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甲状腺の疾患は、甲状腺が産生する甲状腺ホルモンの量が少なすぎたり(甲状腺機能低下症)、あるいは多すぎたり(甲状腺機能亢進症)する場合に起こります。
甲状腺機能低下症: 新生児の甲状腺機能低下症を治療しないでいると、体と精神の成長が遅れ、やがて精神遅滞となります。新生児の甲状腺機能低下症の原因として最もよくみられるのは、甲状腺が完全に欠損しているか、あるいは未発達なことです。初期段階では新生児には何の症状も現れません。その後、活動性の低下、食欲の減退、便秘、かすれた泣き声、臍ヘルニア(へそが腹壁を貫く部分に腹腔内臓器が脱出した状態)、発育の遅れなどの症状が出ます。やがて新生児は特徴的な顔つきになり、舌が大きくなります。
早期に治療を行えば精神遅滞は予防できます。このため、すべての新生児に対して、出生後に甲状腺ホルモンの濃度を測定するための血液検査を行います。治療には甲状腺ホルモンを使います。
甲状腺機能亢進症: まれですが、新生児が甲状腺機能亢進症あるいは新生児グレーヴス病にかかることがあります。これは一般的には、母親が妊娠中にグレーヴス病(バセドウ病)にかかっていた場合、または妊娠前にグレーブス病の治療を受けていた場合にみられます。グレーヴス病(ハイリスク妊娠: 自己免疫疾患を参照)では、女性の体内でつくられた抗体が甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンの血中濃度が増加します。これらの抗体は胎盤を移行して、胎児にも同様の影響を与えます。このような影響を受けた新生児には、代謝が異常に活発となる、心拍数と呼吸数が速くなる、神経過敏になる、食欲は過剰になるが体重は増えないといった症状がみられます。
この病気にかかった新生児は母親と同様、眼球が前に飛び出してきます(眼球突出)。新生児の甲状腺が肥大していた場合(甲状腺腫)、甲状腺が気管を圧迫して呼吸を妨げることがあります。心拍数が非常に速くなると、心不全の原因となります。グレーヴス病が発見・治療されないままでいると命にかかわります。
甲状腺機能亢進症はその典型的な症状から疑い、確定診断は甲状腺ホルモンと新生児の血液中にある母親からの甲状腺を刺激する抗体の増加を調べて行います。
新生児の甲状腺機能亢進症の治療には、甲状腺からの甲状腺ホルモン産生を抑制するプロピルチオウラシルなどの薬剤を使用します。母親から胎盤を移行してきた抗体は新生児の血流中で数カ月程度しか存続しないので、治療も数カ月程度ですみます。
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