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ほおの内側をうっかりかんだり、こすったり、あるいはアスピリンなどの刺激性物質が歯肉に長く触れていたりすると、創傷や炎症が起きて口の中に水疱ができます。一般的に水疱はすぐにつぶれて、潰瘍になります。潰瘍が良性でも、十分に治癒するまでは例外なく痛み続けます。入れ歯(義歯)が口に合わないまま使用したり、入れ歯を着けたまま眠ったりすると、口の天井にあたる口蓋の広い範囲に炎症が起きて赤くただれます。

口にけがをすると、まれにその後、壊死性唾液腺化生と呼ばれる異常が発生します。けがから2日以内に、口蓋に直径2.5センチメートルほどの大きく裂けた潰瘍が現れます。その驚くような形状のわりには比較的痛みもなく、治療しなくても2カ月ほどで治癒します。この壊死性唾液腺化生と癌の区別は、症状に基づいて行われます。生検により組織を採取して顕微鏡検査が行われます。もし癌であれば、壊死性唾液腺化生でできる潰瘍の大きさになるまでには長い時間がかかり、その間ずっと痛みが続いていたはずです。

細菌感染によっても、口に潰瘍と腫れが生じます。健康な人の口内に普通に存在している細菌の異常増殖や新たに持ちこまれた細菌によって、感染が起こります。歯や歯肉の細菌感染が広がると、感染した歯周ポケットに膿がたまったり(膿瘍)、広範囲に急性の化膿性炎症(蜂巣炎[ほうそうえん])が起きたりします。細菌感染が下あごのむし歯から口底へ広がると、ルートヴィヒアンギナと呼ばれる非常に重症の感染症を引き起こし、感染個所の腫れによって舌が押し上げられて気道をふさいでしまうことがあります。上あごの歯の感染は脳へ広がる危険性があります。

梅毒(性感染症: 梅毒を参照)の感染初期には、口の中や唇に、痛みのない白色の潰瘍(下疳[げかん])ができ、数週間で治癒します。梅毒が治らないまま約1〜4カ月たつと、口の中や唇に乳白色の斑点(粘膜斑)が現れます。下疳と粘膜斑は非常に接触感染力が高いため、これらの症状が現れている間はキスをすると感染します。梅毒感染の後期には、口蓋や舌に穴があくゴム腫ができます。この段階では接触感染は起こりません。

帯状疱疹(ウイルスによる感染症: 帯状疱疹を参照)は、皮膚の痛みを伴う水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症で、潰瘍が口の片側に多発します。これらの潰瘍は、単純ヘルペスウイルスと同様に、体に残っていたヘルペスウイルスが再活性化したことによって起こります。帯状疱疹は、重症の単純ヘルペスとほぼ同様に治療されますが、潰瘍が治癒した後も数週間〜数カ月間、口に痛みが残ることがあります。

ベーチェット症候群は眼球、性器、皮膚、関節、血管、脳、消化管などの多くの臓器が侵される炎症性疾患ですが(結合組織の血管炎症性疾患: ベーチェット症候群を参照)、この病気にかかると痛みを伴う口内炎が繰り返し起こります。皮膚病の扁平苔癬(へんぺいたいせん)でも口内炎が起こりますが、口内炎の潰瘍は皮膚の潰瘍ほど不快ではありません(皮膚のかゆみと非感染性の発疹: 扁平苔癬を参照)。天疱瘡(てんぽうそう)と水疱性類天疱瘡はともに皮膚病ですが、これらによっても口の中に水疱が発生します(水疱のできる病気: 天疱瘡水疱のできる病気: 水疱性類天疱瘡を参照)。

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