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甲状腺炎

甲状腺炎は甲状腺が炎症を起こす病気です。

甲状腺炎には、橋本甲状腺炎(自己免疫甲状腺炎)、有痛性亜急性甲状腺炎(肉芽腫性甲状腺炎)、無痛性亜急性甲状腺炎(無症性リンパ球性甲状腺炎、分娩後甲状腺炎)の3つがあります。

橋本甲状腺炎: 橋本甲状腺炎は最も多い甲状腺炎で、甲状腺機能低下症でよくみられる原因です。理由は明らかではありませんが、体が自分自身を攻撃し(自己免疫反応)(自己免疫疾患を参照)、甲状腺に白血球が侵入し、甲状腺を攻撃する抗体がつくられます。橋本甲状腺炎の人の多くは、糖尿病、副腎の機能低下、副甲状腺の機能低下などの内分泌障害や、悪性貧血、関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス(狼瘡[ろうそう])などの他の自己免疫疾患をもっています。

橋本甲状腺炎は、女性、特に高齢女性に多く、家族にも出現する傾向があります。この病気は、ダウン症候群、ターナー症候群、クラインフェルター症候群を含む特定の染色体異常がある人では発症しやすくなります。

橋本甲状腺炎は、初めは痛みがなく、甲状腺が硬く、肥大するか首がふくらんだように感じます。甲状腺はゴムのような感触で、こぶのようにも感じられます。橋本甲状腺炎の人の約50%に甲状腺の機能低下がみられます。残りの多くは甲状腺は正常のままです。少数ですが、初めに甲状腺の機能が亢進し、その後低下する人もいます。

甲状腺の機能が正常かどうかを調べるために、採血して甲状腺機能検査を行います。診断は、診察や甲状腺を攻撃する抗甲状腺抗体の有無を調べる血液検査の結果に基づいて行われます。甲状腺機能低下症ではないことを確認するために、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の濃度が測定されます。

橋本甲状腺炎に対して、有効な特定の治療法はありません。

結局、甲状腺機能低下症が進行し、その後は甲状腺ホルモン補充療法を一生続けなければなりません。甲状腺ホルモンは肥大した甲状腺を小さくするのにも有効です。橋本甲状腺炎の人は海藻の錠剤や海藻などの天然物から、ヨードを過剰摂取(甲状腺機能低下症を起こすほどの)しないようにしなければなりません。

有痛性亜急性甲状腺炎: 有痛性亜急性甲状腺炎は、おそらくウイルスが原因で、突然発症します。この病気は、炎症によって甲状腺が過剰の甲状腺ホルモンを放出して甲状腺機能亢進症を起こし、ほとんどが続いて一時的な甲状腺機能低下症を発症し、最終的には甲状腺機能は正常に回復します。

有痛性亜急性甲状腺炎はウイルス性の病気に続いて発症し、多くの人が初めに「のどの痛み」を感じますが、これは、実際は甲状腺に限局した頸部の痛みです。有痛性亜急性甲状腺炎の人の多くが極度の疲労感を覚えます。甲状腺の痛みはますます強くなり、微熱(約37.2〜38.3℃)が出ます。痛みは頸部の片側から反対側に移ることがあり、あごや耳に広がり、頭を回したり、ものを飲みこむ動作で痛みが強くなります。有痛性亜急性甲状腺炎は初期には歯、のど、耳の感染症とよく間違えられます。

このタイプの甲状腺炎にかかった人の多くは完全に回復します。一般的に、甲状腺炎は数カ月のうちに自然に回復しますが、ときには再発したり、まれに甲状腺をひどく損なって永続的な甲状腺機能低下症を引き起こすこともあります。

アスピリンや他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、痛みと炎症を緩和します。重症の場合はプレドニゾロンのようなステロイド薬が勧められますが、これらは6〜8週間のうちに減量します。ステロイド薬を急にあるいは早く中止すると、しばしば症状が完全に戻ってしまいます。甲状腺機能亢進症の症状が重い場合はベータ遮断薬が勧められます。

無痛性亜急性甲状腺炎: 無痛性亜急性甲状腺炎は、女性、特に出産直後に発症することが多く、甲状腺は痛みを伴わずに肥大します。この病気は次に妊娠したときに再発します。数週間から数カ月間に、無痛性亜急性甲状腺炎の人は甲状腺機能亢進症に続いて甲状腺機能低下症を生じ、結局は甲状腺機能が正常に回復します。

甲状腺機能亢進症の治療には2〜3週間かかり、プロプラノロールなどのベータ遮断薬が必要です。甲状腺機能が低下している間は甲状腺ホルモンの服用が必要ですが、通常2〜3カ月以上は長くはなりません。しかし、無痛性亜急性甲状腺炎の人の約10%が甲状腺機能低下症が永続し、甲状腺ホルモンの服用が生涯必要になります。

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