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有機溶剤の吸引

10代の若者の場合、シンナー遊びなどの有機溶剤の吸引はコカインやLSDより多く、マリファナやアルコールより少ない傾向がみられます。これは特に12歳以下の小児で問題となっています。有機溶剤は家庭内にある普通の日用品の多くに使用されています。

有機溶剤をビニール袋の中にスプレーしてそれを吸いこむか、有機溶剤を浸した布を鼻に近づけたり口に含んだりします。

症状と合併症

有機溶剤を使用すると、すぐに中毒状態になります。めまい、眠気、錯乱が生じ、言葉が不明瞭になったり、起立や歩行が困難になります(歩行不安定)。これらの症状が数分から1時間以上続きます。また興奮することがありますが、これは使用した化学物質が興奮剤だからではありません。有機溶剤の直接吸引は重度の呼吸抑制や不整脈を引き起こすことがあり、初めて吸引した人でも死亡することがあります。

有機溶剤を含む主な一般的な物質

  • 接着剤
    • プラモデル用接着剤
    • ゴム接着剤
    • ポリ塩化ビニル接着剤
  • スプレー剤
    • スプレー式塗料
    • ヘアスプレー
  • 溶剤とガス
    • マニキュアの除光液
    • 塗料除去剤
    • 塗料用シンナー(うすめ液)
    • 書類訂正用の修正液とうすめ液
    • 燃料ガス
    • ライター用オイル
    • ガソリン
  • 洗浄剤
    • ドライクリーニング液
    • しみ抜き剤
    • 脱脂剤

10代の若者や、場合によっては幼い子供の中にも、吸いこんだ蒸気にマッチで火をつけ、炎が鼻や口を通って肺の中にまで達する事故を起こすケースがあります。皮膚や内臓器官に重度のやけどが生じると、生命にかかわります。吸いこんだ溶剤が肺を覆い、酸素が血流に入らなくなってしまったために、酸素が欠乏して窒息死するケースもあります。

これらの化学物質を慢性的に使用したり、職場などで常にさらされていたりすると、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺に重度の損傷が生じることがあります。また、骨髄の損傷により赤血球の産生が影響を受け、貧血になることがあります。

医療用吸入薬の乱用

吸入薬の亜硝酸アミルには、医療用の合法的な用途があります。亜硝酸アミルは冠動脈を広げ(血管拡張)、心筋により多くの酸素が届くようにすることで、冠動脈疾患による胸の痛みを和らげます。亜硝酸ブチルと亜硝酸イソブチルは亜硝酸アミルに似ていますが、医療用には使用されません。亜硝酸アミルを買うには処方せんが必要です。亜硝酸ブチルと亜硝酸イソブチルは芳香剤用に商業目的で販売することは法律で認められていますが、それ以外の用途への使用は禁止されています。これら3種類の亜硝酸剤は、いずれも吸入すると一時的に血圧が下がり、めまいや紅潮が生じ、その後に心拍が速くなります。これらの作用が組み合わさることで、興奮や幸福感が得られます。性的快感が高まると考えて乱用する人もいます。シルデナフィル(バイアグラなどの勃起機能不全治療薬)を亜硝酸剤と併用すると、血圧が著しく低下し、失神、心臓発作、脳卒中を起こすおそれがあります。

亜酸化窒素(笑気)は、麻酔用ガスとして医療用に使用されています。また、スプレー缶やホイップクリームディスペンサーの噴射剤としても使用されます。亜酸化窒素は、吸入すると幸福感や気持ちのよい夢心地の状態が得られるため、乱用されることがあります。亜酸化窒素を長時間使用すると、腕と脚にしびれや脱力が生じ、消えずに残ってしまうこともあります。

治療

子供や10代の若者を治療する際には、内臓器官に損傷がないか調べます。精神の健康や社会学的な観点からも教育やカウンセリングを行います。有機溶剤の吸引は、気分に作用する物質乱用の中で回復率が最も低いものの1つです。

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