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分娩外傷

分娩外傷とは分娩の過程で新生児が受ける損傷のことです。通常は産道を通る際にこのような損傷が生じます。

胎児が傷害を受けるおそれのある困難な分娩は、産道が小さすぎたり、胎児が大きすぎたり(母親が糖尿病にかかっている場合にときに起こります)する場合に生じます。生まれる前の胎児の向きが正常ではなかった場合にも傷害が起こることがあります。全般的に分娩外傷の発生率は、過去数10年と比較してかなり低くなっています。

分娩の過程で、体の一定の部分にだけ腫れやあざなどの小さいけがを負う新生児はたくさんいます。

頭部の外傷: ほとんどの出産において、胎児はまず頭から産道に入るため、頭部は分娩時にかなりの圧力を受けます。腫れやあざは特に問題視する必要はなく、数日のうちに消えます。頭血腫は出血性の外傷で、頭蓋骨(ずがいこつ)の表面に軟らかいかたまりができますが、その下には厚い線維性の膜があります。頭血腫は特に治療の必要はなく、数週間から数カ月で消えます。

非常にまれですが、頭蓋骨の1つが骨折することがあります。骨折がへこみをつくっている(陥没骨折)場合を除けば、これは治療をしなくてもすぐに治ります。

神経の損傷: まれですが、神経が分娩で損傷を受けることがあります。顔面神経が鉗子(かんし)で圧迫されると、顔面の片側の筋肉が弱まることがあります。この損傷が起こると、新生児が産声をあげたときに顔面の表情が左右非対称になっているのですぐにわかります。これは特に治療する必要はなく、普通数週間で正常に戻ります。

新生児が大きくて分娩が困難な場合、新生児の腕の片方あるいは両方が引っぱられて太めの神経が損傷を受ける場合があります。その結果、新生児の腕や手が麻痺(まひ)します。ときに横隔膜(胸部と腹部の臓器を隔てている筋肉)につながる神経が損傷を受けると、損傷を受けた側の横隔膜が麻痺します。この場合、新生児は呼吸が困難になります。新生児の腕と横隔膜の神経の損傷は、普通数週間のうちに完全に治ります。神経が治るまでは、新生児の肩を大きく動かさないようにします。非常にまれですが、腕と横隔膜が生後数カ月たっても麻痺したままのことがあります。この場合、損傷を受けた神経を治療するための外科手術が必要になります。

分娩時に引き伸ばされたことによる脊髄(せきずい)の損傷はきわめてまれです。脊髄が損傷を受けると、損傷が生じた場所より下が麻痺します。脊髄損傷は治癒しないことも少なくありません。

骨の外傷: 困難な分娩の場合、まれですが新生児が骨折することもあります。最も多いのは鎖骨の骨折です。新生児が骨折した場合は添え木をあてます。この種の骨折はほとんどの場合、短期間で完全に治ります。

新生児に多いあざや軽度な皮膚の異常

新生児によくみられる皮膚のちょっとした異常の大部分は、正常とみなされるものです。鉗子ではさまれてできた顔や頭皮の打撲傷やあざ、あるいは骨盤位分娩の際にできたあざが足にみられることがありますが、これらは数日できれいに治ります。皮下にある毛細血管の拡張によるピンク色のあざが、鼻のすぐ上の額や上まぶた、首の後ろにみられることもあります(stork-bite:コウノトリのひとかみ)。このタイプのあざは乳児が成長するにつれて消えますが、中には薄く残って、興奮したり動揺すると鮮やかに浮き出すものもあります。新生児の中には、特にほおや額ににきびができることもあります。これらはいずれ消えるので、皮膚を清潔に保ち、クリームやローションの使用を避ける程度の注意で十分です。

稗粒腫(はいりゅうしゅ)は小さくて真珠のように白く光沢のある嚢胞(のうほう)で、通常は鼻や頬の上部にみられます。これは数週間を過ぎると小さくなるか消えます。同じような白い嚢胞が歯ぐきや口蓋の正中線上にできることがありますが(エプスタイン真珠)、これも問題ありません。

蒙古斑は青みがかった灰色の平らな色素斑で、普通は背中の下部や殿部にできます。一見するとあざのように見えますが、そうではありません。これは黒人やアジア人の新生児によくみられますが、問題ありません。

イチゴ状血管腫はよくみられるあざです。平らで、ややピンク色か赤い色をしており、皮膚のどこにでもみられます。数週間を過ぎると、この部分がより濃い赤色になって皮膚表面から盛り上がり、イチゴに似てきます。数年後には、イチゴ状血管腫は縮んで色も薄くなるため、子供が小学校に上がるころにはほとんど見えなくなります。このため手術は必要ありません。

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