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骨と筋肉の異常

先天異常は体のどの部分の骨や筋肉にも起こり得ますが、最も起こりやすいのは頭蓋(とうがい)、顔面、脊柱、殿部、脚、足の骨と筋肉です。骨と筋肉の発達は不完全であることがあります。正常な場合、ぴったりくっついているはずの構造が離れていたり、ずれていたりすることもあります。骨と筋肉の異常があると、普通は体のその部分に外見と機能の異常が生じます。症状が問題となる場合、たいていは外科的に修復が可能です。多くの場合、手術は複雑で、変形していたり欠損している体の部分の再建を行います。

顔面の異常

頭蓋と顔面で最もよくみられる異常は、口唇裂と口蓋裂(こうがいれつ)です。口唇裂とは通常、鼻のすぐ下で上唇が分離している状態です。口蓋裂とは口の中の天井に裂け目があり、それが鼻へと続いているものです。口唇裂と口蓋裂はしばしば同時に起こります。

口唇裂と口蓋裂:顔面の異常

口唇裂と口蓋裂:顔面の異常

口唇裂があると外観が損なわれ、また乳児は乳頭をくわえるときに唇を閉じることができなくなります。口蓋裂があると食べたり話したりすることが妨げられます。乳児がもっとよく乳を飲めるように、歯科用の器具で一時的に口の天井を閉じることができます。口唇裂も口蓋裂も手術により永久的な修復が可能です。女性が妊娠前と妊娠初期(12週まで)に葉酸を摂取することで、口唇裂と口蓋裂が起こる可能性を減らすことができます。

そのほかの顔面の異常としては、小さい下あご(下顎骨[かがくこつ])があります。ピエール‐ロバン症候群とトリーチャー‐コリンズ症候群は頭部と顔面の複数の奇形が特徴ですが、小さい下あごの原因となります。下あごが小さすぎると、乳児は食べたり呼吸をするのが難しくなります。この問題は手術で改善あるいは解消できます。

四肢と関節の異常

出生時に、四肢や関節の欠損や変形、発育不全がみられることがあります。手足が片側しかなかったり関節に異常のある子供は、それに関連するそのほかの異常もみられる傾向があります。四肢と関節が異常に形成されることがあります。たとえば手と前腕部の骨が遺伝的な欠損により存在しないことがあります。四肢の正常な発育が子宮内で中断されることもあります。たとえば線維で締めつけられたために指が発育を止めることがあります。そのほかに四肢と関節に異常が出る原因として、物理的な力があります。たとえば圧力のために股関節脱臼が起こることがあります。染色体異常も四肢と関節の異常の原因となります。ときには原因が不明のこともあります。1950年代後期から1960年代初期にかけて一部の妊婦がつわりのために服用したサリドマイドという薬剤は、四肢のさまざまな奇形を引き起こしました。たいていは腕や足のできる場所に、短くて機能の劣る付属器官が生えるというものでした。

腕と脚の異常は横方向にも(たとえば腕が正常より短い場合)、あるいは縦方向にも(たとえば腕の親指側がひじから親指にかけて異常だが、小指側は正常である場合)起こります。子供はしばしば奇形の四肢を使うことにうまく適応しますが、四肢を使いやすくするために義手や義足(人工装具)もよくつくられます。

手の異常もよくみられます。ときどき手が完全に形成されずに、手の一部や全体が欠損することがあります。たとえば指がとても少ないなどです。ときには手が発育しないこともあります。たとえば指が分かれずに、水かきのような手になります。指が普通より多い異常もありますが、この場合小指か親指が重複する例が最も多くみられます。過剰に成長することもあり、手のひらや個々の指が異常に大きくなります。手の奇形の修復には、通常は手術を行って機能をできる限り回復させます。

先天性股関節脱臼は発達性股関節形成異常とも呼ばれ、正常であれば関節を形成する新生児の股関節窩(こかんせつか)と大腿骨(大腿骨頭)が離れるようになる状態をいいます。これは、股関節窩に大腿骨頭を保持するだけの十分な深さがないためです。股関節脱臼は、女児、骨盤位(殿部から先に)で生まれた新生児、近親者にこの病気の人がいる新生児などによくみられる病気です。股関節脱臼のある新生児では、しばしば左右の脚あるいは左右の殿部がそれぞれ違ったふうにみえます。

この異常は新生児を診察したときに発見できます。生後4カ月未満の乳児では、股関節部の超音波検査をすると診断が確定できます。生後4カ月以上の乳児では、X線検査が行えます。3重にオムツをはかせる方法(古い治療法)は勧められません。最も良い治療法は、パブリックハーネス(リーメンビューゲル)の使用です。パブリックハーネスは乳児の膝を外側に広げ胸の方に引き上げた状態で固定する柔らかい治療装具です。しかし股関節脱臼が6カ月齢を過ぎても続いている場合は、通常、股関節部を正常な位置に固定する手術が必要となります。

内反足(内転尖足)は、足とかかとの形や位置がねじれる異常です。一般的な内反足は足の後ろ側とかかとが下方へ内向きになり、足の前側が内側にねじれます。ときどき、子宮内で不自然な位置に足が押さえつけられていたために異常にみえているだけの場合もあります(胎位性内反足)。それに対し本当の内反足は、足に構造的な異常があります。本当の内反足では、脚や足の骨あるいはふくらはぎの筋肉がしばしば未発達です。

よくみられるタイプの内反足

よくみられるタイプの内反足

胎位性内反足の場合、関節が動かないようにギプスをはめ、足とかかとを伸ばす理学療法を行うことにより矯正できます。本当の内反足の場合も、早期に固定する治療を行うと効果がありますが、一般的には手術、それもしばしば複雑な手術が必要となります。

内転中足症では足が内側に曲がってみえます。足とかかとの関節の可動性に限界があります。治療は変形の程度や足がどの程度動きを制限されているかによって決まります。軽度の場合はほとんどが自然に治癒します。より重症例では、矯正用の靴や添え木が必要となります。手術を必要とするのは例外的な場合のみです。

先天性多発性関節拘縮症では、一部の関節が硬直し、そのために曲がらなくなります。この異常がある子供の多くは筋肉が弱まっています。出生前に筋肉と関節の動きが低下していると、生まれた後も関節の動きが低下しやすくなります。原因は不明です。侵されている関節では、正常の場合は骨を動かす働きをする神経も損なわれていることがあります。この異常がある乳児は、股関節部、膝、あるいはひじに脱臼がみられることもあります。四肢をギプスで固定して、硬くなった関節を注意深く動かす理学療法を行うと関節の動きが良くなります。外科的に付着している組織から骨を離すと、ときには関節の動きがより正常になります。

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