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中枢性尿崩症

中枢性尿崩症は抗利尿ホルモンの欠乏症で、非常に薄い尿が過度につくられます(多尿症)。

原因

中枢性尿崩症は、体内の水分量を調節する抗利尿ホルモン(バソプレシン)の量が減ってしまったために起こります(体内の平衡を保つしくみを参照)。抗利尿ホルモンは視床下部でつくられる特有のホルモンで、下垂体に貯蔵され、血液中に放出されます。

中枢性尿崩症は視床下部の抗利尿ホルモンをつくる量の不足によって、あるいは抗利尿ホルモンを血液中に放出できない場合に起こります。その他に中枢性尿崩症の原因としては、視床下部や下垂体の手術による損傷、脳の外傷、特に頭蓋底の骨折、腫瘍、サルコイドーシスや結核、動脈瘤(動脈壁の隆起)、あるいは脳につながっている動脈の閉塞、脳炎や髄膜炎、ランゲルハンス細胞肉芽腫症(ヒスチオサイトーシスX)などがあります。別のタイプの尿崩症に腎臓の異常による腎性尿崩症があります(尿細管障害と嚢胞性腎疾患: 腎性尿崩症を参照)。

症状と診断

症状はいずれの年代でも、徐々にあるいは突然発生します。唯一の症状は、極端なのどの渇きと多尿です。尿として失われた水分を補うために、1日に約3.8〜38リットルもの水分を飲むことがあります。氷水は適切な飲みものです。水分を補充できないと、すぐに脱水症になって低血圧とショック症状を起こすおそれがあります。薄い尿の大量排出は、特に夜間に著しくなります。

大量に排尿する場合、医師は尿崩症を疑います。糖尿病の疑いを否定するために、最初に尿の糖検査を行います。血液検査ではナトリウムの高値のほか、多くの電解質が異常値を示します。診断に最良の方法は水分制限検査です。尿の産生、血液中の電解質(ナトリウム)濃度、および体重の測定を約12時間、定期的に行いますが、その間、水分摂取は禁止されます。検査の間、患者の状態は注意深く観察されます。12時間経過後(あるいは血圧降下、心拍数増加、体重の5%以上が減少した場合)、検査を中止して抗利尿ホルモンを注射します。抗利尿ホルモンに反応して過剰な排尿が止まり、尿が濃くなりはじめ、血圧が上昇し、心拍数が正常に近くなった場合は、中枢性尿崩症と確定されます。注射後も大量の排尿が続き、尿は薄いままで、血圧や心拍数も変化しない場合は、腎性尿崩症と診断されます。

治療

抗利尿ホルモンの合成類似体であるバソプレシンやデスモプレシンは、1日に数回、鼻腔スプレーで投与されます。投与量は体の水分バランスと正常な排尿を維持できるように調節されます。これらの薬を過剰に使用すると、水分が貯留し、むくみなどの問題が生じるおそれがあります。中枢性尿崩症の人が手術を受けたり意識不明の場合は、抗利尿ホルモンが注射されます。

中枢性尿崩症は、クロルプロパミド、カルバマゼピン、クロフィブラート、種々の利尿薬(サイアザイド系)など抗利尿ホルモンの産生を刺激する薬によって制御できる場合もあります。しかし、これらの薬では重症の尿崩症の症状を完全に軽減することはできません。

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