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腱炎と腱滑膜炎

腱炎は腱の炎症で、腱滑膜炎(腱鞘炎)は、腱の周りの保護皮覆の炎症を伴う腱炎です。

腱は丈夫な線維組織の束で、筋肉と骨をつないでいます。腱鞘は、腱の周りを包んでいます。

腱炎は中高年に多く発症します。腱が損傷を受けやすくなるためです。しかし、激しい運動をする人(回旋筋腱炎(スポーツ障害: 肩腱板炎を参照)を起こす)や反復性の作業をしている人は、若くても起こります。

手や前腕の腱は、特に炎症を起こしやすく、手から親指に向かって伸びている腱の炎症はド・ケルヴァン症候群と呼ばれています。炎症が起こると、指の握りをコントロールしている屈筋腱がスムーズに腱鞘を通れなくなり、指を動かすと弾けるような感覚を生じます(ばね指(ばね指とはを参照))。上腕二頭筋上の腱(上腕二頭長頭腱)が炎症を起こすと、ひじを曲げる、腕を上げる、ひじを回すなどの動作で痛みが現れます。かかとのアキレス腱(スポーツ障害: アキレス腱炎を参照)や足の甲側を通っている腱も、炎症が起こりやすい腱です。

関節リウマチ、強皮症、痛風、ライター症候群といったある種の関節の病気は、腱滑膜炎の原因となります。特に女性で淋菌感染症にかかっている人は、淋菌が月経中や妊娠中に肩、手首、指、股関節、足首、足の関節へ広がって腱滑膜炎を発症します。

症状と診断

炎症を起こした腱は、動かしたり、さわると痛みを伴います。腱の近くの関節をわずかでも動かすと、強い痛みを伴います。腱鞘は、液体がたまって炎症を起こしているので、明らかに腫れることがあります。強皮症で起こる慢性腱滑膜炎では、腱鞘が乾いたまま他の組織とまさつがあるため、ギーギーこするような感覚があり、関節を動かすと聴診器できしみ音が聞こえることがあります。これを「腱まさつ音」といいます。

治療

腱炎の症状を軽減するいくつかの治療法があります。患部の安静、そえ木やギプスによる固定、患部を温めたり冷やしたりするなどが有用です。非ステロイド性抗炎症薬を7〜10日間使用すると痛みと炎症が軽減します。

ときには、ステロイド薬(デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンなど)と局所麻酔薬(リドカインなど)を腱鞘に注射することもあります。まれにこの注射をすると、関節や腱鞘内でステロイドが結晶をつくり、一時的に痛むことがあります。この発作は24時間以内に治まり、冷湿布や鎮痛薬で治療できます。

治療は、炎症が完全に治まるまでの1〜2カ月の間、2〜3週間ごとに繰り返します。関節リウマチのように慢性の腱炎が持続する場合は、炎症を起こしている組織を手術で切除し、術後に理学療法を行わなければならないこともあります。手術は、肩関節周囲など長期にわたる腱炎によるカルシウム沈着物を取り除くために必要になることもあります。

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