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体内の銅のほとんどは、肝臓、骨、筋肉にありますが、微量の銅は体のすべての組織に存在します。肝臓は余分な銅を胆汁へ排出します。銅はさまざまな酵素の構成要素です。これらの酵素の中には、エネルギーの生成や、ホルモンのエピネフリン、赤血球、骨、組織と器官をつなぎ合わせる結合組織の形成に必要なものがあります。抗酸化剤として作用する酵素もあります。そういった酵素は、細胞の正常な活動の副産物であるフリーラジカルによる損傷から細胞を保護するのに役立ちます。

銅の蓄積によるウィルソン病

正常に機能している肝臓は余分な銅を胆汁に排出しますが、まれな遺伝性疾患のウィルソン病では、肝臓がその機能を果たさなくなります。その結果、銅が肝臓に蓄積して損傷を与えます。損傷した肝臓は銅を血液中に直接放出し、銅は脳や眼などの器官へ運ばれて、そこに蓄積します。

症状は普通、5歳を過ぎてから始まります。ほぼ半数に、脳が損傷したことによる初期症状が生じます。そうした症状には、ふるえ、言語障害、嚥下困難、協調機能障害、けいれん性不随意運動(舞踏病)、人格の変化などがあり、統合失調症や躁うつ病などの精神病症状がみられることもあります。肝臓が損傷したことによって初期症状が出る場合も多く、肝炎になり、やがて肝硬変に進みます。眼の角膜に銅がたまると、金色または緑色がかった金色のリング状の線が生じます。

医師は、原因不明の肝炎、ふるえ、人格の変化などの症状に基づいてウィルソン病を疑います。血液検査と肝臓生検の結果に基づいて診断を確定します。ウィルソン病の家族歴がある小児には、2歳になったころに検査を行います。

治療では、ペニシラミンなど銅と結合する薬を服用します。亜鉛サプリメントは銅の吸収を減らすのに役立ちます。治療をしないと、ウィルソン病は致死的です。指示通りに薬を服用しないと、特に若い人の場合は、肝不全になることがあります。肝臓移植により治癒が可能です。

銅欠乏症

銅欠乏症は健康な人にはほとんど起こりません。未熟児、重度の栄養不良から回復中の乳児、下痢が続いている乳児によくみられます。栄養の吸収を阻害する重症疾患(セリアック病、クローン病、嚢胞性線維症、熱帯スプルーなど)は、銅欠乏症の原因になります。亜鉛や鉄を多量に摂取すると、銅の吸収が減少します。

銅欠乏症の症状には、疲労感、皮下出血、血管の損傷、心肥大があります。貧血もよくみられ、白血球の数が減少します。

銅欠乏症は、症状に加えて、銅とセルロプラスミン(銅を含むタンパク質)濃度を調べる血液検査の結果に基づいて診断します。銅欠乏症は銅サプリメントで治療します。

銅過剰症

銅の過剰摂取はまれです。タンパク質と結合していない銅はすべて有毒です。銅製の容器、チューブ、弁などに長期間接触していた酸性の食品や飲料は、タンパク質と結合していない少量の銅に汚染されている可能性があります。結合していない銅は、比較的少量でも、吐き気、嘔吐、下痢を引き起こします。大量に摂取すると、腎臓を損傷し、尿の産生を阻害し、赤血球の破壊(溶血)による貧血を引き起こし、死に至ることもあります。

銅過剰症は、血液中または尿中の銅とセルロプラスミン濃度を測定して診断します。治療には、銅と結合する薬剤を使います。

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