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アルファ1‐アンチトリプシン欠損症

アルファ1‐アンチトリプシン欠損症は遺伝性の病気で、アルファ1‐アンチトリプシンという酵素がないために肺や肝臓の病気が引き起こされます。

アルファ1‐アンチトリプシンは肝臓でつくられ、血流へと分泌される酵素です。酵素は血流から特定の組織に取りこまれ、その組織で生成する体液中に分泌されます。アルファ1‐アンチトリプシンは、唾液(だえき)、十二指腸液、肺分泌物、涙液、鼻腔分泌物、脳脊髄液の中に存在します。

アルファ1‐アンチトリプシンはタンパク質を分解する酵素(プロテアーゼ)の作用を抑制します。アルファ1‐アンチトリプシンがなかったり量が少ないと、プロテアーゼの働きで、特に肺や肝臓の組織に障害が生じます。アルファ1‐アンチトリプシン欠損症では、肝臓がこの酵素を細胞の外に分泌できなくなります。このため酵素が肝細胞内にたまり、肝細胞の損傷を引き起こします。この病気は通常は小児の段階で見つかりますが、その多くは成人になる前に死亡するため、成人にはほとんどみられません。

症状と経過の見通し

アルファ1‐アンチトリプシン欠損症の小児の約25%は、肝硬変や門脈(腸から肝臓に流れる静脈)の血圧の上昇(門脈圧亢進症)を発症し、12歳になる前に死に至ります。約25%は20歳までに死亡しますが、25%は軽度の肝臓の異常がみられるだけで、成人期まで生存できます。残りの25%には肝臓の異常はみられず、進行性の病気は認められません。

成人のアルファ1‐アンチトリプシン欠損症では、肺気腫により息切れを起こすようになります。まれに肝硬変に進行し、後に肝臓癌になることがあります。

治療

小児の治療では、合成アルファ1‐アンチトリプシンを用いた補充療法がある程度有望とみられていますが、完治が望める治療法は今のところ肝臓移植(移植: 肝移植を参照)しかありません。移植された肝臓では、アルファ1‐アンチトリプシンの生成と分泌が正常に行われ、通常は病気の再発は起こりません。

成人では肺の病気の治療が中心となります(慢性閉塞性肺疾患: その他の治療を参照)。感染を予防し、喫煙者では禁煙を行います。肝臓移植は成人でも有効です。

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