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胞状奇胎

胞状奇胎とは、異常な受精卵が増殖したもの、あるいは胎盤由来の組織が過剰に増殖したものをいいます。

胞状奇胎のほとんどは、異常な受精卵が増殖したものです。受精卵に異常があると胎児に成長できずに胞状奇胎となることがあり、このような妊娠を奇胎妊娠といいます。流産の後や、正常な妊娠・出産後に子宮に残った細胞からも、胞状奇胎が発生することがあります。まれに胎児が正常な場合でも発生することがあります。

胞状奇胎の約80%は良性のもので、自然に消失します。約15〜20%は周辺組織に浸潤し、消えずに残ります。このような侵入奇胎のうち2〜3%は、癌となって体内に広がります。これを絨毛癌(じゅうもうがん)といいます。絨毛癌は、リンパ管や血流を通じて急速に転移することがあります。

胞状奇胎のリスクが最も高いのは、17歳未満または30代後半以降に妊娠した女性です。胞状奇胎は、米国では2000回の妊娠につき1回程度の割合で発生しています。アジアでの発生率はこの10倍近くありますが、その理由はわかっていません。

症状と診断

胞状奇胎が生じると、妊娠したときと同じような症状が現れます。ただし、胞状奇胎は胎児よりもはるかに速く増殖するため、腹部は正常な妊娠に比べて早く大きくなります。吐き気や嘔吐がひどく、不正出血がみられることもあります。このような症状がある場合は、すぐに診察を受ける必要があります。胞状奇胎は感染、出血、妊娠中毒症(子癇[しかん]前症)や子癇など、重大な合併症を引き起こすことがあるからです(ハイリスク妊娠: 妊娠中毒症(子癇前症)を参照)。

胞状奇胎は多くの場合、受胎後ほどなく診断されます。胎児の動きも心拍も認められないからです。崩壊した奇胎の一部が、少量のブドウの房状の組織として腟から排出されることがあります。この組織を病理医が顕微鏡で調べることで、診断が確定されます。

体内で増殖しているのが胞状奇胎であり、胎児や羊膜(胎児と羊水を包む膜)ではないことを確認するため、超音波検査も行われます。血液検査でヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG:正常な妊娠の初期に分泌されるホルモン)の値を測定する場合もあります。奇胎はこのホルモンを大量に分泌するため、胞状奇胎がある場合はこの値が非常に高くなります。

治療

奇胎が広がっていなければ、胞状奇胎はほぼ100%治癒します。奇胎が広範囲に広がっている場合の治癒率は60〜80%です。胞状奇胎ではほとんどの場合、その後も妊娠が可能で、妊娠合併症や流産、先天異常などのリスクが高くなることはありません。胞状奇胎を経験した人の約1%で、再び胞状奇胎が生じることがあります。このため過去に胞状奇胎があった人が次に妊娠した場合には、初期に超音波検査を行います。

自然に消失しない胞状奇胎は、吸引しながら子宮頸管拡張と子宮内掻爬(婦人科疾患の症状と診断: 子宮頸管拡張と子宮内掻爬を参照)を行うことにより完全に取り除きます。子宮摘出が必要になることはごくまれです。

胞状奇胎が発見された場合は、手術後に胸部X線検査を行い、奇胎が癌(絨毛癌)となって肺に転移していないことを確認します。また、血液中の絨毛性ゴナドトロピン値を測定して、胞状奇胎が完全に摘出されたことを確認します。完全に摘出されていれば、絨毛性ゴナドトロピン値は8週間以内に正常に戻り、以後は正常値が保たれます。胞状奇胎の摘出後1年間は、妊娠を避けることが勧められます。

胞状奇胎では不要ですが、絨毛癌では化学療法を行う必要があります。普通は1種類の薬(メトトレキサートまたはアクチノマイシンD)だけで十分ですが、場合によってはこの2剤を併用したり、これ以外の化学療法薬の併用が必要になることもあります。

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