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かぜ(感冒)

かぜはウイルスによる鼻、副鼻腔、のど、上部気道の粘膜の感染症です。

かぜは最もよくみられる病気の1つです。さまざまな種類のウイルスがかぜの原因となりますが、100の亜型をもつライノウイルスが関係することが多いとされています。ライノウイルスによるかぜは春と秋に多いなど、季節によって異なるウイルスがかぜの原因となっています。

かぜは、感染している人の鼻水など、かぜのウイルスを含んだ分泌物に手が接触することで主にうつります。分泌物がついた手で、口、鼻、眼などをさわると、ウイルスが体内に侵入して、新たにかぜにかかります。感染している人のせきやくしゃみで飛び散った飛沫(ひまつ)を吸いこんで感染することもあります。かぜは症状が出てから最初の1〜2日間が最も感染力があります。体が冷えるとかぜを引く、またはかぜを引きやすくなるということはありません。体調の良しあしや食習慣、あるいは扁桃腺肥大やアデノイドなど鼻やのどの異常も、かぜの引きやすさに直接関係はないようです。

症状と診断

かぜの症状は、感染してから1〜3日後に現れます。最初に鼻やのどに不快感があり、くしゃみや鼻水が出て、やや体調が悪くなったように感じます。熱が出ることはあまりありませんが、初めに少し出ることもあります。鼻水は初めのうちは透明で水っぽく、煩わしいほどたくさん出ます。やがて粘液性をもち、色は黄緑色に濁って、出る量も減ってきます。せきもよくみられます。症状は4〜10日でなくなりますが、せきは2週目に入っても続くことがよくあります。

合併症が起こると、病気が長びきます。喘息(ぜんそく)の人の場合、ライノウイルス感染で喘息発作が誘発されることがあります。かぜが原因となって中耳炎や副鼻腔炎などの細菌感染症が起こることもあります。これは、鼻が詰まるとこれらの部位における分泌物の正常な排出が阻止されるため、たまった分泌物の中で細菌が増殖しやすくなるからです。二次的な気管支炎や肺炎など、下部気道の細菌感染症が起こる人もいます。

たいていの場合、かぜは典型的な症状から診断できます。高熱、激しい頭痛、発疹、呼吸困難、胸痛などがある場合は、その感染症は単なるかぜではないことが示唆されます。かぜの診断に検査は必要ありませんが、合併症が疑われる場合は、血液検査やX線検査を行うことがあります。

予防

かぜを起こすウイルスにはたくさんの種類があり、それぞれが時がたつにつれ少しずつ変化するため、有効なワクチンはまだ開発されていません。衛生面に気をつけることが最善の予防策です。多くのかぜウイルスは感染者の分泌物に触れることで広がるので、かぜを引いている人とその家族、職場の同僚などは、手洗いを頻繁に行うことが大切です。くしゃみやせきをするときはティッシュペーパーで口を覆い、済んだらきちんと捨てます。かぜを引いている人は、できれば別の部屋に寝た方がよいでしょう。せきやくしゃみが出る場合は、他の人にうつすといけないので、学校や仕事を休むべきです。複数の人が使う共有物や室内の手で触れる部分のふき掃除も、かぜのウイルスが広がるのを抑えるのに有効です。

エキナシアやビタミンCの大量摂取(1日2000ミリグラムまで)はかぜに効くといわれますが、実際にかぜを予防するかどうかは証明されていません。インターフェロンを鼻に噴霧すると、ライノウイルスによるかぜにかかる率が下がります。しかし、インターフェロンは鼻を刺激して出血を起こしたり、また他のウイルスには効きません。現在、米国ではインターフェロンの点鼻薬は市販されていません。

治療

かぜを引いたら温かく安静にして、他の人にうつさないようにします。熱があったり症状が激しい場合は、外出を控えます。水分を摂取し、加湿して蒸気や霧を吸入することは、分泌物をゆるくして外へ出しやすくします。

現在市販されている抗ウイルス薬はかぜには効きません。治験段階にあるプレコナリルという抗ウイルス薬は、かぜの期間を短縮し、症状緩和に効果があるとされ、近い将来発売されるようになるでしょう。抗生物質については、鼻水やせきで色のついた粘液が出たときでさえ、かぜには効きません。

エキナシア(ハーブとサプリメント: エキナシアを参照)、亜鉛製剤、ビタミンCがかぜに効くとよくいわれます。小規模の研究では、これらを有効とするものもありますが、厳密に管理された大規模臨床試験での有効性は確認されていません。

かぜの症状を緩和する薬がいくつか市販されています(市販薬: かぜ薬(感冒薬)を参照)。しかし、それらの薬はかぜを治すわけではなく、かぜ自体は1週間ほどでいずれにせよ治ってしまうので、こうした薬は症状によって飲んでも飲まなくてもよいとされるものです。症状別にそれぞれ異なるタイプの薬剤があります。血管収縮薬には鼻づまりを緩和する作用があり、抗ヒスタミン薬には鼻水を止める作用があります。せき止めシロップには、たんをゆるくしてせきが出やすくなるようにするものと、せき自体を抑えるものがあります。ほとんどが数種の薬剤を組み合わせた混合薬として市販されていますが、個別に入手することもできます。抗ヒスタミン薬は眠気を起こすことがあり、高齢者には特に問題となります。

アスピリンはライ症候群にかかる危険性が高くなることから、小児には勧められません。せき止め薬についても、せきを無理に抑えてしまうと気道にたまった分泌物や異物を除去できなくなるので、安易な使用は避けるべきです。ただし、睡眠を妨げるような激しいせきや、せきによる強い不快症状がある場合は、せき止め薬を使用してもよいでしょう。

薬の種類

薬剤名

副作用

鎮痛薬/解熱薬(痛みを和らげ、熱を下げる)

  アセトアミノフェン ほとんどなし
  アスピリン インフルエンザの小児に使う場合はライ症候群の可能性、胃痛
  イブプロフェン、ナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 胃痛

抗ヒスタミン薬(鼻の通りを良くし、くしゃみを抑える)

 
  • ブロムフェニラミン
  • クロルフェニラミン
  • クレマスチン
  • ジフェンヒドラミン
いずれも次の副作用を引き起こす可能性あり。眠気、口渇感、視力障害、排尿障害、便秘、高齢者では立ちくらみや錯乱

せき止め薬(せきを抑える)

  ベンゾナテート 錯乱、悪心
  コデイン 便秘、眠気、排尿障害、胃の不調
  デキストロメトルファン ほとんどないが、高用量で錯乱や神経過敏、興奮

血管収縮薬(点鼻用スプレー)(鼻づまりを改善する)

 
  • ナファゾリン
  • オキシメタゾリン
  • フェニレフリン
  • キシロメタゾリン
うっ血のリバウンド(薬の効果が消えると使用前より症状が悪化)

血管収縮薬(内服薬)(鼻水を抑える)

  プソイドエフェドリン 動悸、血圧上昇、神経過敏、不眠

去たん薬(たんの切れを良くする)

  グアイフェネシン ほとんどないが、高用量で頭痛や胃の不調

その他

  亜鉛製剤(錠剤または点鼻用ジェル) 金属味
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