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静脈瘤

静脈瘤とは、脚の表在静脈に起こる異常な拡張のことです。

静脈瘤の正確な原因はわかっていませんが、表在静脈の壁のぜい弱さが主な原因だろうと考えられます。このぜい弱さは遺伝するようです。時がたつにしたがって弱い静脈は弾力性を失っていきます。そのような静脈は伸びて長く広くなり、正常なときと同じ空間に収まるためには、伸びた分を巻きこまなくてはなりません。これは皮膚の下にヘビがとぐろを巻いているようにみえます。静脈瘤は妊娠中にしばしばみられますが、出産後間もなく解消します。

静脈の拡張は延長よりも重大な問題で、弁尖を引き離す原因となります。弁尖が引き離された状態では、起立時に重力の作用によって起こる血液の逆流を止めることができなくなります。その結果、血液が逆流して静脈内に急速にたまります。血液の逆流は、壁が薄くなって蛇行している静脈をさらに拡張させます。正常なら表在静脈から深部静脈へ血液を送る連結静脈の一部も拡張することがあります。これらの静脈が拡張すればその弁も引き離され、筋肉が深部静脈を圧迫するたびに血液が逆に表在静脈内へ噴出して、表在静脈はさらに伸びてしまいます。

静脈瘤内の弁

静脈瘤内の弁

正常な静脈では、弁が閉じることによって血液の逆流を防ぎます。静脈瘤が形成された部位では、静脈が異常に広がっているために弁はきちんと閉じることができません。結果として、血液の逆流が起こります。

静脈瘤がある人の多くに、毛細血管が拡張するくも状静脈もみられます。このくも状静脈は静脈瘤内の血液による圧迫が原因となっている可能性もありますが、一般にまだ解明されていないホルモンが原因と考えられます。ホルモンが原因だとすれば、くも状静脈がみられるのがほとんど女性であり、特に妊娠中に多いことが説明できます。

症状と合併症

静脈瘤は見た目がよくないだけでなく、一般に痛みと脚の疲労を伴います。しかし、痛みがないことも多く、中には非常に大きな静脈瘤ができていても痛みがない場合もあります。靴下やストッキングをはいて脚が温まると特に、膝から下と足首がかゆくなることがあります。かゆみがあると、ひっかいて発赤や発疹ができることがありますが、これはしばしば乾燥肌と間違われます。痛みは、静脈が伸びきっているときよりも、静脈瘤が大きくなるときに悪化します。

静脈瘤の患者で、皮膚炎、静脈炎、出血などの合併症を起こす人の割合はわずかです。皮膚炎が起きると、普通は足首から上の脚の内側が赤くカサカサになり、かゆみのある発疹が出たり、茶色に変色したりします。ひっかいたり毛をそったりした小さな傷でも、出血したり、なかなか治らない痛みのある潰瘍ができたりします。潰瘍からも出血します。静脈炎は自然に起こることも、外傷が原因で起こることもあります。静脈炎は普通痛みを伴いますが、静脈瘤に合併して起きる静脈炎の場合は、ほとんど害がありません。

診断

静脈瘤は普通、皮膚の下のふくらみとして見えますが、症状は静脈が見えるようになる前から現れます。静脈瘤が肉眼で見えなくても、熟練した医師は脚を触診して静脈の拡張範囲を確認できます。

深部静脈の機能を評価するには、X線検査か超音波検査を行います。通常、このような検査が必要となるのは、皮膚の変化や足首のむくみによって深部静脈の機能不全が疑われる場合に限られます。足首のむくみは皮膚の下の組織に体液がたまるのが原因で、浮腫と呼ばれています。静脈瘤だけでは、浮腫は起こりません。

治療

手術や注入療法によって、静脈瘤を切除したりすべて排除しても、この病気は治りません。したがって、治療は主に症状を軽減して外観を改善し、合併症を防ぐために行います。横になるときには脚を高くしたり、座るときには台の上に足を乗せたりすることで静脈瘤の症状を軽減できますが、新たな静脈瘤の形成を防ぐことはできません。妊娠中に出現する静脈瘤は、分娩後2〜3週間で消えるのが普通で、この時期には治療する必要はありません。

弾性ストッキングは静脈を圧迫することにより、静脈が伸びたり傷ついたりするのを防ぎます。手術や注入療法を望まない人や、他の病気のためにこれらの治療を受けられない人は、弾性ストッキングなどをはく必要があります。

手術: 手術の目的は可能な限り多数の静脈瘤を切除することです。しかし、伏在静脈は冠動脈疾患や末梢動脈疾患を起こした場合にバイパス術用の移植片として使用できるため、なるべく残すようにします。伏在静脈は、体内で最も長い表在静脈で足首から鼠径部に達し、そこで大腿静脈(脚の主要な深部静脈)に接合します。伏在静脈を切除しなければならない場合は、静脈抜去術と呼ばれる手術を行います。この手術では鼠径部と足首の2カ所を切開し、伏在静脈の両端を開いて柔軟性のあるワイヤを通してワイヤごと静脈を引き抜きます。

他の静脈瘤を切除するにはその部位を切開します。表在静脈は深部静脈ほどには血液を心臓へ戻すのに役立っていないため、深部静脈が正常に機能していれば、表在静脈を切除しても、血液循環に影響を及ぼすことはありません。

静脈瘤の切除は、長時間の手術となるため普通は全身麻酔で行います。この手術を行うことで症状を軽減し、合併症を防ぐことができますが、傷跡が残ります。静脈瘤を数多く切除すればするほど新たな静脈瘤が形成されるまでの時間は長くなります。しかし新たな静脈瘤ができやすい傾向をなくすことまではできません。

注入療法(硬化療法): 注入療法は手術の代わりに行われる治療法です。この治療法では静脈を密閉するため、血液はその静脈内を流れることができなくなります。静脈を刺激する溶液を注入して、血栓を形成させます。つまり、この治療は無害な表在性血栓静脈炎を起こさせるのと本質的に同じです。血栓は瘢痕組織を形成して消えますが、この瘢痕組織が静脈を閉塞させます。しかし、血栓が瘢痕組織を形成せずに溶解して、静脈瘤が再び開通してしまうこともあります。

注入療法は1930〜1950年代に米国で一般的に行われていましたが、成功率が低く合併症がみられるため選ばれなくなりました。現在の技術では成功率が高く、どのような大きさの静脈瘤に対しても安全に行うことができます。

現在の注入療法では溶液を注入した静脈を圧迫し、血栓を小さくする効果のある特殊な包帯を使用します。血栓が小さければ小さいほど、期待通りに瘢痕組織が形成される可能性が高くなります。さらに、この療法では適切な圧迫を加えることによって、表在性静脈炎に伴う痛みをなくせるという利点もあります。

注入療法は手術よりも時間がかかりますが、麻酔を必要としない、新たな静脈瘤が形成されてもすぐに治療ができる、治療中も普段通りの生活ができる、などの利点があります。しかし、たとえ現在の技術をもってしても、注入療法は手術後に静脈瘤が再発した場合や患者が美容上の改善を望む場合にのみ考慮すべきだという医師もいます。

くも状静脈で外観が悪く、痛みや熱感を伴う場合にも注入療法が行われます。

レーザー療法: 静脈瘤治療のためのレーザー療法はまだ一部の外科医によって実験的に行われているにすぎません。この治療は高度に集束した強い光を連続的に使用して、組織を切除したり破壊するものです。この治療の有効性はまだ不明です。パルスレーザー療法は、小さなくも状静脈の治療に適用できます。この治療は、光のあて方が瞬間的であることを除けば、レーザー療法とほとんど変わりません。

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