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野兎病

野兎病はグラム陰性菌の野兎病菌による感染症で、ウサギなどの野生動物から伝染します。

野兎病菌に感染した動物を食べたりさわったりすると感染が起こります。猟師、食肉処理業者、農業従事者、毛皮製造業者、検査技師に多くみられます。冬場の感染症はほとんどが野生のウサギとの接触によるもので、特にその皮をはぐときに起こります。夏場は、菌をもったダニやアブに刺されて起こります。まれに、火が十分に通っていない肉を食べたり、汚染された水を飲んだり、食肉解体中や芝刈り機で動物をひいてしまって、空気中に舞い上がった菌を吸いこんだりすることでも起こります。この菌は傷のない皮膚からも侵入することができます。人から人への感染例は報告されていません。

野兎病の種類

野兎病には4種類の型があります。最もよくみられるのが潰瘍リンパ節型で、手や指に潰瘍ができ、感染部位と同じ側のリンパ節が腫れます。2番目の眼リンパ節型では眼に充血や腫れが生じ、リンパ節も腫れます。この型は、感染した指や細菌のついた指で眼に触れたり、感染部位の体液が眼に入ることで起こると考えられます。3番目はリンパ節型で、リンパ節が腫れるだけで潰瘍はできないことから、食物を通して体内に入った細菌が原因と思われます。4番目はチフス型で、高熱、腹痛、激しい消耗がみられます。野兎病を引き起こす細菌を吸いこんだ場合には、肺炎を起こすこともあります。

症状

菌と接触してから1〜10日後、通常は2〜4日後に突然症状が現れます。まず、頭痛、悪寒、吐き気、嘔吐、約40℃に達する熱、激しい疲労感が起こり、続いて、極度の脱力感、悪寒の繰り返し、大量の発汗が起こります。リンパ節型とチフス型の野兎病を除き、24〜48時間以内に指、腕、眼、口蓋などの感染部に炎症性の水疱が現れます。水疱にはすぐに膿がたまり、破れて潰瘍になります。腕や脚には単独でできますが、眼や口の中にはいくつもできます。潰瘍周囲のリンパ節は腫れて膿をもち、膿はやがて排出されます。発疹は病気の経過中いつでも現れることがあります。

肺炎が起こることもありますが、空せきや胸の中心部に焼けるような痛みが起こるだけで、あまり重い症状は現れません。ただし、中にはせん妄を起こすケースもあります。

診断と治療

ダニやアブに刺されたり、ウサギなどの野生動物と少しでも接触したりした後で、急な発熱、リンパ節の腫れ、特徴的な潰瘍がみられた場合に野兎病と診断します。検査技師が感染した場合は、リンパ節や肺のみに限った感染のことが多いので、診断するのは難しく、菌は特別の培地で培養することになります。

野兎病の治療には、ストレプトマイシンを7〜14日間注射します。潰瘍には湿性包帯をあて、頻繁に取り換えます。包帯をすることによって、感染の広がりを防ぐことができます。まれに大きな膿のかたまり(膿瘍)ができて、切開して膿を吸い出さなくてはならなくなります。症状が出た眼には温湿布をあて、サングラスをかけるといくらか楽になります。激しい頭痛がある場合は、コデインのようなオピオイド系鎮痛薬を使います。

放置すると約3人に1人は死亡しますが、治療すればほぼ全員が助かります。死亡するのは感染が手に負えないほど広がった場合や、肺炎、髄膜炎(脳と脊髄を包む膜の感染症)、腹膜炎(腹腔の壁の感染症)などを起こした場合です。再発はまれですが、治療が不適切だと起こります。野兎病にかかると免疫ができます。

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