メルクマニュアル家庭版
米国メルク社とメルクマニュアル
メルクマニュアル家庭版
を検索
索引
記号
セクション

知っておきたい基礎知識

薬についての基礎知識

心臓と血管の病気

肺と気道の病気

骨、関節、筋肉の病気

脳、脊髄、神経の病気

心の健康問題

口と歯の病気

消化器の病気

肝臓と胆嚢の病気

腎臓と尿路の病気

栄養と代謝の障害

ホルモンの病気

血液の病気

免疫の病気

感染症

皮膚の病気

耳、鼻、のどの病気

眼の病気

男性の健康上の問題

女性の健康上の問題

小児の健康上の問題

事故と外傷

その他の話題

付録

解剖図

マルチメディア

単位の換算表

一般的な医学的検査

医薬品の一般名と主な商品名

情報源と支援団体

メルクマニュアル家庭版について

セクション

トピック

はじめに

癌(がん)は、女性の生殖器のさまざまな部位―外陰部、腟(ちつ)、子宮頸部(しきゅうけいぶ)、子宮体部、卵管、卵巣などにも発生します。これらの癌は婦人科癌とも呼ばれます。

婦人科癌は近くの組織や器官に直接浸潤して広がったり、またリンパ管やリンパ節(リンパ系)、血流を通じて、離れた部位に転移することもあります。

診断

内診とパパニコロー(パップスメア)検査(子宮頸部の細胞診)や類似の検査(婦人科疾患の症状と診断: 婦人科の診察を参照)を定期的に受けることは、婦人科癌、特に子宮頸部や子宮内膜の癌の早期発見につながります。これらの検査で癌になる前の異常(前癌状態)が発見され、癌を予防できることもあります。

癌の疑いがあれば、診断のため生検を行います。癌と診断された場合は、癌の病期(ステージ)を判定するためさらに検査が行われます。病期とは、病巣の大きさや体内での広がりから癌を分類し、進行の程度を示すものです。よく行われる検査としては、超音波検査、CT検査、MRI検査、胸部X線検査、放射性物質を使った骨スキャンや肝スキャンがあります。

癌の病期診断は、最善の治療を選ぶ上で役立ちます。癌を除去する手術を行い、リンパ節を含めた周辺組織の生検を行ってから病期を判定することもよくあります。子宮癌と卵巣癌の病期は、ステージI(早期癌)からステージIV(進行癌)に分類されます。他の婦人科癌では、癌がその臓器の表面に限られている場合の病期をステージ0(初期癌)とします。癌によっては、病期の数字にアルファベットをつけてさらに細かく分類することもあります。

女性生殖器の癌の病期分類

疾患名

ステージ0

ステージI

ステージII

ステージIII

ステージIV

子宮体癌(子宮内膜癌) 子宮体部のみに限局(子宮頸部には認められない) 子宮頸管まで広がっているもの 近くの組織に広がっているが、骨盤内にとどまっているもの

A:膀胱または直腸に転移しているもの

B:離れた臓器に転移しているもの

卵巣癌 片側または両側の卵巣のみに限局 子宮や卵管、近くの組織に広がっているが、骨盤内にとどまっているもの 骨盤外のリンパ節または腹部臓器(肝臓や腸管の表面など)に転移しているもの 腹腔外や肝臓内部に転移しているもの
子宮頸癌 子宮頸部の表面のみに限局 子宮頸部のみに限局 近くの組織に広がっているが、骨盤内にとどまっているもの 骨盤内全体に広がっているもの。ときに尿管の閉塞を伴う

A:膀胱または直腸に転移しているもの

B:離れた臓器に転移しているもの

外陰癌 外陰部の表面のみに限局 外陰部および/または会陰部(肛門と腟口の間)のみに限局し、しこりの大きさが2センチメートル以下のもの 外陰部および/または会陰部のみに限局し、しこりの大きさが2センチメートルを超えるもの 外陰部および/または会陰部に加えて、近くの組織および/またはリンパ節に広がったもの 近くの組織を越えて膀胱、腸、離れたリンパ節に転移しているもの
腟癌 腟の表層のみに限局 腟のみに限局しているが、腟壁まで浸潤しているもの 近くの組織に広がっているが、骨盤内にとどまっているもの 骨盤内全体に広がっているもの。近くの臓器やリンパ節に転移しているものも含む

A:膀胱または直腸に転移しているもの

B:離れた臓器に転移しているもの

卵管癌 卵管の表層のみに限局 卵管のみに限局しているが卵管壁まで浸潤しているもの 近くの組織に広がっているが、骨盤内にとどまっているもの 骨盤内全体に広がっているもの。近くの臓器やリンパ節に転移しているものも含む 離れた臓器に転移しているもの

国際産科婦人科連合(FIGO)の病期分類より抜粋。

治療

婦人科癌の治療は、腫瘍(しゅよう)の切除が中心になります。手術後に放射線療法や化学療法を行うこともあります。放射線療法には、大きな装置を使って体外から照射を行う外部照射治療と、癌の付近に放射性物質を直接埋めこんで照射する内部照射(小線源)治療があります。外部照射は週に数回ずつ数週間行います。内部照射の場合は、放射性物質が体内にある間、数日間の入院が必要です。

化学療法は注射あるいは内服で行います。5日から6週間にわたって薬を投与し(投薬期間は薬により異なる)、その後、投与を行わない回復期間を数週間おきます。以上を1サイクルとして何回か繰り返します。化学療法を受けている間は入院が必要な場合もあります。

癌の進行が著しく、治癒はもはや望めない場合でも、原発癌や転移癌を小さくしたり、痛みなどの症状を軽減させるために、放射線療法や化学療法を行うことがあります。治癒が望めない癌がある場合は、自分自身がどのような治療やケアを望むかをまとめた事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)(法的問題と倫理的問題: 事前指示書を参照)を作成しておきます。終末期のケアは以前に比べて大きく改善され、自宅で安楽に最期を迎えるケースも増えています(死と終末期: はじめにを参照)。進行癌をもつ人の多くは不安や痛みを経験しますが、適切な薬を使うことでこれらを軽減できます。

ページの先頭へ

次へ: 子宮体癌

アニメーション
オーディオ
イラスト
写真
囲み解説
ビデオ
個人情報の取扱いご利用条件