メルクマニュアル家庭版
米国メルク社とメルクマニュアル
メルクマニュアル家庭版
を検索
索引
記号
セクション

知っておきたい基礎知識

薬についての基礎知識

心臓と血管の病気

肺と気道の病気

骨、関節、筋肉の病気

脳、脊髄、神経の病気

心の健康問題

口と歯の病気

消化器の病気

肝臓と胆嚢の病気

腎臓と尿路の病気

栄養と代謝の障害

ホルモンの病気

血液の病気

免疫の病気

感染症

皮膚の病気

耳、鼻、のどの病気

眼の病気

男性の健康上の問題

女性の健康上の問題

小児の健康上の問題

事故と外傷

その他の話題

付録

解剖図

マルチメディア

単位の換算表

一般的な医学的検査

医薬品の一般名と主な商品名

情報源と支援団体

メルクマニュアル家庭版について

セクション

トピック

診断

医師は、病歴や診察に基づいて、肺や気道の病気であるかどうかを判断します。診断を確定し、病気の程度や重症度を調べ、治療の計画を立てるために、さまざまな検査を行います。

問診と診察

医師は診察時にまず症状を尋ねます。胸の痛み、息切れ(呼吸困難)、せき、喀血、喘鳴、喘音などは、肺か気道の病気であることを意味します。そのほか、発熱、脱力感、疲労感、悪寒、けん怠感などの全身症状も、肺や気道の病気を意味します。

次に、(1)過去にかかった感染症(2)化学物質にさらされた経験(3)麻薬、酒、タバコの習慣(4)自宅や職場の環境(5)旅行(6)余暇の過ごし方―について聞かれます。家族で、肺や気道の病気や、それによって起こる他の病気にかかったことのある人がいるかどうかも聞かれます。

診察で、医師は患者の体重や全身の状態を調べます。患者の気分や精神状態は、肺や気道の病気の影響を受けるので、こちらも尋ねます。さらに、患者に歩いたり階段を上ったりするよう指示し、息切れが起こるかどうかをみます。

皮膚の色の観察も重要です。青白かったり、チアノーゼがみられる場合は、貧血や血流量の不足が考えられます。これらの所見は、肺や気道の病気によって、皮膚が血液から十分な酸素を受け取っていないことを示します。ばち指かどうかも調べます。

医師は胸の診察をし、呼吸数や心臓の動きが正常であるかを確認します。肺に十分な空気があるかどうか、胸を軽く叩いて(打診)確認します。十分な空気があれば正常ですが、液体が含まれている場合は異常です。聴診器で呼吸音を聞き、空気の流れは正常か、気道が狭くなっている所はないか、呼吸不全や肺炎などによって肺に液体がたまっていないかどうかを確認します。胸部の診察に加えて、全身の各所をくまなく診察します。肺に関する病気ではないのに、初期に肺に障害があるような徴候が現れる病気はたくさんあるからです。たとえば、腹部からの腫瘍の転移を示す胸水などです。

肺機能検査

肺の病気の際に行う検査は、肺が十分に機能しているかを正確に測定するためのものです。さまざまな検査によって、多くの側面から肺の機能を測定します。

肺機能検査と呼ばれる一連の検査があります。その検査では、肺が取りこむことができる空気の量、肺が出し入れできる空気の量、肺が交換できる酸素と二酸化炭素の量などを測定します。これらの検査は病気の原因を突き止めるというより、病気の種類や重症度を調べるのに適しています。しかし実際には、これらの検査は、喘息を含むさまざまな病気の診断の目的でも使われています。肺機能検査には、肺の容量、呼吸量、フローボリューム、呼吸に使う筋力、拡散能力などの測定が含まれます。

肺の容量と呼吸量の測定: 肺の病気を評価するため、肺がどのくらいの量の空気を吸いこめるか、どのくらいの空気をどのくらいの速さで吐き出すことができるかを調べる検査を行います。この測定には、記録装置にチューブをつなぎ、それにマウスピースをつけたスパイロメーター(肺活量計)を用います。患者は深く息を吸ってから、できるだけ速く力いっぱいチューブに息を吐き出し、その間に測定を行います。吸った空気と吐いた空気の量、1回ごとの呼吸の長さが記録され、分析されます。多くの場合、気管支拡張薬を服用した後、同じ検査を繰り返します。

ビデオ

スパイロメーター検査:使い方

スパイロメーター検査:使い方
ビデオ

スパイロメーター検査:記録

スパイロメーター検査:記録

スパイロメーターの使い方

スパイロメーターの使い方

スパイロメーターは、マウスピースとチューブ、記録装置から構成されています。スパイロメーターを使用するときは、深く息を吸ってから、できるだけ速く、空気を力いっぱいチューブに吐き出します。記録装置は、吸いこんだ空気量と吐き出した空気量、また1回ごとの呼吸の長さを測定します。

呼気の速さを患者自身で測定できる簡単な器具をピークフローメーターといいます。患者は息を深く吸いこみ、小さく持ち運びしやすい器具に、できるだけ強く息を吐き出します。この器具は安価で、喘息や他の肺疾患のある患者が、自分の病状や治療の効果などを自宅で記録しておく際に便利です。

写真

ピークフローメーター

ピークフローメーター

肺の容量を測定することにより、呼吸筋の強さのほか、肺や胸郭の硬さや弾力性もわかります。肺線維症や背骨の弯曲(脊柱側弯症)などでは数値が異常に低く、重症筋無力症(末梢神経の障害: 重症筋無力症を参照)やギラン‐バレー症候群(末梢神経の障害: ギラン‐バレー症候群を参照)など、横隔膜などの呼吸筋の力が衰えるさまざまな神経筋障害でも、数値の異常な低下がみられます。

呼吸量の測定によって、気道の狭窄や閉塞の程度がわかります。気管支炎や肺気腫、喘息などの閉塞性疾患があると、数値に異常が出ます。

フローボリューム検査: 最新のスパイロメーターは、強制的に呼吸をさせている間、継続的に肺の容量と呼吸量を表示します。呼吸量は、声帯(喉頭)や気管の一部をふさいでいる異常を見つけ出すのに非常に役立ちます。

筋力の評価: 圧力計に向かって息を吸ったり吐いたりすることで、呼吸筋の強さを測ることができます。筋ジストロフィなどのように筋力が低下する病気では、呼吸が困難になるため、息を吸うときも吐くときも圧力が低くなります。この検査は、人工呼吸器を使っている患者が、装置をはずして自力で呼吸ができるかどうかを予測する場合にも役立ちます。

拡散能力の測定: この検査は、酸素が肺胞から血液中にどれだけ効率良く入っていけるかを測定します。酸素の拡散能力を直接測定するのは難しいため、患者はごく少量の一酸化炭素を吸い、10秒間息を止めてから一酸化炭素検知器の中に息を吐き出します。

もし、この検査で一酸化炭素が十分に吸収されない場合、酸素が肺と血液との間で正常に交換されていないことになります。肺線維症や肺気腫、肺血管系に異常がある病気の患者では、拡散能力に異常がみられるのが特徴です。

睡眠の検査

呼吸は無意識のうちに行われており、血液中の酸素と二酸化炭素の濃度にしたがって、脳の中枢で調節されています。この調節が障害されると、呼吸が長時間にわたって止まります。特に睡眠中に止まる状態を、睡眠時無呼吸(睡眠障害: 睡眠時無呼吸症候群を参照)といいます。睡眠時無呼吸の検査には、脳の活動波形を記録する脳波検査、パルスオキシメーター(電極を指先や耳たぶに挟んで用いる)による血液中の酸素濃度の測定、一方の鼻の穴の中に装置を置いて行う呼吸中の空気の動きの測定、胸壁の動きの測定などがあります。これらの検査すべてを総称して睡眠時ポリグラフ検査と呼びます。

動脈血ガス分析

動脈血中の酸素と二酸化炭素の濃度を測定する検査を動脈血ガス分析といいます。静脈血は血液サンプルとして使うことはできません。動脈からサンプルを採るには技術を要し、患者は数分間、痛みを感じます。血液サンプルは通常、手首の橈骨(とうこつ)動脈から採取します。動脈血中の酸素と二酸化炭素の濃度は、肺がどのように効率的に酸素を血液中に取り入れ、二酸化炭素を血液中から放出しているかを反映しているので、肺機能を示す重要な指標となります。

酸素濃度は、パルスオキシメーターを用いて観測することもできます。患者が重症の場合、もしくは二酸化炭素濃度や血液の酸性度も知りたい場合には、動脈血のサンプルが必要になります。

胸部の画像診断

通常、胸部X線検査は背中側から正面に向かって撮影しますが、補足的に側面からの画像を撮ることもあります。胸部X線検査では、心臓や主要な血管の輪郭が鮮明に示され、肺やその周辺部、肋骨などの胸壁にある重い病気が明らかになります。たとえば、肺炎、肺腫瘍、肺気腫、無気肺(つぶれた状態の肺)、胸膜腔(肺と胸壁内部を覆う2層の胸膜の間のすき間)内にたまった空気(気胸)や液体(胸水)などが、胸部X線検査で診断できます。病気の原因を確定するには、胸部X線検査だけでは不十分ですが、ほかにどのような検査が必要かを判断するために役立ちます。

写真

胸部X線:正面像

胸部X線:正面像

胸部のCT(コンピューター断層撮影)検査では、胸部X線検査より詳細な画像が得られます。連続したX線画像をコンピューターで分析するCT検査によって、いくつかの横断面の画像も得られます。胸部の異常所見をさらに鮮明に映し出すために、造影剤を注射したり飲んだりしてから、胸部のCTを撮ることもあります。

写真

コンピューター断層撮影(CTスキャン)

コンピューター断層撮影(CTスキャン)

MRI(磁気共鳴画像)検査でも、非常に詳細な画像が得られます。MRI検査は、大動脈瘤などのような胸部の血管への異常が疑われるときにはとても役立ちます。CTと異なり、MRIでは放射線を使用しません。

写真

磁気共鳴画像(MRI)

磁気共鳴画像(MRI)

超音波検査は、体内での音波の反響を基に、それを画像化し、モニターに写し出します。超音波検査は、胸膜腔にある液体を検出するためによく使われます。また、その液体を針で吸引する際、位置を決めるためにも使われます。

放射性物質を使った肺スキャンでは、半減期の短い放射性物質を少量使用し、肺を通る空気と血液の流れを映し出します。この検査は、2段階で行われます。第1段階は「肺換気スキャン」といい、放射性のガスを吸入し、ガスが気道や肺胞を通って分散していく様子をスキャナーが画像化します。第2段階は「肺血流スキャン」といい、放射性物質を静脈内に注射して、これが肺の血管内に広がっていく様子をスキャナーが画像化します。このような画像化は、肺塞栓症を見つける際に非常に有効です。また、この検査は、肺癌患者に対し、手術前に実施されることもあります。

写真

放射性肺スキャン

放射性肺スキャン

血管造影法は、肺に血液が流れる様子を正確に映し出す検査法です。X線画像上で観察できる造影剤を血管内に注射し、肺の動静脈の画像を撮影します。血管造影法は、肺スキャンの結果が異常で、肺塞栓症が疑われる場合に主に行われます。肺動脈血管造影法は、肺塞栓症かそうでないかを診断するのに、決定的な検査法と考えられています。

写真

肺動脈造影写真

肺動脈造影写真
写真

動脈造影:肺塞栓

動脈造影:肺塞栓

ポジトロンCT検査

ポジトロンCT(陽電子放射断層撮影:PET)検査は放射性物質を用いた画像診断法の1つで、癌などの悪性組織と良性組織の代謝率が異なることを利用しています。つまり、この検査は癌が疑われる場合に行われます。放射性物質をつけたブドウ糖分子が静脈内に注射されます。ブドウ糖分子は、悪性リンパ節内など、代謝の速い組織に蓄積していくので、PET検査によって検出できます。良性の腫瘍には蓄積されません。

胸腔穿刺術

胸腔穿刺術では、胸膜腔に異常にたまった液体(胸水(胸膜疾患: 胸水を参照))が注射器で抜き取られ、分析されます。胸腔穿刺術を行う理由は主に2つあります。肺組織が圧迫されて起こる息切れを和らげることと、診断に必要なサンプルを採ることです。

液体を抜き取る間、患者は楽な姿勢で座り、台の上に腕を乗せ、体を前に傾けます。背中の一部分の皮膚を消毒し、その部分のみに麻酔をします。その後、医師が肋骨の間に針を差しこみ、液体を注射器で抜き取ります。針を刺し入れる位置を決めるため、エコーを使うこともあります。得られたサンプルは、化学的な組成を調べたり、細菌や癌性の細胞があるかどうかを確かめるために分析されます。

大量の液体がたまっている場合は、プラスチック製のカテーテルで抜き取ります。胸腔穿刺術の間に、液体が再びたまるのを防ぐために、胸膜腔内にドキシサイクリン(テトラサイクリン系の抗生物質)などを注入することもあります。

胸腔穿刺術の実施中や術後に、合併症を起こすリスクはわずかです。ときに、肺に空気が入り、肺が胸壁を広げながらふくらむにつれて、痛みを感じることがあります。また、めまいや息切れを少しの間感じることもあります。その他の合併症として、肺に穴を空けることで起こる胸膜腔への空気の漏れ(気胸)、胸膜腔や胸壁内部の出血、失神、感染症、脾臓や肝臓への誤った穿刺などがあります。非常にまれですが、血管の中に誤って空気の泡が入り、空気塞栓症を起こすこともあります。穿刺後は、異常のないことを確認するため、胸部X線検査を行います。

胸膜または肺の針生検

胸腔穿刺術で胸水の原因がわからなかった場合、胸膜生検を行います。まず、胸腔穿刺術と同様、皮膚に麻酔をします。太い針を使って胸膜組織の小さなサンプルを採取し、癌や結核の徴候があるかどうかを調べるため、検査室へ送ります。胸膜生検によって、これらの病気は約85〜90%の正確さで診断できます。

肺の腫瘍から組織を採る必要がある場合、肺の針生検を行います。皮膚に麻酔をした後、胸部CT検査で位置を決め、生検用の針を腫瘍内に挿入して組織の細胞もしくは小片を採取し、分析のため検査室へ送ります。肺の感染症が疑われる場合は、採取した組織を培養します。胸膜や肺の生検の合併症は、胸腔穿刺術と同じです。

気管支鏡検査

気管支鏡検査では、自在に曲げられる気管支鏡を通して、声帯(喉頭)や気道を肉眼で観察することができます。気管支鏡の先端にはライトがついており、気管支を通して、肺の内部まで見ることができます。

ビデオ

気管支鏡検査:気道の視覚化

気管支鏡検査:気道の視覚化

気管支鏡検査の方法

気管支鏡検査の方法

気道を実際に観察するために、自在に曲げられる気管支鏡を患者の鼻から気道の内部へと挿入します。下記の円内は、検査を行う医師がどう見えるかを示しています。

気管支鏡検査は、診断にも治療にも役立ちます。自在に曲がる気管支鏡は、分泌物や血液、膿、異物などの除去や、肺の一部分への薬の投与、出血部分の特定などに利用できます。肺癌が疑われる場合は、気道を観察したり、疑わしい場所からサンプルを採取できます。気管支鏡では、他の方法では採取も特定も困難な、肺炎を起こす微生物を採取できます。気管支鏡は、エイズやその他の免疫不全症のある患者の肺から、サンプルを採取する際にも役立ちます。やけどをしたり、煙を吸いこんだ患者の、喉頭や気道の傷害の程度を判断する際にも、気管支鏡は有用です。

気管支鏡検査を行う前は、少なくとも4時間、飲んだり食べたりしてはいけません。不安を和らげるために、鎮静薬がよく投与されます。検査中にたまに起こる声帯のけいれんや心拍数の減少というリスクを低下させるため、アトロピンが投与されます。のどと鼻に麻酔薬がスプレーされ、鼻の穴から肺の気道内へと気管支鏡を通します。

写真

気管支鏡検査

気管支鏡検査
ビデオ

気管支鏡検査:挿入

気管支鏡検査:挿入

気管支肺胞洗浄は、気管支鏡が入らない細い気道や肺胞から、サンプルを採取する方法です。細い気道の中へ気管支鏡を差しこんだ後、器具を通して生理食塩水を注入します。その後、液体を気管支鏡内に吸引すると、同時に細胞や細菌なども吸いこまれてきます。得られたサンプルを顕微鏡下で観察し、感染症や癌の診断に役立てます。サンプルの培養は、感染症を診断する上で、より適した方法です。気管支肺胞洗浄は、肺胞タンパク症(浸潤性肺疾患: 肺胞タンパク症を参照)などの病気の治療にも使われます。

経気管支肺生検は、気管支の壁を通して肺組織のサンプルを採取する方法です。気管支鏡に生検用の器具を通し、細い気道の壁を通して肺の病気が疑われる場所へとそれを差し入れて、組織片を採取します。疑わしい場所を特定し、気管支鏡の位置を決めるためにX線透視装置を使います。この装置を使うことによって、気胸(胸膜疾患: 気胸を参照)が起こるリスクを減らすことができます。経気管支肺生検は合併症のリスクを高くしますが、診断の正確さを高めるために役立ち、大きな手術が必要ではなくなることもあります。

経気管支針生検はたまに行われます。この方法は、気管支鏡を通した針を気管支の壁の中に差し入れ、病気が疑われるリンパ節からサンプルを取り出します。

気管支鏡検査を行った後は、数時間ほど患者を観察します。組織のサンプルを採取した場合は胸部X線を撮り、出血などの合併症が起こっていないかを確認します。

胸腔鏡検査

胸腔鏡検査では、胸腔鏡を通して肺の表面や胸膜腔を肉眼で観察します。胸腔鏡検査は、生検によって肺の組織サンプルを採取する、最も一般的な方法でもあります。胸腔鏡は、胸水の治療にも使用されます。

この検査は、全身に麻酔をかけて行います。胸壁の3カ所を小さく切り開き、胸膜腔内へ胸腔鏡を通します。これによって空気が胸膜腔内へ入り、肺はつぶれた状態になります。肺の表面や胸膜を観察できるほか、顕微鏡検査や培養のための組織サンプルを採取したり、胸水がたまるのを防ぐために、胸腔鏡を通して薬を投与することもできます。胸腔鏡を取り出した後、検査中に胸膜腔に入った空気を抜くために胸部にチューブを挿入すると、つぶれた肺が再びふくらみます。

合併症は、胸腔穿刺術や胸膜の針生検と同じです。しかし、この検査法は患者への負担がより大きく、小さな傷口も残り、入院と全身への麻酔が必要です。

縦隔鏡検査

縦隔鏡検査は、縦隔鏡を通して2つの肺の間の胸部(縦隔)を肉眼で観察します。縦隔には心臓、気管、食道、胸腺、リンパ節などが内包されています。縦隔鏡検査では、リンパ節腫大の原因を診断するか、胸部手術(開胸術)の前に肺癌がどの程度広がっているかを診断します。

縦隔鏡検査は、患者の全身に麻酔をかけて、手術室で行います。胸骨の少し上部にあるくぼみを小さく切り開きます。その後、胸部内へ器具を入れて、縦隔内部をくまなく観察でき、必要なときには検査のためのサンプルを採取できる状態を作ります。起こりうる合併症は、胸腔穿刺術や胸膜の針生検と同じです。

開胸術

開胸術は、胸部の内臓を観察したり、検査のための組織サンプルを採取したり、肺、心臓、主要な動脈などの病気を治療するために、胸壁を開いて行う手術です。

開胸術は、肺の病気を最も正確に診断できますが、大きな手術であるため、他の診断法よりも、実施されることはまれです。開胸術は、胸腔穿刺術や気管支鏡検査、縦隔鏡検査などでは十分な情報が得られなかった場合に行われます。サンプルを採取する場所を実際に見て選び、かつ大きな組織サンプルを採取できるため、開胸術を行った患者の90%以上で、肺の病気が何かを確定することができます。

開胸術は手術室で実施され、全身への麻酔が必要です。胸壁を切開し、顕微鏡検査のための肺の組織サンプルを採取します。両方の肺からサンプルを採取したい場合には、胸骨を縦に切断します。必要な場合には、肺の一部や肺葉、または肺全部を摘出します。

その後、胸部にチューブを挿入し、24〜48時間そのままにしておきます。患者は普通、数日間入院します。合併症には、感染症、出血や空気の漏れの持続などがあります。

吸引

吸引は、気管や太い気管支から分泌物や細胞を採取するために使います。顕微鏡検査やたんの培養に使うサンプルを採取したり、せきでは気道から分泌物が除去されない場合にそれを取り除くために役立ちます。

長く、自在に曲げやすく透明なプラスチック製のチューブの一方の先端に吸引ポンプをつけます。もう一方の先端は、鼻の穴または口から気管へと挿入します。チューブが正しい位置に来たら、2〜5秒間の吸引を断続的に行います。気管切開を行った患者では、チューブを直接気管内に挿入します。

ページの先頭へ

前へ: 症状

アニメーション
オーディオ
イラスト
写真
囲み解説
ビデオ
個人情報の取扱いご利用条件