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淋菌感染症(淋疾、淋病)は淋菌という細菌による性感染症で、尿道、子宮頸部、直腸、のどなどの内膜や、眼の結膜を侵します。
米国では、淋菌感染症の発生率は1975年以来75%減少しましたが、それでも1999年には36万例の報告がありました。普通、淋菌感染症は感染部位だけに症状が現れますが、血流に入ると体中、特に皮膚や関節に広がるおそれがあります。女性では、生殖管を通って骨盤内の膜に感染し、下腹部痛や不妊の原因になることもあります。
症状
男性では、最初の症状は感染の2〜7日後に現れます。尿道の軽い違和感から始まり、数時間後には排尿時に軽度から強度の痛みが起こり、陰茎から膿(うみ)が出て、頻尿になり、感染が尿道の上部に広がるにつれて症状も激しくなります。陰茎の開口部が赤く腫れることがあります。
感染した女性では、数週間から数カ月も症状がないことが多く、その女性の相手の男性が淋菌感染症と診断され、性的接触があったということで検査を受けて初めて発見されるケースもあります。症状は起こるとしても軽く、感染の7〜21日後に現れます。まれに、頻尿、排尿時の痛み、腟分泌物、発熱などの重い症状がみられることもあります。子宮頸管、子宮、卵管、卵巣、尿道、直腸が感染すると、特に性交時に圧痛や骨盤の奥に鋭い痛みが起こります。腟から出ているようにみえる膿は、子宮頸部、尿道、腟口付近の分泌腺から出ているものです。
感染したパートナーと肛門性交を行うと、直腸に淋菌感染症が起こることがあります。肛門付近に不快感が生じ、直腸から分泌物が出ます。肛門周囲は赤くなり皮がむけて、便は粘液や膿で覆われます。観察用の管(肛門鏡)で直腸を調べると、直腸壁に粘液や膿が付着しているのが観察できます。
感染したパートナーと口腔性交を行うと、のどに淋菌感染症が起こることがあります(淋菌性咽頭炎)。通常は症状はありませんが、のどの痛みや、ものを飲みこむときに不快感が生じることがあります。
感染した体液が眼に入ると、淋菌性結膜炎が起こることがあり(結膜と強膜の病気: 感染性結膜炎を参照)、まぶたが腫れ、眼から膿が出ます。淋菌感染症にかかっている妊婦の場合は、出産時に赤ちゃんの眼が感染することがあります。成人の場合は、たいてい片眼だけが侵されますが、新生児は両眼が侵されることが多く、早く治療しないと失明するおそれがあります。
乳児や幼い少女に淋菌感染症がある場合は、大人や10代の若者から性的虐待を受けていることが考えられます。症状としては、外陰部の過敏、発赤、腫れがみられ、腟から膿が出ます。少女では腟周辺がただれ、排尿時に痛みが生じます。直腸が炎症を起こしていることもあります。下着が分泌物で汚れたりします。
淋菌感染症が血流に乗って関節に広がると、腫れ、圧痛、動かすときの強烈な痛みや動作制限が起こります。また血液の感染症は、発熱、全身のけん怠感、節々に伝わる痛みなどを起こし、皮膚に赤い膿のたまった斑点が現れます(関節炎‐皮膚炎症候群)。
心臓の内部が感染することもあります(心内膜炎)。肝臓を覆っている膜が感染すると(肝周囲炎)、右上腹部に胆嚢(たんのう)の病気と似た痛みが起きます。これらの感染症は治療可能で命にかかわることはまれですが、関節炎や心内膜炎の場合、回復には時間がかかります。
診断
医師は、顕微鏡で細菌(淋菌)を確認することによって、ほとんどすぐに診断をつけることができます。男性の感染者の場合は、陰茎からの分泌物サンプルを調べれば90%以上で診断がつきます。分泌物のサンプルは、通常、尿道に小さな綿棒を数センチメートル中まで入れて採取します。これに比べて、子宮頸管の分泌物サンプルについての顕微鏡検査は精度が落ち、感染している女性のうち淋菌を確認できるのは60%程度に過ぎません。分泌物サンプルは、培養のために検査室へ送られることもあります。培養による検査は、男女ともに信頼性が非常に高くなりますが、顕微鏡検査に比べて結果が出るまでに時間がかかります。のどや直腸の感染症が疑われる場合も、これらの部位のサンプルを採取し、培養検査に出します。
淋菌感染症とクラミジア感染症を起こす細菌のDNAを検出する高感度の検査法が最近開発され、1つの検体で両方の感染症の検査が行えるようになりました。男女とも尿のサンプルを使って検査できるので、症状がない場合や、尿道、直腸、子宮頸部から検体を採取するのは嫌だという人のスクリーニング検査に便利です。
患者が複数のSTDに感染していることも考えられるので、血液サンプルも採取して、梅毒やHIV感染症の有無も調べます。
治療
淋菌感染症にかかっている人は同時にクラミジアにも感染していることが多いので、通常、クラミジアと淋菌の両方に有効な抗生物質を使用します。セフトリアキソンの筋肉注射を単回行うか、セフィキシム、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、またはオフロキサシンを単回経口で服用すれば淋菌感染症を治癒できるとされますが、クラミジア治療のためには、さらにドキシサイクリンやレボフロキサシンなど他の経口抗生物質を1週間服用します。そのほか、アジスロマイシンの単回大量投与で両方の感染症を治すことも可能です。淋菌感染症が血流に広がった場合は、通常は入院の上、注射用の抗生物質で治療します。
症状が再発する、あるいは治療終了時点でも症状が残っている場合は、検体を再度採取して培養し、治癒したかどうか確認します。男性では尿道炎の症状が再発することがあります(淋疾後尿道炎)が、ほとんどの場合、セフトリアキソンによる治療に反応しないクラミジアや他の病原体が原因となっています。
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