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一般的な予防接種

一般に、小児は一定の基準に従って予防接種を受けます(乳児と小児の予防接種スケジュールを参照)。成人の場合は、必要に応じて特定のワクチン接種を受けます。医師は成人に予防接種をアドバイスするにあたって、年齢、既往症、すでに受けている予防接種、職業、住んでいる場所、旅行の予定などの要素を考慮します。

はしか、おたふくかぜ、風疹

はしか(麻疹)、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、別名ムンプス)、風疹は、いずれもウイルスによる感染症です。1956年以降に生まれた人で、この3種類の中にかかったことがない疾患があり、2回の予防接種を受けていなくて、しかも感染する可能性がある場合には、予防接種を受けた方がよいとされています。初めて寮生活を経験する大学の新入生、軍隊の新規入隊者、学校や託児所で働く人は、感染する可能性があるといえます。妊娠中や、卵や抗生物質のネオマイシン(別名フラジオマイシン)に対してアレルギーがある場合は接種できません。

はしか、おたふくかぜ、風疹は、それぞれ単独でワクチン接種を受けることが可能です。しかし、いずれの感染症も予防が必要なため、米国では一般に、3種類の接種を一度に済ませることができる混合ワクチン(MMRワクチン)が用いられています(訳注:現在、日本では3種類のワクチンを別々に接種しています)。

破傷風

破傷風ワクチンは、破傷風菌自体ではなく、破傷風菌がつくる毒素から体を守るためのものです。この病気は命にかかわることが多いので、ワクチン接種は特に重要です。小児のときに予防接種を受けていない成人には、まず6カ月間で3回の注射を行います。その後10年に1度は追加接種を受けた方がよいとされています。小児には、破傷風、ジフテリア、百日ぜきの混合ワクチンを接種します。成人には百日ぜきのワクチンは必要ないので、破傷風単独ないし破傷風とジフテリアの混合ワクチンを1回の注射で行います。

A型肝炎

A型肝炎ワクチンは、成人や2歳より上の小児が米国、カナダ、北ヨーロッパ、西ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、日本以外の国へ旅行する場合、注射針を使う麻薬常習者、男性同性愛者、慢性の肝疾患や血液凝固機能に障害がある場合に勧められます。6〜12カ月の間隔で2回接種します。A型肝炎の罹患(りかん)率が高い地域では、小児にも定期的なワクチン接種を行うべきです。

B型肝炎

B型肝炎ワクチンは、感染リスクが高いと考えられる場合に実施します。感染リスクが高いのは、医療従事者、遺体を取り扱う人、頻繁に輸血や人工透析を受ける人、注射針を使う麻薬常習者、複数のセックスパートナーがいる人、家族や性交渉の相手がB型肝炎のキャリアである場合などです。

ワクチンは3回または4回接種する必要があります。すでにワクチンを接種していても、ウイルスに接触したおそれがある場合は、抗体の検査を行い、抗体価が低下していれば追加接種が必要となります。ワクチン製造にパン酵母が使われるため、パン酵母に対して強いアレルギーがある場合は接種できません。

インフルエンザ菌b型

小児は必ず、この細菌に対するワクチン接種を受けます(訳注:日本ではこのワクチンはまだ導入されていません)。成人は感染することがほとんどないため、必要ありません。

インフルエンザ

インフルエンザウイルスのワクチンは、老人ホームの入居者、50歳以上の人、医療従事者など、インフルエンザにかかるリスクや合併症を起こす可能性が高い場合に勧められます。心臓や肺の慢性疾患、糖尿病、腎不全、鎌状赤血球症、免疫不全、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染がある場合も、受けた方がよいとされています。

インフルエンザの流行は、通常は12月後半から真冬にかけて始まるので、9〜10月がワクチン接種を受けるのに最適な時期です(訳注:日本では12月上旬までには接種を済ませておくことが勧められています)。ウイルスは毎年変異するので、ワクチン接種も毎年受ける必要があります。

肺炎球菌感染症

肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチン接種は、すべての小児に推奨されています。最近開発された小児用ワクチンは非常に効果的です。成人でも肺炎にかかるリスクが高い場合は、成人用ワクチンの接種を受けた方がよいでしょう。肺炎にかかるリスクが高いのは、慢性疾患(特に肺や心臓の疾患)、脾臓(ひぞう)の機能不全、血液細胞の癌(がん)、脊髄(せきずい)液漏出、アルコール依存症の人などです(訳注:肺炎球菌ワクチンは日本でも接種できますが、まだあまり普及していません)。

成人用ワクチンは、3人中2人に有効ですが、体の弱った高齢者では効果が下がります。肺炎球菌による肺炎を予防するというよりは、肺炎の重い合併症を予防するためにワクチン接種を行います。1回の注射で終生免疫が得られるとされていますが、上記のようなリスクが高い人には、6年ごとの接種が推奨されます。

ポリオ

ポリオ(小児麻痺)に対するワクチン接種は、小児のうちに必ず受けるべきです。最近までは、弱毒化した生ウイルスが入っているワクチンを内服するという方法が最も普及していました。ところが、この生ワクチンを飲むと、240万人に約1人の割合で実際にポリオが発症します(特に、免疫機能が低下していると発症しやすいといわれています)。このため、現在米国では、病気を起こす力のない死んだウイルスでつくったポリオワクチンを注射で用いています。

現在の米国では、ポリオはたいへんまれな病気となったため、18歳以上で未接種だったとしても、ポリオの汚染地域へ行く場合以外は接種の必要はありません。

水ぼうそう

水ぼうそう(水痘)の予防接種も、小児が受けるべきとされている定期予防接種の1つです。ただし、これは比較的新しいワクチンなので、年長の小児や成人で水ぼうそうにかかったことのない人は接種を受けた方がよいでしょう。成人がこの病気にかかると重症になる傾向があるためです。ワクチンを接種しても完全に病気を予防することはできませんが、万一かかった場合には、通常は症状を軽くする効果があります。また、このワクチンは帯状疱疹(たいじょうほうしん)(ウイルスによる感染症: 帯状疱疹を参照)の予防に役立つともいわれています。帯状疱疹とは、水ぼうそうにかかった後何年もたってから起こる可能性がある病気で、皮膚に強い痛みが出ます。

ワクチンの接種は4〜8週間空けて2回に分けて行います。妊婦、免疫機能が低下している人、骨髄やリンパ系の癌がある人には接種できません。

天然痘

天然痘の予防接種は、かつては米国民全員を対象に行っていましたが、天然痘が根絶されたことにより、20年以上前に廃止されました。ワクチンの効果が持続するのは約10年といわれているので、現在はほとんどの人が免疫をもっていません。ところが、最近になって、テロリストが天然痘を生物兵器として使用するのではとのおそれが生じていることから、予防接種を再開しようという動きがあります。基本的に安全なワクチンですが、初めて接種を受けた人では、100万人に約100人の割合で重い副作用が生じ、そのうち1人が死亡します。以前に接種を受けたことがある場合は、副作用を起こす率や死亡する率は低くなります。天然痘の予防接種が再開されたとしても、天然痘が発生した地域のみが対象になると思われます。ワクチンはウイルスに接触した後、できるだけ早い時期に接種を受けるのが最も効果的ですが、天然痘にかかってしまっても、症状が現れて数日以内に接種を受ければ効果があるといわれています。

主な予防接種と対象者

米国では下記の病気に対する予防接種を行っています:

疾患名

予防接種が必要な人

アデノウイルス感染症 条件に該当する人(米軍関係者のみ)
炭疽 条件に該当する人
コレラ 条件に該当する人
ジフテリア すべての小児と成人
インフルエンザ菌b型感染症(髄膜炎) すべての小児、成人は条件に該当する人
A型肝炎 すべての小児、成人は条件に該当する人
B型肝炎 すべての小児、成人は条件に該当する人
インフルエンザ 条件に該当する人
日本脳炎 条件に該当する人
はしか(麻疹) すべての小児と成人
流行性髄膜炎(髄膜炎菌性髄膜炎) 条件に該当する人
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎) すべての小児と成人
百日ぜき すべての小児と成人
ペスト 条件に該当する人
肺炎球菌感染症(髄膜炎、肺炎) すべての小児、成人は条件に該当する人
ポリオ(小児麻痺) すべての小児と成人
狂犬病 条件に該当する人
風疹 すべての小児と成人
天然痘 現在は推奨していない
破傷風 すべての小児と成人
結核 条件に該当する人
腸チフス 条件に該当する人
水ぼうそう(水痘) すべての小児、成人は条件に該当する人
黄熱 条件に該当する人
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