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分娩の時期の問題

分娩(ぶんべん)の時期が早くなりすぎたり(妊娠37週以前)、遅くなりすぎたり(41〜42週以降)することがあり、ときには胎児の健康や生命が危険にさらされます。分娩時期の異常は、母親か胎児に健康上の問題がある場合や、胎児の位置が異常な場合などに起こることがあります。

出産予定日(通常は妊娠40週に相当する日)の当日に出産する人は、全体の10%に過ぎません。予定日の前後1週間以内に約50%、前後2週間以内には90%近い人が出産します。受胎した日が正確にわかることは少ないため、妊娠期間を正しく推定するのは難しい場合もあります。超音波検査は危険や痛みを伴わない検査で、妊娠初期には予定日の推定に役立ちます。しかし、妊娠中期から後期になると超音波検査によって推定した予定日の信頼性は低下します。

前期破水: 正常な妊娠の約10%では、陣痛が始まる前に羊膜(胎児と羊水を包む膜)が破れて破水が起こり、羊水が腟(ちつ)から流れ出します。羊水は少しずつ流れ出ることも、勢いよく流れ出ることもあります。破水が起こると12〜48時間以内に陣痛が始まります。破水した場合はすぐに医師か助産師に連絡します。

破水後24〜48時間たっても陣痛が始まらない場合は、子宮や胎児が感染を起こすリスクが高くなるため、胎児が十分に成長していれば人工的に陣痛を誘発します。羊水穿刺を行って胎児の肺の成熟度を判定します。羊水穿刺の結果、肺が成熟していれば陣痛を誘発して分娩を行いますが、肺がまだ成熟していなければ陣痛を誘発することはありません。

1日に最低2回は母親の体温と脈拍数を記録します。体温の上昇や脈拍数の増加は、感染の初期徴候の場合があります。感染を起こした場合は、ただちに陣痛を誘発し分娩させます。ごくまれに、羊水の流出が止まり、陣痛も止まって帰宅できる人もいます。このような人は、最低でも1週間に1回は診察を受ける必要があります。

早産: 未熟児には重大な健康上の問題が生じることがあるため(新生児の健康上の問題と病気: 早産を参照)、妊娠34週より前に陣痛が始まった場合、医師はこれをなるべく止めようと努めます。早産が起こる原因はまだよくわかっていません。しかし、健康的な生活習慣を守り、定期健診を受けることによって早産をある程度防ぐことができます。いったん分娩が始まってしまうと止めるのは困難です。腟からの出血や破水がみられた場合には、そのまま分娩を続けるのがしばしば最善の方法となります。出血や破水がみられない場合には身体活動を制限し、できれば動かずに安静を保つよう指示されます。水分を補給するほか、分娩を遅らせる薬が投与されることもあります。多くの場合、こうした方法でわずかな時間ですが分娩を遅らせることができます。

分娩を遅らせる薬には、硫酸マグネシウムやテルブタリンなどがあります。硫酸マグネシウムの静脈注射によって多くのケースで早産を抑えることができますが、用量が多すぎると母親の心拍数や呼吸数を低下させることがあります。テルブタリンの皮下注射も早産を抑える効果がありますが、副作用として母親や胎児、あるいはその両方の心拍数が上昇します。テルブタリンの代わりにリトドリンが使用されることもあります。

子宮口が5センチメートル以上開いていれば、通常はそのまま分娩を行います。早産が避けられないと判断されると、ベタメタゾンなどのコルチコステロイド薬が投与されることがあります。ステロイド薬には、胎児の肺などの臓器の成熟を早める作用があるため、出生後に呼吸困難(新生児呼吸促迫症候群)を起こすリスクが低下します。

過期妊娠と過熟: 妊娠が41〜42週をわずかに超えても、多くの場合は胎児への影響は生じません。しかし胎盤に異常が起きて胎児に必要な環境を維持できなくなると、問題が生じることがあり、この状態を過熟といいます。

41週になっても陣痛が起こらない場合は、胎児の動きと心拍数を検査します。過期妊娠では羊水の量が著しく減少するため、羊水量も測定します。胎児の呼吸数と心音も確認します。胎児の健康状態をみるため分娩監視装置(分娩監視装置を参照)が使用されることもあります。42週を超えた場合には、陣痛を誘発するか帝王切開を行います。

遷延分娩: 分娩の進行があまりに遅い場合を遷延分娩といい、胎児が大きすぎて産道(骨盤と腟)を通過できずにいる可能性があります。場合によっては鉗子(かんし)または吸引分娩器を使用するか、帝王切開を行う必要があります。産道が十分に開いているにもかかわらず分娩がそれ以上進行しない場合は、オキシトシンを静脈注射して子宮をより強く収縮させます。オキシトシンを投与しても効果がなければ、帝王切開が行われます。胎児がすでに産道を下降してきている場合には、帝王切開の代わりに、鉗子や吸引分娩器が使用されます。

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