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月経前症候群

月経前症候群(PMS)は、月経の前に起こる一群の身体的、精神的症状です。

月経前症候群は、気分の悪さ、刺激に対する過敏性、腹部の張り、乳房の圧痛など、あまりに多くの症状と関連づけられているため、明確な定義や診断が困難になっています。月経前症候群は女性の20〜50%にみられます。妊娠可能年齢にある人の約5%にみられる特に重いタイプの月経前症候群を、月経前不快気分障害といいます。

月経前症候群が起こる原因は、1つには月経周期中にエストロゲンとプロゲステロンの濃度が急激に変動するためと考えられています。また、一部の女性ではプロゲステロンの分解過程が通常と異なり、このために月経前症候群が起きている可能性があります。プロゲステロンが分解されると通常は、気分に対して正反対の作用をする2つの成分が生じます。月経前症候群のある女性は、不安を軽減する成分が少なく、不安を増強する成分が多く生じる傾向があるのではないかと考えられています。

症状と診断

症状の種類や強さは人によって異なり、また同じ人でもそのときどきで異なります。さまざまな身体的、精神的症状が現れることで、一時的に生活に影響が出ることがあります。

症状は月経の数時間から約14日前に始まり、月経が始まると消失します。閉経に近い人では月経中や月経後も症状が続くことがあります。月経前症候群は月経困難症を伴うことが多く、特に10代の女子に多くみられます。

月経前症候群の症状が出ているときには、他の病気の症状も悪化することがあります。たとえば、けいれん性疾患のある人では、発作の回数が普段より多くなることがあります。全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどの結合組織疾患がある人では症状が急激に悪化することがあります。呼吸器障害(鼻や気道のアレルギー、うっ血など)や、眼の病気(結膜炎など)が悪化する人もいます。

月経前不快気分障害では、仕事や社会生活、人間関係に影響が出るほど重い症状がみられます。

診断は症状に基づいて行います。診断を確定するために、毎日の症状を記録するよう指示されます。記録をすることで、患者は自分自身の体調や気分の変化を認識するようになり、医師が最善の治療方法を判断する助けにもなります。月経前不快気分障害の診断には、少なくとも月経周期2回分の症状を記録する必要があります。月経前症候群や月経前不快気分障害の症状は月経が始まるとすぐに消えることから、うつなどの気分障害と区別できます。

月経前症候群(PMS)の症状

  • 身体的な症状
    • 動悸
    • 腰痛
    • 腹部の張り
    • 乳房の張りと痛み
    • 食欲の変化、特定の食品が食べたくなる
    • 便秘
    • 下腹部のけいれん痛、圧迫感、重い感じ
    • めまい
    • あざができやすい
    • 失神
    • 疲労感
    • 頭痛
    • ほてり、のぼせ(ホットフラッシュ)
    • 不眠(寝つきが悪い、寝ていてもすぐに目が覚めるなど)
    • 関節痛、筋肉痛
    • 無気力
    • 吐き気、嘔吐
    • 手足のしびれ、ピリピリする痛み
    • にきび、じんま疹などの皮膚症状
    • 手足のむくみ
    • 体重増加
  • 精神的な症状
    • 興奮
    • 混乱、錯乱
    • 涙もろくなる
    • うつ
    • 集中力の低下
    • すぐ感情的になる
    • もの忘れ、記憶力の低下
    • 刺激に過敏になる
    • 気分にむらがある
    • 神経質になる
    • 短気
    • 引きこもり

治療

月経前症候群の治療は、症状の緩和が中心になります。塩分の摂取量を減らすことによって、体内に貯留される水分量が減り、むくみが軽減されます。体内の水分量を減らすため、利尿薬(腎臓による塩分と水分の排出を助ける薬)が処方されることもあります。軽度から中等度の月経前症候群では多くの場合、運動やストレス解消法(瞑想、リラックス運動など)が神経過敏や興奮の緩和に役立ちます。カフェインの入った飲みものや食べもの(コーヒー、チョコレートなど)の摂取量を減らすことも、ときに効果があります。カルシウムのサプリメント(栄養補助食品)を1日に1000ミリグラム服用すると月経前症候群の身体的、感情的症状が軽減されます。そのほか、マグネシウムやビタミンB群、特にビタミンB6(ピリドキシン)などのサプリメントを毎日服用すると月経前症候群の症状が軽くなるという説もありますが、このようなサプリメントの効果はまだ確かめられていません。ビタミンB6の大量使用は有害なことがあります。1日200ミリグラムというわずかな量でも神経障害を起こしたという報告があります。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(痛み: 非ステロイド性抗炎症薬を参照)で頭痛、腹部のけいれんによる痛み、関節痛を軽減できることがあります。混合型経口避妊薬(エストロゲンとプロゲスチンの入った避妊薬)は痛みや乳房の圧痛、食欲の変化を軽減しますが、まれにこの種の避妊薬で症状が悪化する人もいます。プロゲスチンのみを含む経口避妊薬(ミニピル)は月経前症候群には効果がありません。

症状が重い場合は、抗うつ薬のフルオキセチン、パロキセチン、セルトラリンで改善されることがあります(うつ病の主な治療薬を参照)。これらの薬は特に、刺激への過敏性、うつ、その他の精神的、身体的症状の一部に効果があります。抗不安薬のブスピロンやアルプラゾラムには過敏や神経質さを和らげ、ストレスを軽減する作用があります。ただし、アルプラゾラムは薬物依存を生じることがあります。治療中も症状の記録を続けるよう医師に指示されることがありますが、こうした記録は治療効果の判断に役立ちます。

月経前不快気分障害には、抗うつ薬が有効な場合があります。ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)作動薬(リュープロレリン、ゴセレリンなど)(子宮内膜症の治療によく使われる主な薬を参照)を注射し、低用量のエストロゲンを内服薬または皮膚に貼るパッチ剤で併用することによって、症状をコントロールできることもあります。GnRH作動薬は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量を減少させます。

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