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はじめに

男性の性機能障害は、性交時に現れる各種の障害です。性的欲求(リビドー)の低下、勃起(ぼっき)する能力やその状態を持続する能力の低下(勃起機能不全またはインポテンス)、射精に影響を及ぼす疾患、オルガスムを得る能力の低下など、その内容はさまざまです。

性機能障害には肉体的、精神的原因があり、障害の多くは両者が組み合わさって起こります。肉体的障害が精神的な障害(不安、恐れ、ストレスなど)を引き起こし、肉体的障害をさらに悪化させます。男性は、性行為を巧みに行わなければならないというプレッシャーをパートナーから感じ、うまくいかないと悩みます(性的能力不安)。性的能力不安が問題になって、ますます性的関係を楽しめなくなります。

勃起機能不全は男性の性機能障害の中で最も多くみられます。性的欲求の低下が障害をもたらすこともあります。射精に関係する障害には、射精をコントロールできず、腟(ちつ)への挿入前、あるいは挿入後すぐに射精する(早漏[そうろう])、膀胱(ぼうこう)の中に精液が逆流する(逆行性射精)、射精管がふさがる(射精管閉塞)があります。

性機能障害の精神的原因

  • パートナーに対する怒り
  • 不安
  • うつ
  • パートナーとの不和、けん怠期
  • 妊娠、他者への依存、自制心の喪失に対する恐れ
  • 性行為またはパートナーからの孤立感
  • 罪悪感
  • 性行動に対する抑圧、無知
  • 性的能力不安(性交テクニックの不安)
  • 過去の性体験によるトラウマ(レイプ、近親相姦、性的虐待、過去の性的不能など)

正常な性機能

正常な性機能は、心(思考、記憶、感情)と体の両方が関与する複雑な反応です。神経系、循環系、内分泌系(ホルモン系)のすべてが心と相互作用することで、性的反応が起こります。神経系全体の繊細でバランスの取れた相互作用が、男性の性的反応をコントロールします。

性行為と心臓病

性行為は、中程度から激しい強度の運動に比べれば体への負担は少ないので、心臓病の男性でも、たいていは安全に性行為を行うことができます。性行為中は安静時より心筋梗塞のリスクが高くなりますが、そのリスクもかなり低いものです。

ただし、性的に活発な男性で心臓や心血管系の病気がある人(狭心症、高血圧、心不全、不整脈、大動脈弁狭窄症など)は、適切な予防策が必要です。病気の程度が軽い人で症状がほとんどなく、血圧も正常なら、性行為は安全です。病気が中程度または心筋梗塞を起こしうる他の要因がある場合は、どの程度なら安全かを調べる必要があります。病気が重い人、あるいは左心室から全身へ送られる血流が阻害される肥大型心筋症(閉塞性心筋症)の人は、治療により症状が軽くなるまでは性行為を控える必要があります。シルデナフィル(商品名:バイアグラなど)の使用は危険です。ニトログリセリンを服用している人は、シルデナフィルを使用してはいけません。心筋梗塞が起きたら、その後の2〜6週間は性行為を控える必要があります。

性行為の安全性テストとしてよく行われるのが、トレッドミルで運動中の心臓の状態をモニタリングし、血流量の低下を調べる方法です。運動中の血流量が十分ならば、性行為中に心筋梗塞を起こす可能性はきわめて低いと考えられます。

性欲は、性行為を行いたいという願望で、思考、言葉、視覚、嗅覚(きゅうかく)、触覚などがきっかけとなって生じます。欲求が起こると、性的反応サイクルの第1段階として興奮します。興奮とは性的に喚起された状態です。興奮すると陰茎(ペニス)への血流量が増えて勃起します。また、全身の筋肉が緊張します。持続段階になると、興奮と筋肉の緊張が持続するか、あるいはさらに強まります。オルガスムは性的興奮が頂点に達した状態です。オルガスムに達すると、全身の筋肉の緊張がさらに強くなります。骨盤の筋肉が収縮し、その後、全身の筋肉の緊張が解けます。この間に精液が射出されますが、射精は常に起こるわけではありません。射精とオルガスムはほぼ同時に起こりますが、この2つは別々の現象です。オルガスムに達しないで射精することもあります。逆に、オルガスムに達しても射精しないこともあります。これは思春期前の男性や、抗うつ薬などの薬を服用中の男性によくみられます。ほとんどの男性はオルガスムに達すると強い快感を覚えます。射精すると、興奮のない状態に戻ります。いったんオルガスムに達した後は、しばらく勃起できません(不応期)。この時間は若い男性では20分ほどですが、年齢が上になればなるほど長くなります。次に勃起するまでの間隔は、年をとるとともに長くなるのが普通です。

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