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三叉神経痛

三叉神経痛(さんさしんけいつう、または疼痛性チック)は、顔面の感覚情報を脳へ伝え、物をかむときに使う筋肉をコントロールしている第5脳神経(三叉神経)の機能不全による痛みです。

三叉神経痛は、どの年齢層の成人にも起こりえますが、通常は中年や高齢者に発症し、女性に多い異常です。

ほとんどの症例は、原因不明です。よく知られている原因は動脈の位置の異常で、脳の出口付近にある三叉神経を圧迫します。若い人にときどき起こる三叉神経痛は、多発性硬化症による神経の損傷が原因です。三叉神経痛はまれに帯状疱疹(たいじょうほうしん:ウイルス感染症の1種)による損傷や、腫瘍が神経を圧迫した結果のこともあります。

症状

痛みは自然に起こりますが、しばしば顔・唇・舌の特定の場所(発痛点)に触れたり、歯磨きをしたり、ものをかんだりする動作がきっかけとなって起こります。短く繰り返し、稲妻に例えられる、耐えがたい刺すような痛みが、顔の下半分のどこにでも起こりますが、最も多いのは鼻の横のほほとあごです。普通は顔の片側だけに起きて、数秒間から長くて2分間ほど続きます。発作が1日に100回も繰り返すため、痛みのために何もできなくなります。強い痛みに顔をしかめることから、疼痛性チックと呼ばれることもあります。一般にこの異常は自然に治まりますが、長期間痛みが起こらない休止期間後に、しばしば再発します。

診断と治療

三叉神経痛を確定するための特別な検査はありませんが、痛みが特徴的なため、医師には容易に診断がつきます。しかし、三叉神経痛と顔面に痛みを起こす別の原因である、あご、歯、副鼻腔の病気、腫瘍や動脈瘤に三叉神経が圧迫されて起こる三叉神経障害などとの区別が必要です。たとえば三叉神経障害では顔面の感覚が失われますが、三叉神経痛では失われません。

痛みの期間は短く、再発を繰り返すため、典型的な鎮痛薬は役に立ちませんが、一部の抗けいれん薬(神経膜を安定させる作用がある)は有効です。通常は抗けいれん薬のカルバマゼピンが最初に試みられます。もしもカルバマゼピンが効かなかったり、耐えがたい副作用が起きた場合は、フェニトインやバルプロ酸が処方されるでしょう。代わりに、筋肉のけいれんを軽減するバクロフェンや三環系抗うつ薬(うつ病の主な治療薬を参照)が使われることもあります。

動脈の位置の異常による三叉神経痛は、神経と動脈を分離し両者の間に小さなスポンジを埋めこむ手術が行われます。この手術により何年間も痛みが抑えられます。原因が腫瘍であれば、腫瘍を切除する手術が行われます。

薬で痛みが緩和できない人や手術の適応がない人には、他の治療が有効かどうかを判定するための検査が行われます。この検査では、アルコールを神経に注入して一時的に機能を遮断します。アルコールで痛みが緩和するようなら、手術もしくは熱を使う高周波プローブで神経を切断すれば、痛みを永久的に抑えることができます。別の方法として、グリセロールなどの薬を注入して神経を完全に破壊することもできます。ただし、これらの治療はあくまで最後の手段です。しばしば数カ月から数年間の一時的な緩和をもたらすだけで、後に再び顔面に不快感が現れます。

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