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アジソン病

アジソン病は副腎機能の低下によって、すべての副腎ホルモンが不足する病気です。

アジソン病はあらゆる年齢層の人に、また男女いずれにも同じように発症します。アジソン病の70%は正確な原因は不明ですが、体の免疫系が副腎皮質を攻撃し破壊する自己免疫反応(自己免疫疾患を参照)の影響を受けています。残りの30%は癌(がん)、結核などの感染症、他の不明な病気によって副腎が破壊されたことが原因です。乳児や小児の場合は副腎の遺伝子の異常が原因です。

続発性副腎機能不全症はアジソン病に似た病気です。この病気は、下垂体が副腎を刺激しないために副腎の機能が低下するもので、副腎が破壊されたり、直接機能が失われているわけではありません。

副腎の機能が低下すると、すべての副腎ホルモンの値が不足する傾向があります。そのため、アジソン病は体内の水分やナトリウムとカリウムのバランス、同じように、血圧のコントロールやストレスへの反応に影響を及ぼします。さらに、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)などのアンドロゲンが分泌されないと、女性は体毛がなくなります。男性では、精巣からテストステロンが分泌されて不足分が補われます。DHEAにはアンドロゲンに関係のない別の作用もあります。

副腎が感染症や癌で破壊されると、副腎髄質はエピネフリンを産生できなくなります。しかし、これによる症状はありません。

とりわけアルドステロンが不足すると、大量のナトリウム排出とカリウム保持が起きて、血液中のナトリウム値が低下し、カリウム値は上昇します。腎臓は尿を濃縮できないので、アジソン病の人は水を大量に飲みすぎたり大量のナトリウムを失うと、血液中のナトリウム値は低下します。尿を濃縮できないと排尿が過剰になり、脱水症になります。重症の脱水症と低ナトリウムは血液量を減らし、結果的にショック症状を引き起こします。

コルチコステロイドが不足すると、インスリンへの感受性がきわめて高くなり、血糖値は危険な値まで低下することがあります。また、タンパク質から炭水化物をつくったり、感染に対抗したり、傷の治りが妨げられます。筋力は衰え、心臓が弱くなって十分な血液を送ることができなくなります。さらに、血圧は危険なまでに低くなります。

アジソン病の人はストレスを受けても追加のコルチコステロイドをつくれません。そのため、病気、極度の疲労、重症の傷害、手術、あるいは、重い心理的なストレスに直面したとき、深刻な症状や合併症が起こりやすくなります。

アジソン病では下垂体が副腎を刺激しようとして、さらにコルチコトロピンを産生します。コルチコトロピンはメラニンの産生も刺激するため、しばしば皮膚と口内の粘膜に濃い色素沈着を起こします。

症状

アジソン病になるとすぐに、脱力感、疲労感が生じ、座ったり横になった姿勢から立ち上がるとめまいを感じます。これらの症状は、徐々に、知らぬ間に進行することがあります。アジソン病では皮膚に黒ずんだ斑点が現れ、日焼けのようにみえますが、日光にさらされていない部分にも現れます。肌が色黒の人では、変化はわかりにくいですが、やはり過剰な色素形成が起きます。黒い斑点は額、顔、肩に現れ、青みがかった黒い斑点は乳首、口、直腸、陰嚢、あるいは腟(ちつ)の周囲に現れることがあります。

多くの人に、体重減少、脱水症、食欲減退、筋肉痛、吐き気、嘔吐、下痢の症状が生じ、寒さに弱くなります。病気が重篤でなくても、ストレスのある間だけは症状がはっきり現れる傾向があります。特に小児では、神経過敏と過度の空腹を伴った低血糖の期間が発生することがあります。

アジソン病を治療しない場合、重度の腹痛、強い脱力感、極度の低血圧、腎不全、ショック症状が起こります(副腎クリーゼ)。副腎クリーゼは、事故、傷害、手術、重症の感染症などで体がストレスにさらされると発症し、短時間のうちに死に至ることがあります。

診断

症状は徐々に始まり微妙であるため、そして初期段階では単独の検査では確定されないために、初めからアジソン病が疑われることはまずありません。大きなストレスがきっかけで急に症状がはっきりと現れたときには、危険な状態に陥ることもあります。

血液検査でナトリウム値が低くカリウム値が高ければ、腎臓の働きが悪いことを示しています。コルチゾール値は低く、コルチコトロピン値が高ければアジソン病が疑われます。しかし、通常はコルチコトロピンで刺激した後で、コルチゾール値を測定してから診断が確定されます。コルチゾール値が低い場合、アジソン病あるいは続発性副腎機能不全症の判別には、さらに検査が必要です。

治療

原因が何であれ、アジソン病は致死的になるおそれがある病気なので、コルチコステロイド薬で治療しなければなりません。一般的な治療はヒドロコルチゾンかプレドニゾロン(合成コルチコステロイド薬)の服用から始めます。しかし、重症の場合は初めに静脈注射か筋肉注射でコルチゾールが投与され、次にヒドロコルチゾンの錠剤を服用することになります。体が正常ならばコルチゾールの産生は朝に最も多いので、ヒドロコルチゾンの補充は朝に最大量を服用し、1日分を分割して服用すべきです。ヒドロコルチゾンは一生、毎日服用の必要があるでしょう。特に病気のようなストレス下では大量のヒドロコルチゾンが必要になり、重症の下痢や嘔吐の場合は注射が必要なこともあります。

ナトリウムとカリウムの正常な排泄を回復するために、ほとんどの場合でフルドロコルチゾンを毎日服用することも必要になります。テストステロンの補充は必要ありませんが、DHEAの補充は生活の質(QOL)を改善する証拠があります。治療は一生続けなければなりませんが、経過の見通しは良好です。

コルチコステロイド薬による副腎機能の低下

プレドニゾロンなどのコルチコステロイド薬を大量に使用している人は、副腎機能が低下します。これは大量のステロイド薬が、正常に副腎機能を刺激する視床下部と下垂体のホルモン産生を妨げるためです。ステロイド薬の服用を突然中止すると、体は副腎機能を急速には回復できないため、一時的に副腎機能低下症(アジソン病に似た状態)になります。ストレスを受けたときにも、体は必要なコルチコステロイドを追加でつくるように刺激することはできません。

そのため、ステロイド薬を2〜3週間以上使用している場合は、突然投与を中止してはいけません。その代わり、週から月単位の時間をかけて、徐々に量を減らしていきます。ステロイド薬を使用していても、病気や、過度にストレスが加わった場合は、用量を増やす必要があります。ステロイド薬を減量したり中止している数週間のうちに、病気になったり、過度なストレスが加わった場合は、使用を再開する必要があります。

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