(プリオン病の概要 プリオン病の概要 プリオン病は、現在のところ治療法がなく、最終的には死に至る、まれな進行性の脳(およびまれに他の臓器)の変性疾患であり、プリオンと呼ばれるタンパク質が異常な形態に変化することで発生します。 プリオンが発見されるまでは、クロイツフェルト-ヤコブ病などの海綿状脳症はウイルスが原因と考えられていました。プリオンはウイルスよりはるかに小さく、また、... さらに読む も参照のこと。)
クールーが研究者たちの注目を集めたのは、主にプリオン病が人から人に伝染する様式を解明できるという理由からでした。
クールーは、1960年代初めまではパプアニューギニアでかなり多く発生していました。原住民の埋葬儀式において、故人への敬意を表するため、近親者が死者の体の組織を食べる習慣(人肉食の儀式)があり、おそらくはこの儀式によって異常プリオンに感染したと考えられています。おそらく、 クロイツフェルト-ヤコブ病 クロイツフェルト-ヤコブ病(CJD) クロイツフェルト-ヤコブ病(亜急性海綿状脳症)はプリオン病の一種で、進行性の精神機能の低下を特徴とし、認知症、筋肉が不随意にビクッとふるえる動き(ミオクローヌス)、歩行時のよろめきなどの症状が現れます。変異型クロイツフェルト-ヤコブ病は、汚染された牛肉を食べることで感染します。 クロイツフェルト-ヤコブ病は通常は自然発生的に起こりますが、汚染された牛肉を食べたり、異常な遺伝子を受け継いで起こることもあります。... さらに読む の患者の異常プリオンで汚染された組織を誰かが食べたことがクールーの起源であると考えらえています。最も感染性の強い組織である脳は女性と子どもに与えられていたため、これらの人々にクールーが多く発生していました。1950年代以降、こうした儀式は禁止されているため、クールーの発生例も事実上なくなっています。クールーを発症する人は現在ではほとんどいません。しかし、1996年~2004年の間に、11例のクールーが報告されました。これらの症例では、感染後50年以上が経過するまで症状が起こらなかった可能性が疑われます。
クールーの最初の症状は、協調運動障害(運動失調 協調運動障害 )、歩行困難、身震いに似た体の振戦(ふるえ 振戦 振戦とは、手、頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえです。振戦は、筋肉の収縮と弛緩が繰り返されたときに起こります。 ( 運動障害の概要も参照のこと。) 振戦には以下の種類があります。 正常(生理的)なもの 病気または薬剤によって引き起こされる異常(病的)なもの さらに読む )です(「クールー(kuru)」は「ふるえる」という意味です)。
その後、異常な不随意運動が現れ、四肢や体幹が繰り返しのたうつように動いたり、素早く跳ねるように動いたりします(舞踏病アテトーゼ 舞踏運動、アテトーゼ、ヘミバリスム )。腕や脚がこわばり、筋肉がビクッとふるえる ミオクローヌス ミオクローヌス ミオクローヌスは、筋肉や筋肉群に起こる素早い稲妻のような収縮を指します。 ミオクローヌスは健康な人に起こることもありますが(例えば、眠りに落ちるときに足がビクッと動く)、肝不全、頭部外傷、低血糖、パーキンソン病などの病気や特定の薬剤の使用が原因で起こることもあります。 筋肉の収縮は、素早いこともゆっくりなこともあり、また、リズミカルに起こる場合とそうでない場合とがあります。 ミオクローヌスの診断は症状に基づいて下され、原因を特定するため... さらに読む という動きがみられます。感情の起伏が激しくなり、悲しんでいる人が突然、大声で笑い出したりすることもあります。クールーの人はやがて認知症を発症し、最終的にはおとなしくなって話せなくなり、周囲に対して無反応になります。
肺炎 肺炎の概要 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に起きる感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気がほかにある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約400~500万人が肺炎を発症し(... さらに読む や 床ずれ 床ずれ 床ずれ(褥瘡[じょくそう]とも呼ばれます)とは、長時間の圧迫により皮膚に十分な血液が流れなくなることで生じる皮膚の損傷です。 床ずれは、圧迫に加えて、皮膚を引っ張る力、摩擦、湿気などの要因が組み合わさって発生する場合が多く、特に骨のある部分の皮膚でその傾向が強くみられます。 診断は通常、身体診察の結果に基づいて下されます。... さらに読む による感染症などが原因で、クールーではほとんどの場合、症状がみられてから24カ月以内に死に至ります。
有効な治療法はありません。クールーの治療では、症状の緩和に重点が置かれます。