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慢性疾患による貧血

慢性疾患の中には、赤血球の産生を低下させて貧血を引き起こすものがあります。その原因は、赤血球の産生を妨げるサイトカインというタンパク質がつくられるためです。

慢性疾患はしばしば貧血の原因となり、高齢者ではその傾向が強くみられます。感染、炎症、癌などは、特に骨髄での赤血球産生を抑えます。しかし、たいていの場合はさほど激しく抑制されるわけではないので、貧血はゆっくりと進み、時間がたって初めて明らかになってきます。貯蔵された鉄を新しい赤血球の産生に利用できなくなるため、この種類の貧血は鉄再利用障害性貧血と呼ばれます。

この種類の貧血はゆっくりと進行し、一般に軽度で、症状はほとんどみられません。貧血の症状ではなく、その原因となっている病気の症状がみられることがあります。この貧血を確定できる検査法はなく、診断は他の原因を除外することにより行われます。

この貧血に対する決まった治療法はなく、貧血を起こしている病気を治療します。鉄分やビタミンを余分に摂取しても治療には役立ちません。まれに貧血が重症化した場合は、輸血を行います。このほか、骨髄を刺激し赤血球の産生を促すエリスロポエチンまたはダルベポエチンが投与されることがあります。

骨髄が働かなくなる再生不良性貧血

骨髄の幹細胞は血球や血小板のもとになる大切な細胞です。この幹細胞が損傷を受けたり抑制されると、骨髄が働かなくなります。骨髄不全による貧血を再生不良性貧血といいます。再生不良性貧血の原因としては、骨髄の幹細胞が免疫系によって抑制される自己免疫疾患が最も多いと考えられています。その他の原因には、パルボウイルス感染、放射線、ベンゼンなどの毒物、化学療法薬、その他の薬剤(クロラムフェニコールなど)があります。

骨髄不全になると、赤血球の減少(貧血)、白血球の減少(白血球減少症)、血小板の減少(血小板減少症)が起こります。貧血になると疲労や脱力感が生じ、顔色が悪くなります。白血球が減少すると感染を起こしやすくなり、血小板が減少するとあざや出血が生じやすくなります。赤血球の産生だけが障害される場合もあります。これを赤芽球癆(せきがきゅうろう)といい、特にパルボウイルスが原因の場合に起こります。骨髄組織を採取して顕微鏡で調べる骨髄生検で、幹細胞数と血球の成熟が極度に低下していれば、再生不良性貧血と診断されます。

再生不良性貧血は、ただちに治療を開始しないと短期間で死に至ります。赤血球や血小板を輸血し、増殖因子と呼ばれる物質を投与することで、赤血球、白血球、血小板を一時的に増やすことができます。若年から中年の成人では、幹細胞または骨髄の移植によって治癒が可能です。高齢者や適切な骨髄ドナーがいない場合は、コルチコステロイド薬と免疫抑制薬による治療が有効です。

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