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部位別の機能障害

脳のさまざまな領域は特有の機能をコントロールしているため(神経系のしくみと働き: 脳を参照)、障害を受けた部位によって、どのような機能障害が起こるかが決まります。脳の左右どちら側が障害されたかということも重要な要素になります。というのは大脳を構成する2つの部分(大脳半球)の機能が同一ではないためです。脳の機能の中には、専ら片方の大脳半球だけにコントロールされているものがあります。たとえば体の動作と感覚は、左右反対側の大脳半球にコントロールされています。また片方の大脳半球が優位にコントロールしている機能もあります。たとえば言語は主に左の大脳半球によって調節されています。左右どちらかの大脳半球が損傷を受けると、これらの機能が完全に失われる危険性があります。しかし記憶などの左右両方の大脳半球によってコントロールされている機能は、大脳半球が両方とも損傷を受けない限り、完全に失われることはありません。

機能障害の特有のパターンは、ダメージを受けた脳の領域に関連しています。

前頭葉の損傷: 一般に前頭葉へのダメージは、問題を解く、計画を立てて行動する、などの能力を失う原因になります。たとえば、道路を横断する、複雑な質問に答える、などができなくなります。

(随意運動を調節している)前頭葉の後部が損傷すると、脱力や麻痺(まひ)が起こります。左右の脳は、それぞれ反対側の体の動きをコントロールしているため、左の大脳半球が障害されると体の右側に、右の大脳半球が障害されると体の左側に脱力が起きます。

前頭葉の中央部分がダメージを受けると、眼球を動かす、複雑な動作を正しい順序で行う、言葉を話すなどの機能が障害されます。言葉を話す能力の障害は、表現性失語と呼ばれています(脳の機能障害: 失語症を参照)。

前頭葉の前部が損傷すると、集中力がなくなり流暢に話せなくなる、質問に対して無関心・むとんちゃくになり反応が遅くなる、あるいは社会的に不適切な振る舞いを含む自制心を欠いた行動を取る、などが起こります。自制心が働かなくなると、異常に陽気になったり、落ちこんだり、極端に論争的になったり、消極的になったり、あるいは下品になったりします。自分の行動がもたらす結果に関心がないようにみえ、何度も同じことを話したりします。

頭頂葉の損傷: 片側の頭頂葉前部が損傷すると、反対側の体にしびれと感覚障害が起こります。患者は感覚の位置と種類(痛み、熱さ、冷たさ、振動など)を識別するのが困難になります。頭頂葉後部への損傷は、左右の方向がわからなくなったり、計算や絵を描くことができなくなったりします。右頭頂葉へのダメージは、髪の毛をブラシでとく、服を着るなどの簡単な動作ができなくなる失行症の原因になります。頭頂葉に突然ダメージを受けた人は、その障害の深刻さを無視して、体の反対側のけがの存在に気づかなかったり、否定することさえあります。さらに錯乱やせん妄が起きたり、自分で服を着るなどの日常動作ができなくなります。

側頭葉の損傷: 右の側頭葉へのダメージは、音や形の記憶を障害する傾向があります。左の側頭葉が損傷を受けた場合は、言葉の記憶や言語の理解能力が著しく低下します(受容性失語)。側頭葉の一部が損傷すると、ときには人格が変わってしまって、堅物になったり、狂信的になったり、性欲がなくなったりすることがあります。

後頭葉の損傷: 後頭葉には、重要な視覚情報を処理する中心があります。後頭葉の両側が損傷すると、眼球自体は正常に機能しているのに眼が見えないという皮質盲が起こります。皮質盲の人の中には、自分の眼が見えないことに気づかない人もいます。後頭葉の前部が損傷すると、見慣れているものや人の顔を認識できなかったり、見えたものを正確に判断できなくなったりします。

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