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非ホジキンリンパ腫

非ホジキンリンパ腫とは、Bリンパ球またはTリンパ球で発生する癌のうち、ホジキン病を除くすべてのがんを指します。

非ホジキンリンパ腫には、顕微鏡ではっきりと判別でき、細胞パターンも経過もそれぞれ異なる20種類以上の癌が含まれます。非ホジキンリンパ腫の85%はBリンパ球のがんで、Tリンパ球の癌は15%未満です。非ホジキンリンパ腫はホジキン病よりも多くみられ、米国では毎年約6万5000人が新たに非ホジキンリンパ腫と診断され、この数は特に高齢者と免疫機能不全の人を中心に増加しています。臓器移植を受けた人やヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している人は、非ホジキンリンパ腫のリスクが高くなります。

非ホジキンリンパ腫の原因は明らかになっていませんが、一部のまれなタイプでは、ウイルスの関与を強く示す証拠が得られています。日本の南部とカリブ海諸島では、急速に進行するまれなタイプの非ホジキンリンパ腫がみられますが、これはHIVと似たレトロウイルスであるHTLV-I(成人T細胞白血病ウイルスI型)の感染が原因となっている可能性があります。別のタイプの非ホジキンリンパ腫であるバーキットリンパ腫は、多くの場合、EBウイルスが原因となっています。

まれなタイプの非ホジキンリンパ腫

菌状息肉腫は、非常にゆっくりと増殖するまれな慢性の非ホジキンリンパ腫で、この病気になるのは、ほとんどが50歳以上です。菌状息肉腫は成熟Tリンパ球に発生し、まず皮膚に影響を及ぼします。最初はごくわずかな症状しかなく、ゆっくりと増殖するため、初めは気がつかないこともあります。かゆみを伴う慢性の発疹、あるいはかゆみと肥厚を伴う小さな皮膚病変が現れます。肥厚した部位は、やがて結節となって徐々に広がります。菌状息肉腫は、白血病の1種であるセザリー症候群に進行したり、リンパ節や内臓に浸潤することがあります。初期には生検を行っても診断は困難ですが、後期には皮膚の生検でリンパ腫細胞が認められるようになります。

皮膚の肥厚した部分は、ベータ線(放射線の1種)または太陽光とコルチコステロイド薬で治療します。ナイトロジェンマスタードを皮膚に直接塗ることによって、かゆみを軽減し、病変部を小さくすることができます。インターフェロンも症状を軽減する効果があります。菌状息肉腫がリンパ節や他の臓器にまで広がっている場合は、化学療法が必要です。治療しないで放置した場合は、診断から7〜10年で死に至ります。菌状息肉腫は治療により完治することはありませんが、進行を遅くすることはできます。

バーキットリンパ腫は、Bリンパ球に発生し、非常に急速に増殖する非ホジキンリンパ腫です。どの年齢層にもみられますが、小児および青年期の特に男性に多くみられます。このリンパ腫には他のリンパ腫にはない地域性があり、最も多いのは中央アフリカで、米国ではまれです。エプスタイン‐バー(EB)ウイルスが原因で生じますが、接触感染はしないと考えられています。このリンパ腫はエイズにかかっている人に多くみられます。

バーキットリンパ腫は急速に増殖して広がり、しばしば骨髄、血液、中枢神経系へ浸潤します。リンパ腫が広がると、筋力低下や疲労などの症状が現れます。腹部のリンパ節や臓器に多数のリンパ腫細胞がたまると、むくみが生じます。リンパ腫細胞が小腸に侵入すると、閉塞や出血が起こります。首やあごがむくんで痛むこともあります。異常組織の生検やその他の検査を行って診断を確定し、病期を判定します。

バーキットリンパ腫は、治療しなければ死に至る病気です。小腸の病変部は放置すると出血したり、閉塞を起こしたり、破裂したりする可能性があるため、切除する必要があります。リンパ腫が広範囲に広がっていない場合には、高用量化学療法によって70〜80%が治癒します。診断時点ですでに骨髄、血液、中枢神経系にまで広がっている場合は、経過が非常に悪くなります。

症状

非ホジキンリンパ腫では、首、わきの下、足の付け根のリンパ節の腫れが最初の症状です。痛みはありません。胸部リンパ節が腫れると気道が圧迫され、せきや呼吸困難が起こることがあります。腹部の深いところにあるリンパ節が腫れると、さまざまな臓器が圧迫されて、食欲喪失、便秘、腹痛、脚の進行性浮腫(むくみ)などが起こります。

血流や骨髄の中にリンパ腫ができると、赤血球、白血球、血小板の減少による症状がみられるようになります。赤血球が少なくなると貧血が起こり、疲労、息切れ、皮膚が青白くなるなどの症状が出ます。白血球が少なくなると感染を起こしやすくなります。血小板が少なくなると、あざができやすくなったり、出血しやすくなったりします。また、非ホジキンリンパ腫は骨髄、消化管、皮膚に浸潤することが多く、ときに神経系にも浸潤してさまざまな症状を引き起こします。原因不明の発熱が長く続くことがあり、病気が進行していることを示しています。

小児の場合、最初にみられる症状は貧血、発疹、筋力低下や知覚異常などの神経学的症状で、これはリンパ腫細胞が骨髄、血液、皮膚、腸、脳、脊髄に浸潤するために起こると考えられています。体の深い部分にあるリンパ節は腫大しやすく、部位によってさまざまな症状を起こします。たとえば、肺の周囲に水分がたまると呼吸困難が起こります。腸の圧迫は食欲不振や嘔吐の原因となります。リンパ管が詰まると水分が貯留し、特に腕や脚にむくみが生じます。

非ホジキンリンパ腫の主な症状と原因

症状

原因

呼吸困難、顔のむくみ 胸部リンパ節腫大
食欲不振、重度の便秘、腹痛、腹部の膨満感 腹部リンパ節腫大
足の進行性浮腫(むくみ) 足の付け根または腹部のリンパ管の閉塞
体重減少、下痢、吸収不良(消化と血液への栄養分の通過が妨げられる) 小腸への浸潤
胸水(肺の周囲の体液貯留) 胸部リンパ管の閉塞
皮膚の肥厚、黒ずみ、かゆみ 皮膚への浸潤
体重減少、発熱、寝汗 全身に広がったリンパ腫
貧血(赤血球数の不足) 消化管内の出血、腫大した脾臓または異常抗体による赤血球の破壊、リンパ腫浸潤による骨髄の破壊、薬物または放射線治療による骨髄の赤血球産生能力の低下
重度の細菌性感染症にかかりやすくなる 骨髄とリンパ節への浸潤による抗体産生量の減少

診断と分類

腫大したリンパ節の組織を採取して調べ、ホジキン病などリンパ節が腫大する他の疾患と判別し、非ホジキンリンパ腫の診断を確定します。

非ホジキンリンパ腫には20種類以上があり、進行の遅いもの(低悪性度)、進行の速いもの(中悪性度)、きわめて進行の速いもの(高悪性度)という3つに大きく分類されます。低悪性度リンパ腫は、治療を受けなくても長期間生存できるリンパ腫です。中悪性度リンパ腫は、治療を受けずにいると数カ月しか生存できません。高悪性度リンパ腫は、治療を受けずにいると数週間しか生存できません。非ホジキンリンパ腫は中年から高齢にかけて多くみられる病気ですが、小児や青年にみられることもあります。小児や青年では、リンパ腫がより早く進行する傾向があります。

病期診断

非ホジキンリンパ腫は、診断された時点ですでに他の部位へ広がっていることが多く、リンパ腫が1カ所に限定しているケースはわずか10〜30%です。非ホジキンリンパ腫の病期診断はホジキン病と同様の方法で行われます(リンパ腫: 病期診断を参照)。骨髄生検もほぼ例外なく行われます。

治療と経過の見通し

非ホジキンリンパ腫は、大半のケースが治療で効果が得られます。治癒が可能な場合もあり、そうでない場合でも、寿命を何年も延ばしたり、症状を軽減することができます。治癒率や長期生存率は、非ホジキンリンパ腫のタイプと治療開始時の病期によって異なります。やや矛盾するようですが、低悪性度リンパ腫は治療にすみやかに反応して寛解(病気が抑制された状態)が得られ、長期生存が可能になることが多い半面、治癒することは通常はありません。これとは対照的に、中悪性度および高悪性度の非ホジキンリンパ腫では、寛解に達するには集中的な治療を要しますが、治癒する可能性はかなりあります。

ステージI、IIの非ホジキンリンパ腫: 限局した低悪性度リンパ腫(ステージI、II)の場合は、リンパ腫とその隣接部位に限局した放射線療法を行います。この治療により、20〜30%で長期の寛解が得られ、治癒する場合もあります。ごく初期の中悪性度または高悪性度の非ホジキンリンパ腫の場合は、多剤併用化学療法を行う必要があり、さらに限局的な放射線療法も併せて行います。この治療により70〜90%が治癒します。

ステージIII、IVの非ホジキンリンパ腫: 低悪性度リンパ腫はほとんどすべての場合、診断時にステージIIIまたはIVに達しています。必ずしも治療の必要はありませんが、合併症が生じる場合は病気が急速に進行していることがあるため、合併症の徴候に注意を払います。病期の進んだ低悪性度リンパ腫に対して早期に治療を開始しても、生存期間が延びるという証拠は得られていません。急速に進行しはじめた場合の治療法には、さまざまな選択肢があります。

化学療法は1剤で行う場合もあれば、数種類の薬を組み合わせて行う場合もあります。どの治療法が明らかに優れているということはないため、治療法は病気の範囲と症状に応じて選択されます。治療により寛解が得られますが、寛解が維持される期間は平均して2〜4年間です。再発後の治療法も、病気の範囲と症状に応じて選択されます。初回の再発以降は、寛解期が短くなる傾向があります。

低悪性度リンパ腫に対しては、多数の新しい治療が可能になってきています。リンパ腫細胞に結合して殺す作用をもつモノクローナル抗体を静脈注射する方法もその1つです。このような抗体(免疫グロブリン)にはリツキシマブなどがあります。また、モノクローナル抗体に他の物質を結合させることで、体のさまざまな部位の癌細胞に放射性粒子や毒性化学物質を直接運ぶこともできます。このようなモノクローナル抗体療法によって非ホジキンリンパ腫が治癒するかどうかや、化学療法と組み合わせればより良い結果が得られるのかどうかは、まだわかっていません。

このほか新しい治療法として、患者自身のリンパ腫から採取したタンパク質を接種する方法があります。免疫系は接種されたタンパク質を“異物”として認識し、感染の病原体を攻撃するのと同様の方法でリンパ腫を攻撃します。

ステージIIIまたはIVの中悪性度または高悪性度の非ホジキンリンパ腫の場合は、ただちに多剤併用化学療法を行います。効果が期待できる多剤併用化学療法は多数あり、その多くが使用される薬の頭文字を並べた名前で呼ばれています。たとえば、最も古くから使われ、現在でもよく使われているCHOPは、シクロホスファミド、(ヒドロキシ)ドキソルビシン、ビンクリスチン(オンコビン)、プレドニゾロンの組み合わせです。病期の進んだ中悪性度または高悪性度の非ホジキンリンパ腫では、患者の約50%がCHOP療法で治癒します。新しい多剤併用化学療法は、治癒率の面では特に改善をもたらしていませんが、他の効果をもつものもあります。たとえば、化学療法ではさまざまな血球の数が減少しますが、増殖因子と呼ばれる特殊なタンパク質を投与して血球の増殖と成長を促進することにより、耐容性(体が治療に耐えられる程度)が向上します。現在、一部の中悪性度または高悪性度のリンパ腫には、化学療法とモノクローナル抗体療法を組み合わせた治療が行われています。たとえば、まだ研究段階ですが、リツキシマブとCHOPとの併用療法はCOHPの単独療法よりも効果があると期待されています。

再発を起こした場合は、通常用量の化学療法ではきわめて限られた効果しか得られません。病期の進んだ中悪性度または高悪性度のリンパ腫が再発した場合は、高用量化学療法と患者自身の幹細胞を使う自家幹細胞移植(移植: 幹細胞移植を参照)を組み合わせた治療が多く行われています。この治療法の治癒率は40%に達しています。幹細胞移植には血縁者でない適合ドナー(提供者)からの幹細胞を使うこともありますが(同種移植)、この場合は合併症のリスクが高くなります。

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