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血管・リンパ管の増殖と奇形

血管やリンパ管が、増殖あるいは奇形によって皮膚の内部や皮下に異常に密集し、皮膚が赤や紫に変色することがあります。

血管やリンパ管の増殖と奇形は、生まれつきか生後すぐに現れることが多く、母斑と同様にみなされるものもあります。具体的には血管腫、ポートワイン母斑、リンパ管腫、化膿性肉芽腫、くも状血管腫などがあります。これらは通常外観から識別できるので、生検はほとんど行いません。新生児の約3分の1に血管やリンパ管の増殖か奇形がみられますが、多くは自然に消失します。

血管腫

血管腫は血管が異常増殖したもので、皮膚の中や体のその他の場所に生じ、赤色や紫色のかたまりに見えます。

血管腫は、生後すぐにできて6〜18カ月の間に急速に大きくなり、その後は徐々に縮んでいきます。血管腫の4分の3は7歳になるまでに消えますが、しばしば皮膚にはわずかな変色が残ります。

表在性血管腫(イチゴ状血管腫、サクランボ色血管腫)は、最も多くみられる血管の増殖性変化で、皮膚の表面か皮膚表面付近にできます。これは盛り上がって赤い、不規則な形をした増殖物や母斑で、大きさは小さいこぶ程度から、直径が約8〜10センチメートル程度のゆがんだ形の腫れもののようなものまであります。胴体にできることが多く、数は数個から数十個までさまざまです。この血管腫は無害です。もし気になる場合は電気針やレーザーで切除できます。

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イチゴ状血管腫

イチゴ状血管腫
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血管腫

血管腫

深部血管腫(海綿状血管腫)は、皮膚の内部やさらに深いところにできます。これができると皮膚は隆起し、紫色に変色します。できた部分がかなり深い場合は筋肉のような色にもなります。この血管腫の多くは直径約6ミリメートルから5センチメートル程度の大きさになりますが、これより大きくなる場合もあります。半数以上は頭と首にできます。肝臓などの内臓にできることもあります(肝臓の腫瘍: 肝血管腫を参照)。

表在性血管腫、深部血管腫ともに痛みはありませんが、ときに潰瘍化して出血し、なかなか止血できないことがあります。血管腫が眼の周囲にできると大きくなって視界をふさぐことがあり、治療をしないと永続的な視力喪失につながります。血管腫は鼻やのどをふさぐこともあり、その場合は呼吸が妨げられます。

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海綿状血管腫

海綿状血管腫

血管腫は自然に消える例が多いので、医師が最初に診察したときに、急成長したり、視力や呼吸を妨げたり、潰瘍化していたり、美容的に問題がある場合以外は、治療しません。顔面にできた血管腫が5〜6歳までに消えなかった場合は治療します。

治療が必要な場合は、小さな表在性血管腫にはステロイド薬を注射します。これで効き目がない場合は手術で切除します。血管腫が急成長している、あるいは大きく、潰瘍化しているなどの場合はステロイド薬を内服します。年長の小児で、血管腫が縮んできている場合は、レーザー治療や手術で皮膚の外見を改善できることがあります。

レーザーによる皮膚治療

レーザーとは、ある特定の色(波長)の光だけを細いビームに絞った、強力な光線をつくり出す機器です。レーザー光のエネルギーは数千ワットに及び、きわめて強力です。このエネルギーは光という形態をとっているので、吸収されるまでの間は体内の組織を傷つけません。組織がレーザー光を吸収するかどうかは、組織の色とレーザー光の色によって決まります。たとえば血管は赤いので黄色や青色の光を吸収し、緑色の光を最も良く吸収します。したがって、血管が対象となる血管腫の治療などでは、これらの色(波長)の光が選択されます。使う光の色は、治療対象となる組織によって変わります。レーザー光は懐中電灯のように連続照射したり、ごく短時間ずつパルス照射したりします。パルス照射では照射時間の長さによって、レーザー光を到達させる深さと効果の強さを調節できます。

レーザー治療は光線力学療法という、ある特定の光を吸収する化学物質を患者の皮膚表面の腫瘍に塗ったり静脈注射する手法と併用されることがあります。この化学物質がレーザー光のエネルギーを受けると、分解して腫瘍の破壊を助ける物質が生じるしくみです。

血管腫などの増殖物(腫瘍)やポートワイン母斑などの先天異常にもレーザー治療が行われます。レーザー治療はむだ毛の脱毛、入れ墨、皮膚の変色部、にきびや日焼けのあと、癌性腫瘍などを取り除くためにも使われます。

ポートワイン母斑

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ポートワイン母斑

ポートワイン母斑

ポートワイン母斑(毛細血管奇形、火炎状母斑)は、平らでピンク色、赤色、紫色などの変色が生まれつき皮膚にみられるもので、原因は血管の奇形です。

ポートワイン母斑は無害な、皮膚の恒久的な変色です。とはいえ、美容的な外見は患者にとって気になるものであり、心理的にかなり重荷になることもあります。この母斑は平坦で表面はなめらか、色はピンク、赤、紫などです。大きさは、小さなものから体のかなりの部分を覆うほど大きなものまであります。この母斑が新生児の首筋にあった場合、「コウノトリが(赤ん坊を運ぶ際に)くわえたあと」などといわれます。非常にまれですが、この母斑は、まれな遺伝病であるスタージ‐ウェーバー症候群と一緒に現れることがあります。この病気は知能発達の遅れ、成長の異常などにつながります

ポートワイン母斑が小さい場合は、化粧品のファンデーションやコンシーラーなどで隠せます。母斑が気になる場合、レーザー治療で見た目を改善することができます(レーザーによる皮膚治療を参照)。

リンパ管腫

リンパ管腫(リンパ管奇形)とは、血液に似た透明なリンパ液を体中に運ぶためのリンパ管が、肥大して集積したことで生じる、皮膚のこぶ状隆起です。

リンパ管腫はまれな病気で、通常は生まれてから2歳までの間に現れます。小さいものもあれば、大きくなるものもあり、変形して増殖することもあります。リンパ管腫にはかゆみや痛みはなく、癌化もしません。色は黄褐色のものが多いですが、一部には赤みを帯びたものもあります。この部分にけがをしたり何かが刺さったりすると、透明な液体が出てきます。治療は特に必要ありませんが、手術で切除することは可能です。しかし、リンパ管腫はかなり深い位置にできるので、手術をするとその周辺の皮膚や皮下組織を大量に切除しなくてはなりません。

毛細血管拡張性肉芽腫(化膿性肉芽腫)

毛細血管拡張性肉芽腫は、最も微細な血管である毛細血管が異常増殖し、その周囲の組織が腫れることで起こります。その部分はわずかに盛り上がり、鮮やかな赤、茶色、青黒い色などに変色します。

この症状は、通常は皮膚にけがをした後に急速に現れます。理由は不明ですが、妊娠中にこの肉芽腫の大きいものが現れることがあり、歯肉にできることもあります(妊娠腫)。毛細血管拡張性肉芽腫の大きさは約6ミリメートルから1センチメートルで、その部分は皮膚表面から少し盛り上がります。この肉芽腫は痛みませんが、押したりひっかいたりするとすぐ出血します。この肉芽腫のほぼ全体が毛細血管でできているためです。

毛細血管拡張性肉芽腫は自然に消えることもありますが、消えない場合は病院でレーザー治療を実施したり、電気針を使って外科的に切除します(電気凝固法)。これが悪性黒色腫や皮膚癌ではないことを確認するため、組織のサンプルを採取して生検を行う場合もあります。この肉芽腫は、治療後に再発することがあります。

くも状血管腫

くも状血管腫は、拡張した血管を中心に、その周囲を拡張した毛細血管が囲んでおり、鮮やかな赤色の小さい点となって皮膚上に現れるもので、クモの脚のように見えるためこの名があります。

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くも状血管腫

くも状血管腫

多くの人にはこのくも状血管腫があります。これは「毛細血管が破れた」というようにいわれています。皮膚の色が白い人では顔面にくも状血管腫があることが多く、これは日光にあたったことが原因だと考えられています。この血管腫ができる原因はほとんどの場合不明です。肝硬変患者、妊婦、経口避妊薬を使用している女性にはたくさんできやすい傾向があります。くも状血管腫は生まれつきあるものではありません。

くも状血管腫の外観は、目につきにくいほど小さい、直径が約6ミリメートルに達しないほどの赤い点です。この血管腫は無害で、普通は何の症状も引き起こしません。単に見た目に気になるだけです。妊娠中、あるいは経口避妊薬使用中にできたくも状血管腫は、出産後あるいは避妊薬使用中止後6〜9カ月で自然に消えます。美容上の理由で治療を希望する場合は、レーザー治療か電気凝固法で中心の血管を破壊します。

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