男性の生殖器系の構造

執筆者:Irvin H. Hirsch, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2021年 3月
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やさしくわかる病気事典

    男性の生殖器系には、陰茎(ペニス)、陰嚢、精巣、精巣上体、精管、前立腺、精嚢が含まれます。

    • 陰茎と尿道は泌尿器系と生殖器系の両方に含まれます。

    • 陰嚢、精巣、精巣上体、精管、精嚢、前立腺は生殖器系の残りの部分を構成しています。

    陰茎(ペニス)は、下腹部の構造と恥骨につながった陰茎根、体外から見える陰茎体、亀頭(円錐形をした陰茎の先端部分)で構成されています。亀頭の先端には、精液と尿の放出口となる外尿道口があります。亀頭の基底部は亀頭冠と呼ばれます。割礼を受けていない男性では、包皮が亀頭冠から亀頭を覆うように伸びています。

    陰茎には、血液で満たされた洞のある円筒形の勃起組織が3つあります。そのうち大きい方の2つは陰茎海綿体と呼ばれ、それぞれ左右に並んで位置しています。もう1つの洞は尿道海綿体で、尿道の大部分を取り囲んでいます。これらの海綿体洞が血液で満たされると、陰茎は大きく硬くなります(勃起)。

    陰嚢は精巣を包んで保護する厚い皮膚でできた袋です。正常な精子をつくるためには精巣の温度を体温よりやや低く保つ必要があるため、陰嚢には精巣の温度を調節する役割もあります。陰嚢壁の精巣挙筋は、ゆるんで精巣を体から離して冷やしたり、収縮して精巣を体に引き付けて温めたり保護したりします。

    精巣は卵形の器官で、平均的な長さは約4~7センチメートル、容積は20~25ミリリットルです。通常、左の精巣は右よりもわずかに低い位置にあります。精巣には2つの主要な機能があります。

    • 男性の遺伝子を運ぶ精子をつくる機能

    • 主要な男性ホルモンであるテストステロンをつくる機能

    精巣上体は、まっすぐ伸ばすと6メートル近くの長さになる1本の微細な管がコイル状になったものです。精巣上体は精巣でつくられた精子を集め、精子が成熟して女性の生殖器系に入り込んで卵子に受精する能力を得るための環境を与えます。精巣上体は左右の精巣の近くに1つずつあります。

    男性生殖器だんせいせいしょくき

    精管は精巣上体から精子を送る丈夫な管(1本のスパゲッティの大きさ)で、左右の精巣上体から伸びて前立腺の背部につながり、2つある精嚢の1つに合流します。また陰嚢内では、筋線維、血管、神経などの他の組織もそれぞれの精管と並行してからみ合い、精索を形成します。

    男性の尿道には2つの機能があります。1つは膀胱から尿を排出する尿路の一部としての機能で、もう1つは精液を射出する生殖器系の一部としての機能です。

    前立腺は膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲んでいます。若い男性ではクルミほどの大きさで、加齢とともに大きくなります。前立腺が大きくなりすぎると尿道の尿の流れを阻害することがあり、不快な泌尿器症状を引き起こします。

    精嚢は前立腺の上方にあり、精管と合流して、前立腺を通り抜ける射精管を形成します。前立腺と精嚢は精子の栄養となる液をつくります。精液の大部分を占めるのはこの液で、射精時に精子がこの中に放出されます。精液のうち非常に少量を占めるその他の体液は、精管と尿道にあるカウパー腺から来ています。

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