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はじめに

癌の中には、食事などの生活習慣を改善すれば発症リスクを下げられるものもあります。何がリスクの低下に役立つかは癌の種類によって異なり、たとえば禁煙をして他の人のタバコの煙も避けることで、肺、腎臓、膀胱、頭頸部の癌になるリスクはかなり低下します。無煙タバコ(かぎタバコ、かみタバコ)をやめれば口の中や舌にできる癌のリスクを減らせます。太陽光の(特に日中の)直射を避ければ、皮膚癌のリスクを下げられます。肌の露出を避け、紫外線のブロック効果を示すSPF値が高い日焼け止めローションを使うことも、皮膚癌のリスク低下につながります。

これ以外にもいくつかの癌で、生活習慣の変化で発症リスクが下がることが知られています。食事の脂肪分を減らすと、乳癌と大腸癌のリスクが低下するとみられています。アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬の服用によっても、大腸癌のリスクは下がります。

癌の予防

米国癌協会(ACS)によれば、癌の中には生活習慣を変えることで発症のリスクを下げられるものもあります。

  • 癌のリスクを軽減する方法
    • 喫煙しない、タバコの煙を避ける。
    • 職業に関連した発癌物質(アスベストなど)を避ける。
    • 日光を長時間浴びない、日にあたるときは必ず日焼け止めを使う。
  • 癌のリスクを軽減する可能性がある方法
    • 脂肪分、特に動物性脂肪の多い食品(脂肪の多い肉、全脂肪の乳製品など)の摂取を制限する。
    • 野菜、果物の摂取を増やす。
    • 体を動かし、活動的な生活をする。
    • 標準体重を維持する。

癌の治療は、医療の中でもとりわけ複雑です。治療には、さまざまな医師(プライマリケア医、婦人科医、癌専門医、外科医、放射線科医、病理医など)と多彩な医療専門職(看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、薬剤師)が、1つのチームとなって取り組みます。治療方針を決定するにも、治療による治癒または延命の可能性、症状の改善効果、副作用、患者本人の考えといった、多数の要因を考慮しなければなりません。癌の治療を受ける人はだれしも治療に最善の成果を期待し、可能な限り質の高い生活をより長く続けたいと望んでいます。しかしながら、放射線や化学療法薬による治療を受ける場合は、治療そのものに伴うリスクも理解しておく必要があります。癌のある人は治療内容への要望について、治癒がもはや望めない場合のことも含めて、担当医全員と話し合う必要があります(法的問題と倫理的問題: 事前指示書を参照)。

癌が最初に診断された段階の治療では、癌をできる限り取り除き、転移を防ぐことが最大の目標となります。治療は手術や放射線療法、化学療法のいずれか、または複数を組み合わせて行います。癌が最初にできた原発部位にとどまらず、離れた別の場所にも広がることを転移といい、化学療法は転移した癌細胞に対する唯一の治療法です。複数の化学療法薬を組み合わせることで、原発部位の癌の病巣を根絶し、同時に他の部位にある癌細胞をも殺せる場合があります。

治癒が望めない場合でも、癌がもたらす症状を緩和する治療は可能なことが多く、こうした治療にも生活の質を向上させ、生存期間を延ばす意味があります(緩和ケア、緩和的治療)。たとえば手術で切除できない腫瘍でも、放射線療法によって小さくなれば、一時的にでも腫瘍の周辺の痛みなどの局所的な症状の軽減につながります。

癌の治療が複雑さを増す中で、さまざまな癌の種類ごとに、最も効果が高く副作用の少ない一定の治療計画(治療プロトコール)が開発されています。プロトコールに従って治療を行えば、癌の種類や進行の程度が同じ患者には、標準的な治療の流れや薬の投与量に基づいて同じような治療が行われるようになります。プロトコールは慎重な科学的臨床試験を経て作成され、その有効性を高めるため常に改善されています。

治療に対する反応

癌の治療は、治療に対する反応を評価しながら進めていきます。治療後に癌が一定期間消失した場合を完全寛解といいます。治療が最も成功した場合が治癒で、癌のあらゆる徴候がなくなり、再発しない状態を指します。治癒については5年間、10年間といった一定期間を区切って考えることもあり、癌が完全に消失し、想定期間内に再発しなかった状態が治癒とみなされます。部分寛解というのは、1つまたは複数の腫瘍の大きさが50%以上縮小した場合のことです。症状の緩和や生存期間の延長といった効果はみられますが、癌はいずれまた大きくなります。治療が成功しない場合を無効(不変)といいます。

一度は完全に姿を消した癌が、後でまた現れることがあります(再発)。癌が消えてから再発するまでの間を無病期間、癌が診断されてから死亡するまでの間を全生存期間といいます。部分寛解の場合の反応の持続期間は、部分寛解が得られた時点から、癌が増殖や転移を再開するまでの期間とされます。

化学療法や放射線療法がよく効く癌は治療反応性であるといい、こうした治療があまり効かない癌は治療抵抗性であるといいます。最初は治療によく反応した癌が、治療を繰り返すと抵抗性になっていく場合もあります。

腫瘍マーカーと呼ばれる物質を生じる癌があります。腫瘍マーカーの多くは癌以外のさまざまな病気によっても血液中に現れます。これらのマーカーは検出されても癌であるとは限らない(特異性が低い)ため、癌のスクリーニングには使えませんが、治療への反応をみるには役立ちます。治療前にあった腫瘍マーカーが、治療後には血液から検出されなくなれば、治療はおそらく成功しています。治療後にいったん消失した腫瘍マーカーがその後再び出てきた場合は、癌が再発したとみることができます。

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