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視神経症

視神経症とは、視神経への血液供給の停滞、栄養不良、毒素などが原因で起こる視神経の損傷です。

視神経への血液供給が妨げられると視神経細胞が死んだり機能しなくなります。この状態を虚血性視神経症といいます。この視神経症には非動脈炎性と動脈炎性の2つのタイプがあります。

非動脈炎性虚血性視神経症は50歳以上の人に起こることが多い病気です。この病気にかかりやすくなる要因としては高血圧、糖尿病、アテローム動脈硬化があります。まれにひどい片頭痛をもつ若い人にもみられます。動脈炎性虚血性視神経症は70歳以上の人に起こることが多い病気です。これは、動脈が炎症を起こし、視神経への血液供給が妨げられて視神経症が起こるもので、特に多いのは側頭動脈の炎症(巨細胞性動脈炎)(結合組織の血管炎症性疾患: 側頭動脈炎を参照)です。

鉛やメタノール、エチレングリコール(不凍液)、タバコ、ヒ素など、視神経に有害な物質による障害もあります。この種の視力障害は中毒性弱視と呼ばれることもあります。また、栄養不良、特にビタミンB12不足が原因で視神経症が起こることもあり、これは栄養性弱視とも呼ばれます。視神経症はアルコール依存症の人が特にかかりやすい病気ですが、原因はアルコールではなく栄養不良のこともありす。まれに、クロラムフェニコール、イソニアジド、エタンブトール、ジゴキシンなどの薬剤が原因で発症することもあります。

視力障害は、数分から数時間で急速に進むこともあれば、2〜7日かけて徐々に進行することもあります。視力障害が片眼に生じるか両眼に生じるかは原因によって異なります。視力への影響はさまざまで、ほぼ正常のこともあれば完全に失明する場合もあります。毒物や栄養不足が原因の視神経症は、普通は両眼に発症します。視野の中心部に小さい視野欠損が生じて次第に大きくなり、ときには視力が完全に失われることがあります。側頭動脈炎が原因の場合は患者が高齢者であることが多く、視力障害の程度がより重くなる傾向があります。

非動脈炎性虚血性視神経症では、約40%のケースが特に治療をしなくても時間の経過とともに回復します。この場合は視神経症が一度発症した眼に再発することはほとんどありません。5年以内にもう片方の眼に視神経症を発症する割合は10〜34%といわれています。

この病気は、検眼鏡で眼の後部を観察することで診断されます。原因を特定するため、毒物にさらされた可能性がないか、視神経症のリスク要因となるその他の病気にかかっていないかどうかについて、慎重に問診を行います。側頭動脈炎が疑われる場合は、診断を確定するために、血液検査と側頭動脈の生検(組織のサンプルを採取して顕微鏡で観察する検査)を行うことがあります。

非動脈炎性虚血性視神経症の治療では、高血圧、糖尿病、コレステロール値など、視神経への血液供給に影響を与える要因をコントロールしていきます。側頭動脈炎が原因の動脈炎性虚血性視神経症の場合は、正常な反対側の眼に視力障害が起こるのを防ぐため、ステロイド薬の大量投与を行います。治療を行わなかった場合は、数日から数週間の間に患者の25〜50%で反対側の眼に視力障害が生じます。これを防ぐ上でアスピリンが有効かどうかについて研究が行われていますが、今のところ有効性を実証するような結果は報告されていません。

化学薬品や薬剤が原因で発症した視神経症の場合は、タバコやアルコール、他の有害な化学薬品や薬剤を避ける必要があります。アルコール摂取が要因だと考えられる場合は、バランスの取れた食事をとるとともに、ビタミン類のサプリメントを摂取します。鉛が原因である場合は、鉛を体外に排出するため、サクシマーやジメルカプロールなどのキレート薬(金属に結合して体外への排出を促す薬)を使用します。

栄養不良が原因の視神経症の場合は、サプリメントにより不足した栄養を補います。ただし、ビタミンB12不足が原因の場合はサプリメントの摂取だけでは不十分で、ビタミンB12を注射で補います。視神経が萎縮していない限り、ある程度の視力回復が期待できます。

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