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糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で網膜に損傷が生じる病気です。

糖尿病が原因で起こる網膜症には、非増殖型網膜症と増殖型網膜症の2つのタイプがあります。糖尿病網膜症は米国などの先進国で失明原因の上位にある病気です。インスリン治療を受けているかどうかにかかわらず、ほとんどすべての糖尿病患者で網膜に何らかの異常が現れます。糖尿病と高血圧はいずれも網膜に損傷を与える傾向があるため、両方を併発している人では糖尿病網膜症のリスクがさらに高くなります。

血液中のグルコース濃度(血糖値)が高いと、網膜も含めて全身の毛細血管の血管壁がもろくなり、傷つきやすくなります。網膜の血管が傷つくと網膜内に血液と血漿(けっしょう)がにじみ出ます。

糖尿病網膜症と視力障害の程度は、糖尿病を発症してからの期間や、血糖値のコントロールがどの程度きちんとできているかに左右されます。網膜症は一般に、糖尿病を発症して少なくとも10年以上たってから発症します。

症状と診断

非増殖型網膜症では、網膜の毛細血管に漏れが生じます。漏れの周囲の部分が腫れ、視野のその部分に障害が出ます。黄斑周辺でこれが起こると中心視野がぼやけます。最初の段階では視力にほとんど影響が出ないこともありますが、徐々に視力の障害が進んでいきます。青色と黄色が色あせて見える青黄異常という色覚異常が生じて色の識別がつきにくくなることもあります。視野欠損が生じることもありますが、本人も気づかず、検査をして初めてわかることも少なくありません。血管から血液がにじみ出たことが原因で黄斑部が腫れると(黄斑浮腫)、重大な視力障害につながります。

増殖型網膜症では、網膜の損傷が刺激となって新しい血管が形成されます。この新しい血管は異常に成長し、出血を起こしたり瘢痕を形成します。瘢痕は、大きくなると網膜剥離を引き起こすことがあります。増殖型網膜症は、硝子体(眼球後部のゼリー状の液体で満たされた部位)への大量の出血や網膜剥離を引き起こすため、非増殖型よりも視力に大きな影響を及ぼす傾向があり、完全な失明やそれに近い状態に至ることもあります。

これらの網膜症を診断するには、検眼鏡やスリットランプを用いて眼を観察します。蛍光眼底造影法(眼の病気の症状と診断: 蛍光眼底造影を参照)を行うと、血管の漏れが起こっている場所を特定できます。

予防と治療

糖尿病網膜症の予防には、糖尿病をきちんと管理し、血圧を正常範囲に保つことが最も有効です。糖尿病患者は、網膜症になっても早期に発見して治療を始められるように、毎年眼の検査を受けるべきです。

治療法としては、レーザー光線を網膜に照射して網膜内での新生血管の形成を遅らせ、血液がにじみ出ることを防ぐレーザー光凝固術という方法があります。この治療は必要に応じて繰り返し行います。傷ついた網膜血管からの大量の出血が続いている場合は硝子体切除術という治療が必要になることもあります。これは、硝子体液で満たされている空間から血液を取り除く手術です。この手術により、硝子体出血では多くのケースで視力の回復がみられ、網膜剥離でも視力が回復することがあります。レーザー光凝固術では視力はほとんど回復しませんが、それ以上の悪化を防ぐことができます。

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