用い、X線があたらないよう検査部位以外を保護用の金属で覆います。覆いは、特に妊娠中の女性に重要です。

CT検査

心疾患を診断するのに、普通のCT(コンピューター断層撮影)検査はあまり行いません。しかし、CT検査は心臓、心膜、大血管、肺、胸部の支持組織などの構造的な異常を検出できます。

この検査では、検査を受ける人はCT装置内部のモーターのついたベッドに横たわり、異なる角度から体を一回りするX線が照射されます。一回りの照射が終わると、ベッドが自動的に移動し、次のスキャンが始まります。画像が不鮮明にならないよう、スキャンの間は息を止める必要があります。CT検査は普通のX線検査と異なり、組織の密度の違いを描出できるため、より詳細な画像が得られます。スキャンに基づいてコンピューターは胸部全体あるいは体の他の部分の横断面像を作成し、それはモニター画面で見ることができます。これらの画像から、異常のある部位を特定できます。スキャンにかかる時間は約30分です。

シネCTとも呼ばれる新しい超高速CTでは、3次元化した心臓の動画像が得られます。この検査法は、心臓壁の構造と動きにおける異常を調べるために行われることがありますが、広くは行われていません。

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断層撮影用コンピューター

断層撮影用コンピューター
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コンピューター断層撮影(CTスキャン)

コンピューター断層撮影(CTスキャン)

CT血管造影検査(CTA)はCT検査の1種で、心臓へ血液を供給する冠動脈以外の主な動脈の3次元画像を得るために行います。この画像は冠動脈造影検査(心血管系の病気の症状と診断: 冠動脈造影検査を参照)で得られる性質の画像と似ています。この検査法は、腎臓に至る動脈の狭窄や、動脈内からはがれて血流を通して移動し、肺の細い動脈内に詰まった血液のかたまり(肺塞栓)を検出するために使われます。

血管造影検査と異なり、CT血管造影検査は非侵襲的な検査法です。普通は、X線上で観察できる色素(造影剤)を、血管造影法で動脈内に注射するように、静脈内に注射します。検査にかかる時間は普通、30分以内です。

X線透視検査

X線透視検査は連続的なX線検査で、画面上に心臓の拍動と肺の呼吸に伴う動きを映し出します。しかし、X線量が比較的高いので、多くの場合は代わりに心臓超音波検査(心エコー)などが行われています。X線透視検査は、心臓カテーテル検査や電気生理学的検査の手順の一部として行われています。

心臓超音波検査とその他の超音波検査

超音波検査では、周波数の高い超音波を使用し、内部の構造にあたった反射波によって動画像を作成します。この検査ではX線を使いません。心臓超音波検査は非侵襲的で害がなく、比較的安価で、広く利用でき、優れた画像が得られるため、心疾患の診断に最も広く使われている検査法の1つです。また、体の他の部位の血管を侵す疾患の診断にも使われています。

心エコーは、心臓壁の動きの異常を検出し、1回の拍動ごとに心臓が送り出す血液の量を測定するために使われます。この検査はまた、心不全や心筋炎などの患者でみられる心臓弁の異常、先天性異常、心臓壁や心房や心室の肥厚といった心臓の構造的異常もわかります。さらに、心臓を包む2層の心膜の間に貯留する心膜液や、心膜全体に瘢痕化した組織ができる収縮性心膜炎の診断にも使われます。

超音波検査法には、主にMモード、Bモード(2次元)、ドップラー、カラードップラーという種類があります。Mモード超音波検査法は最も単純な検査法で、調べたい心臓の部位を狙って、1方向に固定された超音波を照射します。Bモード超音波検査法は最も広く行われている検査法で、コンピューターによって作成された詳細な2次元の「スライス」画像が得られます。これらのスライスを積み重ねることによって、3次元構造を再構成することができます。

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Mモード超音波心臓検査

Mモード超音波心臓検査
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2次元の超音波心臓検査

2次元の超音波心臓検査

ドップラー超音波検査法は、血流の方向と速度を描出するので、血管の狭窄や閉塞によって起こる血流の乱れを検出することができます。カラードップラー超音波検査法は、血流の速度の違いを異なる色で示します。これら2つの検査法は、心臓や、胴体、脚、腕の動脈や静脈に影響する疾患を診断するために、一般的に使用されています。それは、これらの検査法が心房、心室の内部と心臓の血管を流れる血流の方向と速度を描出するので、医師が心臓の構造と機能を評価できるためです。たとえば、心臓の弁の開閉は適切か、弁が閉じているときの漏れはどの程度か、血流は正常か、などを決定できます。動脈と静脈をつなぐ異常な通路や、心房、心室の間に穴があるなどの異常も検出できます。

超音波は、片手で操作できるプローブ(探触子)から照射します。心エコーでは、胸部の心臓を覆う程度の領域にジェルを塗り、その領域上でプローブを動かします。プローブは画像を映し出すモニターとつながっています。画像はビデオテープ、コンピューター上のデータ、あるいは紙の形で記録されます。プローブの位置と角度を変えることにより、さまざまな方向から心臓と心臓周辺の大血管を描出できるため、心臓の構造と機能に関する正確な画像を得ることができます。心エコーは痛みがなく、検査にかかる時間は20〜30分です。

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カラードップラー超音波心臓検査

カラードップラー超音波心臓検査

より鮮明な画像を得たり、大動脈あるいは心臓の後側(特に左心房、左心室)を調べる必要がある場合は、経食道心エコーを行います。この検査法では、プローブをのどから食道内へと下ろしていき、心臓の真後ろから反射波を記録します。経食道心エコーはまた、肥満、肺障害、その他の技術的な問題によって普通の心エコーを行うのが難しい場合に使われます。

MRI検査

MRI(磁気共鳴画像)検査では、強力な磁場と電波(ラジオ波)によって心臓と胸部の詳細な画像が得られます。この高価で複雑な検査法は、先天性の複雑な心疾患の診断によく使われます。

検査を受ける人は、普通はそれぞれ異なる方向を向いている体内の原子核を、すべて同じ方向に整列させる大きなMRI装置の内部の寝台に横になります。それからラジオ波が照射され、核は振動して配列を崩します。その後、核は再び整列する際に、心臓の構造の2次元および3次元画像に変換できる、特徴的な信号を発信します。普通は、スキャンの画質を高めるための造影剤を注入する必要はありませんが、場合によっては心筋内の血流が不十分な部位を特定するために、強い磁場に引き寄せられる常磁性造影剤を静脈内投与することがあります。

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電磁石

電磁石
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磁気共鳴画像(MRI)

磁気共鳴画像(MRI)

MRI検査にはいくつか不利な点があります。MRI画像の作成にはCT画像の作成より時間がかかります。心臓の拍動のため、MRI画像はCT画像よりも不鮮明です。さらに、MRI検査の間、巨大な装置の中の狭い空間に微動だにせずに寝ていなければならないので、一部の人は閉所恐怖症になります。閉所恐怖症や肥満の人は、片側が開いている新しい開放型MRI装置を使用できますが、この装置によって得られる画像は従来のMRI画像よりも精度が劣ります。

磁気共鳴血管造影(MRA)は、臓器よりも血管を選択的に描出するタイプのMRI検査法です。MRAが作成する血管や血流の画像は、冠動脈造影検査 (心血管系の病気の症状と診断: 冠動脈造影検査を参照)で得られる画像と質的には似ています。MRAは、大動脈瘤、腎臓に血液を供給する腎動脈の狭窄、心臓に血液を供給する冠動脈の狭窄や閉塞、腕や脚に血液を供給する末梢動脈の狭窄や閉塞などを検出するために実施されます。

血管造影と異なり、MRAは非侵襲的な検査法です。ときに、常磁性造影剤を血管内に注射することもあります。MRAはMRIと同じスキャン装置を使用するため、検査を受ける人は狭い空間に動かずに寝ている必要があります。MRA検査にかかる時間はたいてい1時間以内です。

核医学画像検査

核医学画像検査(放射性核種イメージング)では微量の放射性物質を静脈内に注射します。検査の際に受ける放射線量は、他のほとんどのX線検査と比べるとわずかです。

放射性物質は急速に体中に行きわたります。組織が取りこんだ放射性物質の量は、組織の活動状況を示します。放射性物質は、ガンマカメラで検出できるガンマ線を放出します。この情報をコンピューター処理し、画面上に表示したり、さらに分析するためにコンピューター上のデータとして保存できる画像を作成します。1回のスキャンで1枚の画像が得られます。画像における色の違いは、組織に取りこまれた放射性物質の量の違いを示します。

核医学画像検査は原因不明の胸痛の診断に特に有用です。冠動脈が狭窄している場合、核医学画像検査は、その狭窄が心臓の血液供給と機能にどのような影響を与えたか把握するために使われます。また、バイパス手術や同様の処置の後に、心筋への血液供給がどう改善したかを調べたり、心臓発作後の経過の見通しを決定するためにも使用される場合があります。

疑われる疾患ごとに、異なる放射性物質が使用されます。心筋を通る血流を評価する際は一般的に、テクネシウム99m標識セスタミビやタリウム201を使用し、運動負荷試験(心血管系の病気の症状と診断: 運動負荷試験を参照)の間に画像を撮ります。心筋細胞に吸収される放射性物質の量は、血流に応じて決まります。運動量が最大になると、血液が十分に供給されていない心筋の部位は、吸収する放射性物質の量が少なく、正常な量の血液が供給されている周辺の心筋よりも得られる画像が不鮮明になります。運動が実施できない人の場合、ジピリダモール、ドブタミン、アデノシンなどの薬剤を静脈内に注射し、血流に、運動した際と同じような影響を与えます。これらの薬は異常な血管よりも正常な血管により多くの血液を供給するので、血流が不足している部位が明確になります。

検査を受ける人が数時間休んだ後、2度目のスキャンを行い、得られた画像を運動中の画像と比較します。医師は画像の比較によって、可逆的な血流不足(普通は冠動脈の狭窄が原因)の部位と、不可逆的な血流不足(普通は過去の心臓発作による瘢痕化が原因)の部位を判別できます。

ごく最近、心臓発作を起こした人では、タリウム201の代わりにテクネシウム99mを使用します。テクネシウムを使用すると、心臓発作による損傷を発作の12〜24時間後から約1週間にわたって検出できます。正常な組織に優先的に蓄積するタリウムと異なり、テクネシウムは異常な組織に優先的に蓄積しますが、骨にも蓄積するため、肋骨によって心臓の画像がやや不鮮明になります。

シングルフォトン・エミッションCT(単一光子放射型断層撮影:SPECT)検査は特殊な核医学画像検査で、コンピューター処理により画質を向上させた一連の横断面像が作成できます。これを基に3次元画像も作れます。SPECT検査では、従来の核医学画像検査よりも心臓の機能、血流、異常について詳細な情報を得ることができます。

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放射性核種画像

放射性核種画像

ポジトロンCT検査

ポジトロンCT(陽電子放射断層撮影:PET)検査では、心臓の細胞が機能するのに必要な酸素、糖などの物質にポジトロン(プラスの電荷をもつ電子)を放出する放射性物質をつけます。この栄養素を静脈内に注射すると、数分で心臓に到達します。PET検査は、心筋のさまざまな領域にどのくらいの量の血液が供給され、さまざまな物質の代謝がどの程度行われているかを明らかにするために行われます。たとえば、放射性物質をつけた糖を注射すると、正常な領域よりも多くの糖を消費することから、血液が十分に供給されていない心筋の領域がどこかわかります。

ポジトロンCT検査では他の放射線検査よりも鮮明な画像が得られますが、非常に高額の費用がかかり、広くは普及していません。この検査法は研究用に、およびより単純で安価な検査法では診断できなかった場合に用いられます。

検査を受ける人は、その人の周囲すべてから放出される放射線を検出し、活動状態の高い位置を記録する、環状のポジトロンCT用のスキャン装置の中に入ります。心筋の活動が活発な部位ほど多くのポジトロンを取りこみ、多くの放射線を放出します。心筋の各領域での活動状態の違いはスキャンの結果、異なる色で示されます。コンピューター処理によってその領域の3次元画像が得られます。

心臓カテーテル検査と冠動脈造影検査

冠動脈造影検査で使用される心臓カテーテル検査は、冠動脈疾患を診断する最も確実な検査法です。2つの検査法を続けて行うことは、心臓の各心房や心室内の血圧を直接測定し、冠動脈内部の画像を得る唯一の方法です。これらの検査法は血管形成術や冠動脈バイパス術が技術的に実施できるかどうかを決定するために行われます。その他の心疾患の診断を確定したり、心疾患の重症度を決定したり、症状悪化の原因を明らかにするなどのために実施される場合もあります。

心臓カテーテル検査と血管造影検査は毎年100万人以上に行われています。これらの検査はかなり安全で、合併症がみられることはまれです。心臓カテーテル検査および血管造影検査に伴って、脳卒中や心臓発作、死亡などの重い合併症が生じる可能性は約1000人に1人です。検査を受けた0.01%未満の人が死亡したことになりますが、そのほとんどはもともと重い心疾患かその他の疾患にかかっていた人です。合併症や死亡の危険性は、高齢者で高くなります。

心臓カテーテル検査: 心臓カテーテル検査は、冠動脈疾患ではないさまざまな心疾患の診断と治療に広く使われています。この検査は心臓が1分間に送り出す血液の量(心拍出量)を測定したり、心臓の先天性異常や粘液腫などの腫瘍を検出するために行われます。

心臓カテーテル検査では、針や小切開によって開けた穴を通して、柔軟なチューブ状の手術器具である細いカテーテルを動脈や静脈の内部に挿入します。挿入部位には痛みを感じさせないよう局所麻酔をします。カテーテルは大血管を通して心房や心室内部に進めます。検査は入院して実施し、検査時間は40〜60分です。

カテーテルの先端にはさまざまな器具を付けることができます。それぞれの心房、心室内の血圧や心臓とつながっている血管内の血圧を測定する器具、血管の内部を観察する器具、心臓のさまざまな部位から血液サンプルを採取する器具、顕微鏡検査(生検)のために心臓内部の組織を採取する器具などがあります。集中治療室や冠動脈疾患治療室で心房や心室内の圧力を測定するカテーテルは、その目的のために作られたもので、先端に小さな風船(バルーン)がついており、スワン‐ガンツカテーテルと呼ばれています。

カテーテルを、X線上で観察できる色素を注入するために使用する検査法を血管造影検査といいます。狭くなった心臓の弁を広げるために使用する場合は弁形成術といいます。動脈の狭窄や閉塞を取り除くために使用する場合は血管形成術( 血管形成術の方法を参照)といいます。

動脈にカテーテルを挿入した場合、すべての器具を取り出した後、10〜20分間は穿刺部位や切開部位を圧迫しておく必要があります。圧迫によって出血を防ぎ、あざができるのを防ぎます。たまに、切開部位から出血して数週間にわたり大きなあざが残ることがありますが、普通は自然に消えます。

心臓内にカテーテルを挿入すると不整脈が生じる場合があるので、心電図で心臓の状態を監視します。普通、医師はカテーテルを別の位置に移動させて不整脈を消失させることができますが、それでも消失しない場合はカテーテルを抜去します。非常にまれに、カテーテルを挿入するときに、心臓の壁を傷つけたり穴を開けたりすることがあり、緊急手術が必要となる場合があります。

心臓カテーテル検査は、心臓の右側もしくは左側部分に実施されます。

右心カテーテル検査では、右心房、右心室、その間にある三尖弁についての情報が得られます。右心房は酸素を失って全身から戻ってきた血液を受け取り、右心室はその血液を、二酸化炭素を放出して酸素を取りこむ場である肺へ送り出します。右心カテーテル検査では、カテーテルを普通は腕や鼠径部から静脈内へと挿入します。先端にバルーンのついたカテーテルを右心房、右心室を通って肺動脈の内部に進める肺動脈カテーテル検査は普通、右心カテーテル検査の一端として行われます。

左心カテーテル検査では、左心房、左心室、その間にある僧帽弁、左心室と大動脈の間にある大動脈弁についての情報が得られます。左心房は肺から酸素の豊富な血液を受け取り、左心室はその血液を全身に送り出します。左心カテーテル検査は右心カテーテル検査よりも頻繁に行われます。たとえば左心カテーテル検査は、冠動脈疾患と診断された患者の疾患の範囲を決定したり、冠動脈疾患が疑われる患者の診断を確定するために行います。この検査法は普通、冠動脈の状態を確認する冠動脈造影検査とともに実施されます。

左心カテーテル検査では、カテーテルを普通は腕や鼠径部から動脈内へと挿入します。あまり一般的ではありませんが、右心カテーテル検査と同様に、カテーテルを鼠径部の静脈内から右心房に通し、右心房と左心房を隔てている壁(心房中隔)に穴を開けて、左心房へと進めることもあります。

冠動脈造影検査: この検査法では心臓に酸素の豊富な血液を供給する冠動脈の状態を知ることができます。冠動脈造影検査は左心カテーテル検査と似ており、これら2つの検査はほぼたいてい同時に行われます。検査では局所麻酔を施した後、腕か鼠径部を切開し、細いカテーテルを動脈内に挿入します。カテーテルは心臓へ、さらに冠動脈内へと進めます。挿入の間、X線透視検査(連続的なX線検査)でカテーテルの位置を確認します。カテーテルの先端が冠動脈内に入った後、X線上で観察できる造影剤をカテーテルを通して冠動脈内に注射します。冠動脈の形状は、カテーテルと接続したビデオの画面上に映し出され、テープもしくはディスクに記録されます。普通は、連続的な画像を作成する動画撮影技術が使用され、この検査法はシネ血管造影法と呼ばれます。この検査法では、動いている心房、心室、冠動脈の鮮明な画像が得られます。

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冠動脈造影:カテーテルの挿入

冠動脈造影:カテーテルの挿入
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冠動脈造影:透視検査

冠動脈造影:透視検査

冠動脈造影検査で気分が悪くなることはめったになく、検査時間は普通は30〜50分です。この検査は重症でない限りは外来で行います。

造影剤を大動脈や心房、心室内に注入すると、造影剤が血流を通して拡散するため、一時的に体が温かくなったように感じます。心拍数が増えたり、血圧がわずかに下がることもあります。まれに、造影剤によって心臓の動きが一時的に遅くなったり、停止することさえあります。このようなまれで深刻な状態から回復させるため、検査中に激しくせきをするよう指示が必要な場合があります。吐き気、嘔吐、せきなどの軽い合併症もまれに起こります。ショック(ショックを参照)、けいれん発作、腎障害、心停止などの重い合併症が生じることはきわめてまれです。造影剤に対するアレルギー反応については、皮膚の発疹から、まれには命にかかわるアナフィラキシー(アレルギー反応: アナフィラキシー反応を参照)まで、さまざまです。冠動脈造影検査に伴う合併症が即座に治療できるよう準備を整えてから検査を行います。

合併症が生じる危険性は高齢者で高くなりますが、それでもまだ低いです。冠動脈造影検査は血管形成術や冠動脈バイパス手術(冠動脈疾患: 冠動脈形成術を参照)を考慮する際に、必ず行う検査です。

心室造影検査は血管造影検査の1つで、カテーテルを通して造影剤を左心室か右心室に注入し、X線を用いて撮影します。この検査は心臓カテーテル検査の間に実施されます。この検査法では、左心室や右心室の動きを観察できるため、心臓の血液を送り出す強さを評価することができます。心臓の血液を送り出す強さを基に、駆出分画(1回の拍動で左心室から送り出される血液の割合)を計算できます。心機能の評価は、心臓の損傷の程度を決定するのに有用です。

肺動脈カテーテル検査

肺動脈カテーテル検査は、重篤な状態で特に点滴を行っている場合に、心臓全体の機能を測定するのに有用です。このような重篤な状態には、心不全、心臓発作、不整脈、肺塞栓症などの重い心疾患や肺疾患、心臓手術の直後、ショック(ショックを参照)、重度のやけどなどがあります。

肺動脈カテーテル検査は、右心房と右心室にかかる血圧を測定し、左心房と左心室にかかる血圧や、心臓が1分間に送り出す血液の量(心拍出量)、心臓から運ばれる血液に動脈内でかかる抵抗(末梢抵抗)、血液の容量などを推定するために行います。この検査法では心タンポナーデ(心膜炎の最も重篤な合併症、心タンポナーデについてを参照)や肺塞栓症(肺塞栓症を参照)についての有用な情報も得られます。

肺動脈カテーテル検査は右心カテーテル検査と同様に、先端にバルーンのついたカテーテルを首(鎖骨の下)や腕の静脈内に挿入し、心臓に向かって進めます。カテーテルの先端を上大静脈または下大静脈(体の下方からの血液を心臓へ戻す大静脈)から右心房、右心室を通って肺動脈へと進めます。カテーテルの先端のバルーンが肺動脈内に入るようにします。胸部X線検査かX線透視検査を用いて、カテーテル先端の位置が正しいかどうか確認します。

バルーンをふくらませると肺動脈が一時的に閉塞し、肺の毛細血管内の血圧(肺毛細血管楔入[けつにゅう]圧)が測定できます。この測定値は、左心房内の血圧とみなすことができます。カテーテルを通して血液サンプルを採取できるので、血液中の酸素および二酸化炭素の濃度を測定できます。

この検査が原因でさまざまな合併症が起こることがありますが、おおむねまれです。たとえば、肺を覆う膜の層の間に空気が入る気胸、不整脈、感染症、肺動脈内の損傷あるいは血液凝固、動静脈の損傷などです。

中心静脈カテーテル検査

中心静脈カテーテル検査は、体の上方からの血液を心臓へ戻す上大静脈内の圧力(中心静脈圧)を監視するために行われます。中心静脈圧は血液で満たされているときの右心房内の圧力を反映しています。この測定は、脱水状態であるかどうか、心臓がうまく機能しているかどうかを推定するのに役立ちます。最近は、この検査の代わりに肺動脈カテーテル検査が多く行われています。

末梢血管造影検査

腕、脚、心臓を除く胴体の末梢動脈の血管造影検査は、冠動脈造影検査と似ていますが、検査の際に動脈にカテーテルを入れることはありません。血管造影検査は、動脈と静脈の間をつなぐ異常な通路(動静脈瘻[どうじょうみゃくろう])を検出するために行います。

ドップラー超音波検査やX線検査で末梢動脈に異常が検出された場合は、血管形成術かバイパス手術(血管形成術の方法を参照)(冠動脈バイパス術を参照) を行うかどうかを決定するために選択的血管造影検査を行います。選択的血管造影検査では、検査したい部位の動脈内にカテーテルを通して造影剤を注入するため、その部位の像が濃く映し出されます。

大動脈造影検査は、大動脈瘤や大動脈解離など、大動脈内の直接的な異常の検出に使われます。また、左心室と大動脈の間の大動脈弁の漏れ(大動脈逆流)を検出することもできます。

選択的血管造影検査の前に、動脈の狭窄や閉塞などの異常を検出し、画像化するためにデジタルサブトラクション血管造影検査を行うことがあります。しかし、この血管造影検査によって血管形成術を伴うにせよ伴わないにせよ、手術が必要かどうかを決定するのはまず適切とはいえません。また、冠動脈の鮮明な画像は、造影剤を冠動脈内に直接注入することによって得られるため、デジタルサブトラクション血管造影検査は冠動脈に対して用いる必要はありません。

デジタルサブトラクション血管造影検査では、造影剤を注入する前と後の動脈の画像が得られます。これをコンピューター処理し、造影剤を注入した血管像のみを再構成します。骨などの動脈以外の組織の画像は消去されます。結果的に、動脈がより鮮明に描出され、造影剤も非常に少なくてすむため、標準的な血管造影検査よりも安全といえます。

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