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薬物が日常生活の一部となっている人は多く、若い人の間では依然として高い割合で薬物が使用されています(青年期の問題: 薬物などの使用と乱用を参照)。個々の薬物の合法性と社会的容認度は、その使用目的、効果、使用者によってしばしば異なります。たとえば、マリファナを嗜好(しこう)品として使用することは違法で、社会的に容認されない行為だと多くの人がみています。しかし米国の場合、州によっては進行癌の患者の吐き気を抑える目的ではマリファナの使用を合法と認めている場合もあり、容認する人もいます。薬物の合法性と社会的容認度は、しばしば国や文化の違いによって大きく異なります。また、米国ではアルコールに対する合法性と容認度が昔と今では違うのと同様に、薬物に関する合法性と社会的容認度も、同じ社会や国の中でも時代によって変わってきます。
多くの薬物は、合法か違法かにかかわらず、精神に作用します。精神に作用する薬物の中には、使用量に関係なく、使用するたびに脳の機能に影響を及ぼすものがあります。また、多量に使用したときや続けて使用した場合のみ、脳の機能に影響を及ぼすものもあります。何度も繰り返し使いたくなる、あるいは使う必要があると思わせる作用(渇望)を脳に与える薬物もあります。
気分や行動に変化がみられる場合、医師は精神機能に作用する薬(向精神薬)の使用が原因で問題が生じているのではないかと疑います。特定の薬物を長期的に使用することによって生じる症状がないかどうか、本人に聞く場合もあります。また、血液検査や尿検査を行って、向精神薬を使用しているか確認をする場合もあります。
向精神薬が引き起こす問題は、薬物乱用、薬物依存、薬物嗜癖(しへき)などさまざまな呼び方をされています。これらの問題を専門に治療する医師や専門家の間でも、用語の厳密な意味をめぐってはしばしば意見の食い違いがみられます。
薬物乱用: 薬物乱用(ドラッグ・アビューズ)とは、向精神薬を医療以外の目的で多量にまたは長期間使用し、使用者や他者の生活の質(QOL)や健康と安全を脅かす状態をいいます。多くの人が特に医療上の必要はないのに薬物を使用していますが、健康を損なったり機能に悪影響を与えたりしない程度に管理して用いています。
精神作用性がない薬物でも、その使用が医療目的でなく、使用者や他者の生活の質や健康と安全を脅かす場合は、乱用とみなされます。薬物乱用は社会的・経済的にはすべての階層の人に発生し、教育を受けていない人や無職の人だけでなく、高学歴で社会的地位の高い人にもみられます。
乱用では薬物の過量摂取も生じます。薬物の種類によっては過量摂取はきわめて危険で、死亡することもあります。
薬物依存: 薬物依存(ドラッグ・ディペンデンス)とは、快楽を得るため、あるいは不安や緊張をほぐして不快感をなくすために、向精神薬を使い続けずにはいられない状態をいいます。薬物依存は、生物学的な要因と心理的な要因が組み合わさって引き起こされます。依存性のある薬物は、陶酔感、精神力や身体能力の向上感、知覚の変化をもたらします。
依存が非常に強くなり、断ち切れなくなることもあります。依存性のある薬物を継続使用することに体が慣れると、耐性が生じ、使用を中断すると離脱症状(いわゆる禁断症状)が現れます。耐性が生じると、使用する薬の量を次第に増やしていかないと、使いはじめた当初と同等の効果を得ることができなくなります。
離脱症状は、薬物の使用をやめたときや、その薬物の作用が別の薬物によって阻止されることで生じます。離脱症状を起こすと気分が悪くなり、頭痛、下痢、ふるえ(振戦)などの症状が現れます。離脱症状から、重大で生命にかかわる病気が派生することもあります。
薬物嗜癖: 薬物の嗜癖(しへき:ドラッグ・アディクション、俗にいう中毒)と呼ばれる状態になると、依存している薬物を入手し、使用するために各種の破滅的行為を行うようになります。仕事、学校、家族や友人との人間関係も妨げられます。人が薬物に依存するようになる場合、それが違法か合法かはあまり関係なく、医療目的の使用であれ、それ以外の好ましくない理由での使用であれ、依存状態になってしまうことがあります。一方、薬物の入手や使用に関連した行為は、その薬物の合法性や社会的容認度により大きく異なってきます。医療目的に使用する合法薬物を入手したい場合は、病院へ行き、処方せんをもらい、薬局へ行けばよいだけのことです。しかし、違法薬物を手に入れようとする場合、あるいは合法な薬物を医療以外の目的で使用するために手に入れようとする場合は、うそをついたり盗みを行ったりすることがあります。
進行癌の患者がモルヒネなどのオピオイド薬依存になっても、通常は嗜癖とはみなされません。しかし、たとえばヘロイン依存者がヘロインを買うために盗みを働いたり、家族や友人に自分の所在やしていることに関してうそをついたりする場合には、こうした行動は嗜癖とみなされます。
中には、常用者に薬物やアルコールを使い続けるのを許すようなふるまい方を家族や友人がしているケースがあり、このような人たちはイネイブラー(協力者)と呼ばれます(薬物使用を継続させることに自分自身のニーズが関係している場合は共依存者とも呼ばれます)。イネイブラーは、薬物依存のある常用者に代わって病欠の電話をかけたり、その人の行為を弁解したりします。本人に対して口では薬物やアルコールをやめるように言うものの、それ以外に行動を改めさせる手助けになるようなことは何もしません。
薬物などを常用している女性が妊娠すると、胎児がその薬物にさらされます。こうした妊婦の多くは、薬物の使用や飲酒の事実を医師に打ち明けようとしません。母親の薬物使用の結果、胎児が薬物依存になり、重大な障害が生じることがあります(先天異常: 有害物質(催奇物質)への暴露を参照)。分娩直後、新生児に重度または致死的な離脱症状が生じることがあり、特に医師が母親の嗜癖について知らされていない場合に、その危険が高くなります。
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