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血友病

血友病は、第VIII因子と第IX因子という2つの血液凝固因子のうち、いずれかが欠乏しているために起こる出血性の病気です。

血友病には2種類あります。血友病Aは第VIII因子が欠乏しているもので、全体の約80%を占めます。血友病Bでは凝固第IX因子が欠乏しています。出血のパターンや病気の経過は、いずれも似ています。

血友病はいくつかの遺伝子異常が原因で起こります。遺伝の形式は伴性遺伝で、遺伝子異常は母親から伝わり、患者のほとんどが男性です。

症状と合併症

症状の重さは、遺伝子異常が第VIII因子や第IX因子の血液凝固活性にどれだけ影響しているかによって異なります。凝固活性が正常値の5〜25%であれば、きわめて軽症で、血友病と診断されないこともあります。ただし、手術、抜歯、大けがなどの後では、出血量が予想以上に多くなることがあります。血液凝固活性が正常値の1〜5%の場合は、軽度の血友病です。この場合、はっきりした理由がなく出血することはほとんどありませんが、手術やけがで出血が止まらなくなり、命にかかわることがあります。凝固活性が正常値の1%以下の場合は、重度の血友病で、はっきりした原因がなくても、大量の出血を繰り返します。

重度の血友病では、最初の出血が生後18カ月以内に起こることが多く、ほんの小さな傷がきっかけで出血を起こします。血友病の小児はあざができやすく、筋肉内に注射をしただけで出血を起こし、大きなあざや血腫が生じます。関節や筋肉への出血が繰り返し起こると、体が変形します。出血によって舌の付け根が腫れ、気道がふさがれて呼吸困難を起こすことがあります。頭を軽くぶつけただけでも大量の頭蓋内出血が生じ、脳障害を起こして死に至る可能性があります。

診断と治療

小児(特に男児)で特に原因がなく出血する場合や、けがの後に出血が予想以上に多い場合は、血友病が疑われます。血液検査で血液凝固の異常がないか調べます。血液凝固が異常に遅い場合は血友病と診断され、凝固因子の活性を測定して血友病の種類と重症度を判定します。

日常生活では、出血を起こすような状況を避け、アスピリンなど血小板の機能を妨げる薬物を使用しないよう注意します。抜歯をせずにすむように、歯の健康に注意する必要があります。軽度の血友病で歯の手術や外科手術が必要になった場合は、アミノカプロン酸またはデスモプレシンで出血のコントロールを一時的に改善し、輸血をしなくてもすむようにします。

輸血によって凝固因子の不足を補う治療も多く行われます。これらの因子は正常な血漿中に含まれています。凝固因子は、血漿製剤を精製あるいは濃縮して製造したり、特殊な技術を使って生成した高純度の組み換え凝固因子濃縮物からつくられます。第VIII因子と第IX因子のいずれも、組み換え型の製剤が利用できます。用量、回数、治療期間は出血部位と重症度によって異なります。凝固因子製剤は、手術前の出血の予防や、最初に出血がみられたときにも使用されます。

人によっては、輸血した凝固因子を破壊する抗体ができる場合があります。その結果、凝固因子補充療法の効果が低下してしまいます。血友病患者の血液から抗体が検出された場合は、組み換え凝固因子製剤や濃縮血漿製剤を増量するか、凝固因子の種類を変える、または薬で抗体価を低下させるなどの対応が必要になります。

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