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人工妊娠中絶

人工妊娠中絶は、医学的手段によって妊娠を人為的に終わらせることです。

世界各地での人工妊娠中絶の扱いは、法的に禁止されていたり、必要に応じて可能であったりとさまざまです。世界の女性の約3分の2は、合法的な中絶を選択できる状態にあります。米国では、妊娠のどの段階まで中絶を認めるかは州により異なります。米国では人工妊娠中絶の件数は全妊娠数の約25%に上り、最も多く行われる手術の1つとなっています。

人工妊娠中絶には、手術で子宮の内容を除去する方法と、薬を使用する方法があります。使用する方法は妊娠期間によっても異なります。受胎後に出血があった場合や、母体が体重過多の場合、子宮が前屈よりもむしろ後屈している場合には、妊娠期間の判定が困難になることがあります。このような場合は超音波検査を行って妊娠期間を判断します。

子宮内容除去術は子宮の内容物を腟から取り出す方法で、人工妊娠中絶の約95%がこの方法で行われています。妊娠期間によって手術の方法が異なります。

妊娠12週未満であれば、吸引掻爬(きゅういんそうは)術が行われます。柔軟な吸引管を真空装置に接続して用いる方法で、真空装置としては吸引ポンプや手動式のポンプのほか、ときには真空注射器も使われます。吸引管を子宮頸部の開口部から子宮内に挿入して、内容物をそっとくまなく吸い出します。ときにこの方法による中絶が失敗し、妊娠が継続する場合があり、月経がなかった後の第1週目などごく早期には特に失敗しやすい傾向があります。

妊娠4〜6週の吸引掻爬術には細い吸引管が使えるため、子宮頸部をあまり拡張せずに実施できます。妊娠7〜12週になるともっと太い吸引管を使うため、子宮頸部の拡張が必要になります。子宮頸部を傷つけないように、拡張器の代わりに乾燥させた海草の茎(ラミナリア)など、水分を吸収して膨張する天然物質を使用することもあります。ラミナリアは子宮頸部に挿入し、少なくとも4〜5時間、普通は1晩そのままにします。ラミナリアは体から大量の水分を吸収して膨張し、子宮頸部の開口部を徐々に広げていきます。プロスタグランジンなどの薬剤も子宮頸部の拡張に使われることがあります。

妊娠12週以降では、子宮頸管拡張と子宮内容除去術が最も多く用いられます。子宮頸部を拡張させた後、吸引管と鉗子(かんし)で胎児と胎盤を取り出します。続いて、子宮の内容物を完全に除去するために子宮内をそっと掻爬することもあります。この方法により軽度の合併症を起こす割合は、薬で中絶を起こした場合より低くなります。ただし妊娠18週以降になると、この方法は子宮や腸の損傷などの重大な合併症を起こすことがあります。

人工妊娠中絶のために使用される薬には、ミフェプリストン(RU-486)や、プロスタグランジン製剤(ミソプロストールなど)があります。ミフェプリストンは内服薬で、胎児を支える子宮内膜の準備を整えるホルモンであるプロゲステロンの作用を阻害します。ミフェプリストンは7週以下の妊娠にのみ使用が認められています。プロスタグランジンはホルモンに似た物質で、子宮を刺激して収縮させます。プロスタグランジンの投与方法には内服、腟内挿入、注射があり、ミフェプリストンの服用後に投与されます。現在行われている投与方法は、ミフェプリストン1〜3錠を服用し、2日後にプロスタグランジン製剤としてミソプロストール1錠を内服するか腟に挿入するというものです。この方法で妊娠の約95%が中絶に至ります。これらの薬で中絶が起こらない場合は手術を行います。

合併症

人工妊娠中絶は一般に、避妊や避妊手術よりも合併症を起こすリスクが高く、特に若い女性ではその傾向があります。中絶による合併症のリスクは妊娠期間と中絶の方法に影響されます。妊娠期間が長いほどリスクは高くなります。ただし、きちんとトレーニングを受けた医師が医療機関内で中絶を行った場合、合併症はそれほど多くはありません。

人工妊娠中絶手術では1000件に1件の割合で、手術器具による子宮の穿孔が生じます。腸などの器官が同時に傷つくこともあります。手術中または手術直後の大量出血は、1万件に6件の割合でみられます。方法によっては子宮頸部が裂けることもあり、特に妊娠中期(13〜24週)ではその危険が高くなります。

手術後には、感染を起こしたり、脚に血栓が生じることがあります。子宮内に胎盤が部分的に残っていると、出血が起こることがあります。ごくまれに、手術によって、または術後の感染により子宮内膜が傷つき、不妊となることがあります(アッシャーマン症候群)。胎児の血液型がRhプラスで母親の血液型がRhマイナスの場合、中絶手術の際にも(妊娠や流産、出産のときと同様に)、母親の血液中にRh抗体が生じる可能性があります。母体にこの抗体があると次回の妊娠時に危険が伴うことがあり、Rho(D)免疫グロブリン(抗D免疫グロブリン)の注射が必要となります(ハイリスク妊娠: Rh式血液型不適合を参照)。

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