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ジストニア

ジストニアは、不随意でゆっくりとした反復性かつ持続性の筋収縮で、動作の途中で止まってしまったり、胴体、全身あるいは体の一部がねじれたり回転したりします。

原因

ジストニアは、基底核、視床、小脳、大脳皮質など脳のいくつかの領域の活動が過剰になるために起こると考えられています。ジストニアの原因には、脳の重度の酸素不足(出生時もしくは晩年)、パーキンソン病、多発性硬化症、ある種の金属蓄積による毒性(ウィルソン病による銅の蓄積など)、脳卒中などがあります。抗精神病薬はさまざまなタイプのジストニアを引き起こします。たとえば、意図しないのにまぶたが閉じる(眼瞼けいれん)、首が曲がる(痙性斜頸)、しかめ面になる、口と舌が不随意運動を繰り返す(遅発性ジスキネジア)などの症状が現れます。慢性のジストニアは通常は遺伝が原因です。

ジストニアのタイプと症状

特発性捻転ジストニアは原因不明のジストニアで、6〜12歳で発症し、初期症状は軽いことも重いこともあります。筋肉に異常な収縮がゆっくりと起きて、体がねじれたり回転したりします。ジストニアは一般的に片方の足や脚から症状が始まって、そのまま胴体や下肢だけに症状が限られますが、ときには全身に現れることもあり、小児の場合は最終的に車いすを使用するようになります。軽いジストニアの別の例は、持続性の書痙(しょけい:字を書こうとすると、手に筋けいれんが起こる病気)です。ただし、すべての書痙がジストニアによるものとは限りません。特発性捻転ジストニアが成人に起きた場合は、通常は顔面や腕から始まり、体の他の部分に広がりません。

眼瞼けいれんは、まぶたが繰り返し不随意に閉じるジストニアです。ときには当初は片方の眼だけに起こることもありますが、最終的には両方の眼に起こります。通常は、過度のまばたき、眼の刺激感、明るい光に対して過剰に敏感になる、などから始まります。患者の多くは、まぶたが閉じないようにするために、あくびをしたり、歌を歌ったり、口を大きく開けたりします。病気が進行するとそうした努力もあまり効果がなくなります。眼瞼けいれんは視力を大きく損ないます。

痙性斜頸(けいせいしゃけい)は、首の筋肉に起こるジストニアです。

痙性発声障害では発声を制御する筋肉が障害されます。この病気の人は通常、体のどこかに本態性振戦が起こります。声帯の筋肉がけいれんすると声がまったく出なくなったり、話す声がひずんだり、ふるえたり、かすれたり、ささやきになったり、甲高くなったり、途切れたり、不明瞭になり理解するのが困難になります。

イップスは、一部のゴルファーが経験するジストニアの1種で、筋肉がれん縮します。手と手首の筋肉が自然に収縮するために、ゴルフのパッティングなどがほとんどできません。イップスのためにコントロールを失ったゴルファーは、1メートル弱のパットのはずなのに4.5メートルも叩いてしまったりします。同様にミュージシャンの手や腕に奇妙なけいれんが起きて演奏できない場合は、ジストニアが起きていることがあります。

いくつかのタイプのジストニアは進行性で、時間がたつとともに動作がさらに不自然になります。重度の筋収縮が起こると、首や腕がおかしな曲がり方をして、居心地の悪い姿勢になります。

治療

原因が判明している場合には、原因の除去や修正によってジストニアの症状が軽減されます。たとえば、パーキンソン病の治療薬はパーキンソン病に伴うジストニアに効果があります。抗精神病薬の使用が原因の場合は、ただちにジフェンヒドラミンを注射や経口で投与すれば、通常はジストニアの発作をすみやかに止めることができます。抗精神病薬の服用は中止します。

ジストニアの原因がわからない場合は治療に限界があります。一部の患者、特にドパ反応性ジストニアと呼ばれる遺伝性のジストニアがある小児は、レボドパの投与によって症状が劇的に改善します。軽い鎮静薬の1種であるベンゾジアゼピン系の薬も使われます。バクロフェンは筋弛緩薬で、経口あるいは脊柱管に埋入したポンプを使って投与します。トリヘキシフェニジルやジフェンヒドラミンなどの抗コリン作用薬(抗コリン作用とはを参照)も有用ですが、特に高齢者では眠気、口内の乾燥、視力障害、めまい、便秘、排尿困難、振戦などの副作用が現れます。抗精神病薬ではクロザピンとオランザピンが役に立つでしょう。

筋肉を麻痺させる細菌性毒素のボツリヌス毒素を、異常活動している筋肉に注射する方法は、最も成功しやすい治療法です。眼瞼けいれん、痙性斜頸、痙性発声障害では特に有効です。

薬物療法の効果がなく症状も重い場合には、手術を行うこともあります。手術には、基底核の小さな領域の1つを外科的に破壊する淡蒼球破壊術と、脳の同じ領域に電極を埋めこんで電気刺激を与える方法があります。

理学療法は、特にボツリヌス毒素治療を受けた人に役立ちます。

痙性斜頸

痙性斜頸は頸部ジストニアともいい、痛みを伴う首の筋肉の間欠的または連続的な収縮やけいれんが特徴の障害で、頭が回転したり前後左右に傾いたりします。

痙性斜頸はジストニアの1種で、米国では1万人に3人の割合で診断され、女性の方が男性の約1.5倍多く発症します。どの年齢層の人にも起こりえますが、通常は25〜55歳の間です。

通常は原因不明です。基底核(脳の奥深く、大脳基底部にある神経細胞の集合体)内部の機能不全によると考えられています。ときには、妊娠中または難産の分娩の際に首の筋肉が傷ついて、痙性斜頸が起こることがあります。このタイプは先天性斜頸と呼ばれています。また小児では、眼の筋肉のアンバランスや、脊椎上部の骨や筋肉の変形が原因となって斜頸が起こります。

症状と診断

最初は症状は軽度ですが、次第に重くなります。症状には、不随意な頭の回転運動、筋肉痛、首の筋肉の軽い振戦などがあり、通常は首の片側だけに現れます。頭の傾斜と回転の向きは、首のどの筋肉が侵されたかによります。首に鋭い痛みを伴う筋肉のけいれんが突然起きて、間欠的あるいは継続的に続きます。けいれんは予兆なく起きますが、睡眠中に起こることはまれです。この病気の人の3分の1に、まぶた、顔面、あご、手などにもけいれんがみられます。

小児でも成人でも診察時には、過去の外傷やその他の首の異常の有無を医師に詳細に説明することが必要です。新生児検診で、先天性斜頸の原因となりうる首の筋肉の損傷が発見されることがあります。

X線検査、CT検査、MRI検査などの画像診断が、首の筋肉がけいれんする特別な原因を探すために行われることがありますが、通常は原因の特定には役立ちません。

治療と経過の見通し

斜頸の原因を特定できた場合、たとえば骨や筋肉の奇形などは、通常は治療に成功します。しかし原因が不明の場合は、治療でけいれんをコントロールすることが難しくなります。けいれんは理学療法や作業療法により一時的に症状が軽減されることがあります。これには、バイオフィードバック、電気刺激、マッサージ、冷湿布、温熱治療、超音波による深部温熱療法などが含まれます。

成人の痙性斜頸患者の約3分の1では、薬物療法が筋肉のけいれんと不随意運動の軽減に役立ちます。通常これらの薬はけいれんによる痛みの緩和にも有効です。よく使われる薬は、特定の神経インパルスを遮断する抗コリン作用薬(トリヘキシフェニジルやベンズトロピンなど)と、穏やかな鎮静薬のベンゾジアゼピン系(特にクロナゼパム)です。使用頻度は少ないですが、筋弛緩薬(バクロフェンなど)や抗うつ薬(アミトリプチリンなど)も使われます。

痛みと異常な姿勢が顕著な人には、低用量のボツリヌス毒素(筋肉を麻痺させる作用がある細菌性毒素)を数回注射するのが、最も良い治療です。この毒素は筋肉の収縮を妨げます。ボツリヌス毒素注射によって痛みとけいれんが減少するため、ほとんどの患者で頭の位置も正常に近くなります。改善は数カ月間持続し、その後は必要に応じて治療が繰り返されます。機能不全が起きている首の筋肉の神経を切除する手術(選択的神経切除術)で良い結果が得られることがあり、他の治療で症状が軽減されない場合に試みられます。情動面の問題がけいれんの一因である場合は、精神医学的な治療が有効です

新生児の斜頸に対しては、生後数カ月以内に障害のある筋肉を伸ばすための集中的な理学療法が開始されます。理学療法で効果が得られなかった場合や、治療の開始が遅れた場合は、手術で筋肉を修復する必要があります。

痙性斜頸患者の約10〜20%は、通常は40歳未満の軽症例ですが、治療を受けなくても5年以内に回復します。しかし、成人の大半は1〜5年間病状が徐々に悪化した後に症状が安定します。斜頸は一生残り、痛み、首の動きの制限、異常な姿勢が持続します。

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