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胃石と異物

胃石は、一部消化された物質やまったく消化されない物質が集まって固まったもので、胃やその他の消化管の中にみられます。異物は小さな消化されない物体で、それが消化管に詰まったり、ときには消化管を穿孔し(突き抜け)ます。

胃は、硬い食品のかたまりやその他の物体が集まりやすい場所です。これは、胃の形と、胃の内容物を小腸の始まりの部分(十二指腸)に送り出すための出口(幽門括約筋)が狭いことによります。消化できないかたまり(胃石)や異物の直径が2センチメートルより大きいと、ほとんど胃を通過することができません。

胃石は部分的に消化された髪の毛や果物や野菜の繊維が集まってできたもので、胃の中にあることがほとんどですが、消化管の他の部分で見つかることもあります。毛のかたまりや食品のかたまりは、狭い開口部や空間を通過することができないため、消化管に詰まってしまいます。制酸薬などの薬の硬くなった塊が集まって詰まることさえあります。

小児はときどき異物を飲みこんでしまいますが、成人でさえも、特に悪酔いしたときは飲みこむことがあります。これらの消化されない物体が小さければ、消化管を通過し便の中に排泄されます。しかし、大きな異物や魚の骨のように鋭くとがったものは食道や胃に、そして頻度は少ないですが消化管の他の部分にも刺さったり詰まったりします。ときには、密輸業者が税関を通過するために違法な薬物をゴム風船に詰めて飲みこむなど、異物が意図的に飲みこまれることもあります。この異物は胃に詰まってしまいます。

食品やその他の物質が固まる現象自体はだれにでも起こりえますが、特定の条件下でより多く起こります。たとえば、消化管の手術を受けた人、特に胃や腸の一部を切除した場合は、胃石や異物がとりわけ詰まりやすい傾向にあります。糖尿病患者では、胃が食べものを適切に送り出して空にできない状態になることがあり、食べものがたまって問題を起こします。

症状と診断

ほとんどの胃石と異物は無症状です。

小さな鈍いものを飲みこんだ場合は、食道に何かが詰まったような感覚があります。この感覚は、その物体が胃に入った後でも短い間続きます。とがった小さな物体を飲みこんだときは、その人の嚥下(えんげ)能力が正常でも、食道に刺さって痛みを起こすことがあります。食道が完全にふさがってしまうと何も飲みこむことができなくなり、唾液さえも飲みこめなくなります。そしてよだれが垂れ、唾液を定期的に吐き出さなくてはなりません。嘔吐しようとしてみても、何も吐き出せません。

胃石や異物が原因で、便に血が混じることもあります。胃石や異物が胃、小腸、まれに大腸を部分的にあるいは完全にふさいでしまうと、けいれん、膨満、食欲不振、嘔吐、ときに発熱が起こります。とがった物体が胃や腸を貫通すると、内容物(便)が消化管の周囲にあふれ、激しい腹痛、発熱、失神、ときにはショック症状を起こします。こうした漏れは腹膜炎(消化管の救急: 腹膜炎を参照)を起こすため、緊急手術が必要です。もしも薬物を詰めた風船を飲みこみ、風船が破裂した場合には、その薬物の過剰摂取になります。

閉塞物はしばしば腹部X線検査でみえます。閉塞物が何であるかを突き止め、原因が癌(がん)ではないことを確認するために、内視鏡検査(柔軟なチューブを用いて消化管を観察する検査)(消化器の病気の症状と診断: 内視鏡検査を参照)を実施することもあります。まれに原因を特定するためにCT検査や超音波検査を行うことがあります。

治療

ほとんどの胃石と異物は治療の必要がありません。小さなコインくらいでも問題なく通過するでしょう。異物が排泄されたかどうか確認するために、便に注意を払うように指示されます。また、異物を排泄しやすいように、流動食を取るよう医師に勧められることもあります。

胃石を分解するために、溶解したセルラーゼが処方され、数日間服用することがあります。とがっていない異物が食道に詰まっていることが疑われる場合は、グルカゴンを静脈投与して食道をリラックスさせ、異物が消化管を通過するようにします。メトクロプラミドなどの薬を経口投与することも、筋肉を収縮させて胃石やとがっていない異物が消化管を通過しやすくさせる効果があります。

また食道につかえている異物は、先端に風船をつけた細い管(カテーテル)を口から異物の下まで挿入し、風船をふくらませて、カテーテルを引き上げ、異物を除去することもあります。

鋭利な異物は食道壁を突き抜けることがあり、その場合は重大な結果を引き起こします。そのため鋭利な異物は内視鏡か手術のいずれかの方法で除去しなければなりません。また電池を飲みこんだ場合も体内でやけどを起こすので、同様に除去しなければなりません。異物が薬物を詰めた風船だと疑われる場合は、異物が破裂した際に起こる薬物の過剰摂取を防止するために除去しなければなりません。

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