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バッド‐キアリ症候群

バッド‐キアリ症候群は、肝臓から血液が流れ出す大静脈(肝静脈)が血栓により部分的または完全にふさがることで起こるまれな病気です。

バッド‐キアリ症候群は、多くの場合原因不明です。血液凝固疾患や鎌状赤血球症の患者、妊娠中の人で発症することがあります。外傷、肝膿瘍(肝臓に感染による膿がたまった状態)、肝臓癌や腎臓癌(肝静脈を圧迫することがある)などにより、静脈が直接圧迫されて血栓を生じやすくなることもあります。

症状と診断

バッド‐キアリ症候群は、突然発症して重症になることもありますが、通常は徐々に進行します。肝臓は血液により腫大し圧痛を生じます。血液が肝臓内に蓄積すると門脈内の血圧が上がりますが、門脈圧亢進症を起こすまでには数カ月かかることがあります。門脈圧が上がると食道の静脈に拡張や屈曲が生じ(食道静脈瘤)、破裂やときには大量出血を起こし、多くは吐血を伴います。さらに腫れた肝臓の表面から体液が腹腔内へ漏れ出し(腹水)、腹痛と軽度の黄疸が生じます。

数日から数カ月のうちに、肝不全(肝臓の病気でみられる症状: 肝不全を参照)のその他の症状がみられることもあります。血栓が拡大し、心臓に入る最大の静脈である下大静脈にも閉塞を起こすことがあります。下大静脈が閉塞すると、脚のむくみや腹部の膨張が生じます。

診断は主に特徴的な症状を手がかりにして行います。X線撮影用の造影剤を静脈に注入して静脈造影検査を行うと、閉塞の正確な位置がわかります。超音波検査やMRI検査、肝生検(組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)も診断の確定に役立ちます(肝臓と胆嚢の検査: 肝生検を参照)。

経過の見通しと治療

バッド‐キアリ症候群では、有効な治療をただちに行わないと、1年以上生存する患者の割合は3分の1未満です。

静脈に狭窄があり、閉塞はしていない場合は、抗凝固薬(血栓を予防する薬)や血栓溶解薬を使用します。食道静脈瘤から出血している場合は、手術を行って門脈の圧力を下げます。手術では門脈を下大静脈につなぎ、血液が肝臓を迂回するようにします。しかし新たなシャントを形成すると肝性脳症(肝臓の病変による脳の障害)を起こすリスクが高くなります。肝臓移植(移植: 肝移植を参照)は、とりわけ重度の肝不全を起こしている場合には有効な治療法となる可能性があります。

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