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舌の病気

外傷: 舌に最も多く不快感を引き起こすのは、外傷性創傷です。舌には、痛覚と触覚の神経の末端が数多く集まっているため、舌は体の大部分の場所よりも痛みに敏感です。うっかり舌をかむことがよくありますが、すぐに治ります。壊れた歯の詰めもののとがった破片や、折れた歯のとがった先端が、軟らかい舌の組織をひどく傷つけることがあります。

「毛舌」: 舌の上の面にある正常な突起(絨毛[じゅうもう]状突起)が成長して、まるで舌に毛が生えてきたようにみえることがあります。この異常は、発熱、抗生物質の使用、過酸化水素水によるうがいのしすぎなどによって起こります。舌の上面に現れるこれらの「毛」と、舌の縁に現れる、エイズ特有の毛髪状白斑とを混同しないように注意が必要です。

変色: 舌の絨毛状突起の変色は、喫煙やかみタバコ、特定の食品の摂取、舌面における色素産生細菌の増殖によって起こります。

写真

毛舌

毛舌

胃の不快感の治療薬であるビスマス製剤の服用によって、舌の上面に黒色色素が沈着し、黒く見えることがあります。その場合、歯ブラシで舌をブラッシングしたり、舌べらでこすると、色が落ちます。

舌が赤くなる(発赤)のは、悪性貧血やビタミン欠乏の徴候です。鉄欠乏性貧血では、舌は白っぽく、すべすべになります。猩紅熱(しょうこうねつ)では、初期に、舌の色がイチゴやラズベリーのような色へ変色する徴候が現れます。もし幼児の舌が、イチゴのような赤色に変色(イチゴ舌)してしているときは、川崎病の徴候です。舌がすべすべして赤く、口に痛みがある場合は、ペラグラ病やナイアシン(ビタミンB3)欠乏による栄養不良が考えられます。赤い舌は、舌に炎症(舌炎)が起きていることを示しています。炎症によって、舌が赤く変色し、痛みや腫れを伴います。舌が焼けつくように痛むときは、口腔熱感症候群が考えられます。

発熱、脱水、梅毒の第2期症状、鵞口瘡(がこうそう)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)、白板症、口呼吸などに伴って、ほおの内側にときどきでるような白っぽい斑点がみられることがあります。

地図状舌では、舌面に白色のざらついた部分と、赤色のなめらかな部分が、分かれて現れます。変色部分は、数週間〜数年間にわたり移動し続けます。痛みはなく、治療の必要はありません。

潰瘍と隆起(瘤[こぶ]): 舌に潰瘍ができる原因には、(1)口腔単純ヘルペス感染症、(2)アフタ性口内炎、(3)結核、(4)細菌感染、(5)初期梅毒、などがあります。潰瘍はまた、アレルギーなどの免疫疾患によっても起こります。

舌の両側にできる小さなこぶは無害ですが、片側だけにできるこぶは癌の可能性があります。舌に、原因不明の赤色やまたは白色の色の変化、潰瘍、あるいは(特に硬い)こぶができて、特に、痛みがないときには、癌の可能性が考えられるため検査が必要です(口にできる腫瘍: 口腔癌の種類を参照)。ほとんどの口腔癌は、舌の縁または口底で増殖します。梅毒による場合を除いて、癌が舌の上面で増殖することはほとんどありません。

不快感: 舌の不快感は、ある種の食品、特にパイナップルなどの酸性食品や、歯磨き粉による炎症が原因です。また、一部の薬、外傷、感染症でも、舌に不快感が起こります。舌の不快感をもたらす感染症で多いのは、鵞口瘡(カンジダ症)で、舌は過剰に増殖した真菌の白い薄膜で覆われます。口全体に起こる激痛は、口腔熱感症候群が原因です。

治療は、不快感を引き起こしている原因を見つけて、その原因を取り除きます。不快感の原因が感染症以外の場合は、原因を取り除けば治ります。たとえば、使用している歯磨き粉の種類を変えたり、炎症を起こす食品を食べないようにします。歯が折れたりとがったりしている場合は、その歯の治療を行います。また、温かい塩水で口をゆすぐと、不快感が和らぎます。鵞口瘡の治療には、ナイスタチンなどの抗真菌薬を、うがい薬やトローチの形で使用します。

口腔熱感症候群

口腔熱感症候群は、口腔焼け、口腔痛、口腔の異常感覚などとも呼ばれ、更年期を過ぎた女性に多く起こります。最も症状が出やすいのは舌です(舌痛)。口腔熱感症候群は、多くの人が刺激のある食品や酸性の食品を食べた後に経験する一時的な不快感とは異なります。口腔熱感症候群については、まだあまり解明されていません。おそらく非常に多くの、さまざまな原因が関係していると考えられますが、現れる症状は共通しています。

一般的な原因として、抗生物質の使用があります。抗生物質によって口内細菌のバランスが崩れるとカンジダ(真菌の1種)が異常増殖し、鵞口瘡と呼ばれる症状が現れます。適合が悪い入れ歯や、詰めものへのアレルギーによっても、口腔熱感症候群は起こります。また、口腔内乾燥をもたらす病気や、マウスウオッシュや口内スプレーの使いすぎによっても、舌の熱感症候群が起こります。ある種の食品や食品添加物、特にソルビン酸や安息香酸塩(食品保存料)への過敏症、プロピレングリコール(食品、医薬品、化粧品に含まれる保湿剤)、チクル(一部のチューインガムに含まれる成分)、シナモンなども、何らかの関連があると考えられます。ビタミンB12、葉酸、ビタミンB群などのビタミン欠乏症、鉄欠乏もまた、口腔熱感症候群の原因と考えられています。

痛みを伴う灼熱感が口全体、特に舌、唇、口の天井にあたる口蓋、あるいは舌だけに起こります。この感覚は持続的あるいは断続的に起こり、1日のうちに徐々に強まります。灼熱感に伴って口腔内乾燥、のどの渇き、味覚異常などの症状が現れます。このほか食習慣の変化、イライラ感、うつ、他人を避けるなどの症状が現れます。

口腔熱感症候群は、診断は容易ですが、治りにくい病気です。頻繁に水を飲んだり、チューインガムをかんだりすると、口の中を常に湿った状態にしておくことができます。ノルトリプチリンなどの抗うつ薬やクロナゼパムなどの抗不安薬が、治療に効果的なことがあります。ただし、これらの薬は、口腔内乾燥を引き起こして症状を悪化させます。治療を行わなくても症状が自然に消えることがありますが、後で再発します。

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